ブルードー
公園に巨大しゃぼん玉が現れた。
子供たち以上に目を爛々と輝かせて
興奮していたのは私だった。
なぜならこの大きな浮かぶ丸たちが
普段、空中に浮いてる
目には見えない存在たちを
見える形に現してくれているように
見えたから。
みんなこんな風に虹色に輝いている。
パーフェクトな丸なんて一個もない。
みんな違う。
ゆらゆらした振動で
私たちと一緒に走ってる。
生きている。
右上ヤバイ。
もう天使にしか見えない。
空気と風と石鹸水が作り出すアートが
美しすぎて美しすぎて
寒いのも忘れて
ずーっと見惚れていた。
その夜、息子がとつぜん
冥王星について語り出した。
冥王星は英語でPluto(プルートー)
って言うんだけど
まだまだ幼児語が混ざる息子は
プルートーのことを「ブルードー」と言う。
一応、3次元的に正しい読み方で
「プルートーがどうしたの?」と聞くと
「マミー・・
僕の後についてちゃんと発音してね。
ブルー・ドー」
「・・ブルー・ドー」
「Good!
マミー、ブルードーはね
昔は青かったんだよ。
だからブルーって言葉が名前に入ってるんだ。
だけど、ニューピープルがやってきて
ブルードーに空気を入れたから
今みたいに茶色くなっちゃったんだよ」
私は身を乗り出して
その話に食らい付いた。
宇宙変態だからでもあるけど
息子の魂は私なんかよりも相当の賢者である。
地球の科学レベルじゃ
まだ解明できないようなことも
もしかしたら知っているのかもしれない。
ま、ニューピープル空気入れ説以外にも
星雲にぶつかって茶色くなったとも言っていたので
もしかしたら子供の作り話かもしれないけどね。
学校の先生に習ったのではなく
「ただ知っている」のだと言う。
メモの準備までして続きを待っていたのに
結局話はそれだけだった。
私は息子の頭頂に
いつも手を当てる。
彼のクラウンエネルギーを
感じるのが好きなのだ。
子供のいる宇宙魂の方で
頭頂フェチの方、いないだろうか。
あれはこの世で一番
気持ちのいいエネルギーだと思う。
彼のクラウンチャクラからは
常に最高のエネルギーが
放出されていて
誇張じゃなく
1日100回はクラウンに手を置いて
充電させていただいている。
頭頂の渦巻きから発せられる
あのエネルギーの正体は
なんなんだろう。
3次元で苦しそうにしている私を見かねて
降りてきてくれた
同じシップの元司令官。
それが今の息子だ。
彼と地球で再会したとき
つまり、生まれた瞬間
看護師さんに体を拭かれて
すぐ私の胸に乗せられた息子を見て
やっと会えた・・!みたいな
母親らしい感動なんて全くなくて
すでにものすごく
よく知っている人という
慣れ親しんだ感覚と
あ、お久しぶりです・・
っていうそれだけの
出産という作業を一緒にやり終えた
お互いをねぎらうエネルギーだけが
そこにあって
おかしいやら
当然だろうとも思うやらで
あれは
なんとも不思議な時間だった。
あの日以来
私と長官はタッグを組み
3次元レベルでは私が息子を守り
でもそれ以上にいつの時も
私は導き教えられ
守られてここまで生かされている。
だから私はただ
彼がありのままの才能を
この地球で開いていけるように
彼自身の役目を果たせるように
邪魔をせず
日々学ばせていただいてるだけ。
だから、彼がブルードーというなら
それは、ブルードーなのだ。