朝の道とその人の言葉
冬時間が始まった。
いつもより暖かく、明るい朝が嬉しくて
今日は息子と歩いて学校まで行くことにした。
いつもは時間ギリギリに
車でビュンと飛ばしていくその道を
楽しそうに息子は歩いていた。
土手があればもちろん登るし
足元を見ては、綺麗な石を探す。
そして突然「あ〜〜〜〜!!」と
嬉しそうな声を上げる。
学校のゲートが開いているのは
朝の15分間だけ。
いつもだったら
「あ〜もう、石なんかいいの!
早く、遅れるよ!」
「そんな声出したらみんながびっくりするでしょ!」
と注意してるところだけど
今日は不思議と
エネルギーが違った。
時計を一切見なかったし、
息子のやっている行動の本当の意味が
腹の底でわかっていた。
彼は、土手の傾斜の重力の感覚を
楽しんでいたのだ。
そして、石の輝きと波動を感じ
大きな声を出すことで、
その音が空気中でどう振動するのか
それを実験して楽しんでいたのだ。
「アリストテレスは
眺めることを人間の最高の活動とした」
尊敬する人の言葉が
ふとよぎった。
「石と会話する、空気を味わう、光を見る・・
これは人間の最高の活動だと思いませんか?
こんなに純粋な行動はないですよね」
優しい笑顔でそう言う彼に
「そうですね」と返事したものの
本当は、腹では同意してなかった。
生産性のあることをして
何かを生み出したり
信用や資産を築いたり
規則通り動いて、みんなと足並みを揃えたり
結果を出すことの方が
素晴らしいんじゃないの?
変態宇宙人の私にさえ
地球社会のそういった概念は
長年、当たり前にこびりついていた。
だけど今日、ほんの少しだけ
この彼の言葉が
しっかりと腹の中に落ちたのだ。
”ゆっくり歩きなさい
スローダウンして”
上がそう言ってるのが聞こえる。
そのとき、
ご機嫌に横断歩道を渡っていた息子が
急に泣きべそをかき出した。
頭がすごく痛いと言う。
頭痛なんてほとんどない子なのに
珍しい。
私は息子をベンチに座らせ
バッグからラベンダー精油を取り出した。
ペパーミントより何より
私の頭痛にはラベンダーが一番効いたし
優しいオイルだから
5歳の子供につけても安心だ。
数滴を頭頂と首筋に塗り
マスクにも1滴落として、吸引させた。
(*精油会社さんによって成分など違いますので
お手持ちのオイルが塗布可能かどうか
必ず確認してから塗ってくださいね)
顔見知りのママさんが見つけてくれて、
「救急箱を探してこようか?」と
声をかけてくれる。
優しいなあ。
「ありがとう、でも大丈夫」と伝えると
「私もその精油使ってるわよ。
すごくいいよね」
と彼女は微笑んで去っていった。
私の頭はまだ考えていた。
”急がなきゃ、遅刻扱いにされちゃうかな
はみだしちゃいけない。
病院に連れて行かないとダメかな?
どうしたらいいんだろう?”
でもそれをかき消すくらいに
今日は上からの感覚が強く
”彼は大丈夫だから、
ゆっくり味わいながら歩きなさい。
時間の枠を外しなさい”
母親の野生の勘もあったと思う。
子供が大丈夫か大丈夫じゃないか
親は結構わかるもんだ。
そして私は
上の意図も割とわかる。
わざと遅刻をさせようと
してるんだよね。
社会的な制限や枠を外すっていう
体験をさせるために。
息子が落ち着いたので
私たちはゆっくり歩きだした。
それでもまだしつこく
自分の中に「焦り」があるのがわかる。
感覚を丁寧に掬い取り
自分に声をかける。
「大丈夫、上の計画に乗ってごらん」
結局、学校へは15分遅れて到着したけど
全然大丈夫だった。
息子は、迎えにいく頃にはケロッとしていて
元気に棒を振り回していた。
やっぱり大丈夫だった。
守られてるんだな。
一人の帰り道は用意してた
イヤホンを使わずに
無音の中、空気や太陽の光が
顔に当たる感覚を楽しんでみた。
ハミングバードやハチが
花の周りを飛んでいるのを
ゆっくりと眺めた。
ああ、地球にいるんだなあと
思う。
ライトランゲージを口ずさむと
それはアンドロメダの文字となって
口から溢れ出し
螺旋を描きながら上昇した。
しばらくすると戻ってきて
今度は下に向かう螺旋となり
その、上下に向かった螺旋の軌跡は
1本の宇宙語の書かれた
光の柱となって
地球を貫き、浄化していた。
ああ、こういうことなんだなあ
って感じる。
光でいること、祈りとは
そして、自分がここにいる意義が。
動け、働け、勉強しろ
周りと同じことをせよ、と
頭は常に囁きかけてくるけど
地球を生き抜く方法であると
信じて疑わなかったその思考は
少なくとも私には
苦しみしか生まなかった。
目に見えない、五感や超感覚の世界。
それが、この世の95%以上を占めている。
いい悪いではなく
出来事、物事を
エネルギーとして
あるがままに眺めること。
正しいとか間違いとかの
ラベルを貼らないこと。
それが、
二元の世界を超える方法であり
何もしてないようで実は
人間の最高の活動。
また、喜びを今この瞬間に生み出し
見えないサポートの力を実感できる
一つの方法なのかもしれない。
「思考からは悩みが出てくるけど
観想からは調和が生まれる」
私はまだまだ
学べることでいっぱいだ。