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饂飩坂
吻久八年未明のこと当時の丸亀藩江戸饂飩役であった木ノ下蔵之介が、この坂にて将軍献上うどんを頭にのせてよちよち運ぶ途中、反饂飩派の先鋒であり戸隠忍軍の棟梁でもあった更科屋久右ヱ門の放った刺客により鉢ごとたたき斬られ死にさらしたことから由来。
いまだに、夜な夜な饂飩鉢をかついだ蔵之介がうらめしそうに現れ、
「いりこだしで候」と、謎の主張をするとのことである。
蔵之介のよくわからない主張に対して、
「あいや、その方の饂飩とやら、結構な御手前で御座った」と返さないと寿命が八年縮まるということである。
丁重に返答すると、蔵之介は満足そうに
「恐悦至極にございます。それではそれがしは失礼し申す」と電信柱の陰へ消えてゆくという。
なんとも恐ろしい話である。
ちなみに蔵之介の断末魔の叫びは、「この蔵之介が死すとも日の本の饂飩は滅びぬぞ」であったと、大江戸奇怪録に記されている。
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