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4号室の狂人について(クリーピーを読んで思い出したこと)

※文章の50%が途中で消失したので、この文章は改めて書き替えます。

クリーピーという小説をすすめられて読んだらいやはやとまらなくなった。

人の心にいつのまにかしみこんでいく宵闇の伏線がよくできている。

この作品にはサイコパス偏差値80強の狂人が登場するのだが、作品のテーマの一つである『隣人』について考えていたところ、ふと、20代前半のころ東京西部の住宅街に住んでいたときに隣人であった或る男を思い出した。

この男は、クリーピーの登場人物とは知能指数的にまったく劣るものの、当時のわたしは、あのまま隣人でいればいつか殺されるかもしれないという感覚をおぼえていた。

当時、レベル10・年収450万ぐらいの営業戦士で賃料7万の1k木造アパートを借りた。

1階はたしか4室。2階は大家の子供が住んでいて、建物のむかいには大家の爺さん婆さんが住んでいた

1階の貸し部屋は隣室と縁側(共有の庭があるタイプ)でつながっていたのだが、この狂人がほんとうに些細な話声で殴りこんでくる。

たしかに壁は薄い。天井から大家の息子夫婦だかの足音もよくきこえた。

が、この隣人は当然大家に殴り込むことはせず、こちとらほんとひそひそとした話声やTV音でも、殴りこんでくる。無論テレビは壁から離してある。

いや、ほんと大声じゃなくて、ひそひそ声でも奴は殴り込んでくるんだ。ささやく声ぐらいなんだよ。

ほんと殴りこんでくるという表現がふさわしい状況だったなと。

この狂人の特徴としては、玄関でなくて縁側から引き戸をガンガンたたくのだ。

この抗議は、はじめは、壁パンチ&玄関ピンポン&ドンドン経由だったのだが、次第に縁側経由のソリューションをつかうようになってきた。

玄関と比較するとアパートの縁側のガラス戸なんて防御力3ぐらいなもので、まーガラスが割れるの待ったなしというやつ。

で、ある夜いきなり

バコーン!!

という音がして、縁側をあけてみてみたら、狂人の家との境目にある薄コンクリート製のしきりが拳状に割れていたのだった。

その後も、縁側から殴り込んできたこともあり、その際に、こちらも「どのくらいの音であれば問題ないかわからないので、教えてください」といってみたところ、「どんくらいとかじゃねえんだよ!てめえ!うるせえっていってるんだああああ!」というように埒が明かない始末であった。

で、引っ越す時に狂人が愛用していたカスタマイズ自転車を玉川上水に、鋭意投げ捨て、陰ながら勝利を祝おうと思ったのだが、

わたしもどうやらそのころには、立派に大人の仲間入りをしていたようで、なにもせずにその街を出たのであった。

このアパートではほかにも2号室のカップル(重低音の音楽をならすDJ系?)が或る夜警察に逮捕されたことがあった。その話はまた書こうと思う。

さきほど、気になって、大島てるでその住所を調べたところ、その物件はまだ事故物件にはなっていないようだった。

Googleマップでしらべたところ、まだ物件はあるようだ。

今も、狂人が4号室に住みつづけているのか、はたまたあなたの隣人になっているのかは誰も知らない。

小説クリーピー

消された一家―北九州・連続監禁殺人事件 (新潮文庫)

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ひらたつよし
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