クラスでヤンチャで有名な〇〇君が甘えたいことを知ってしまったので甘えさせようと思います。 第1話
「はぁ…なんで私が。」
私の名前は五百城茉央。
クラスで委員長しているのだがその選択が仇になってしまう自体が起きてしまった。
今日学校に行くといつもよりずっと静かだった。
私は気づいた。
1人の生徒が休んでいることに。
いつもは"彼"がいるからクラスがあんなにも煩いのかと感じさせるほどに。
『今日は〇〇は休みだ。』
先生がそう言った。
『〇〇休みかぁ〜。』
『今日はつまんないなぁ〜。』
いつも一緒にいる子達がそんな事を言っている。
彼はいない。
だがいつも通り授業は始まる。
もう教員内で彼が休みという話は通っているはずだが
先生は皆
『今日は〇〇は休みか。』
と口にする。
昼休み
いつもは彼の話し声が教室に響いている。
その声は最初は
"煩い"
"静かにして"
と思うものだったが…
今となっては不思議と寂しい気持ちになる。
彼はいないが彼の存在の大きさを感じる。
帰りの会
先生が来週の月曜日が提出期限の紙があると言い出した。
ちなみに今日は金曜日。
つまり誰かが〇〇君の家に行って渡さないといけないということ。
私は彼の友達の誰かが渡しに行くものだと思っていたのだが…
「はぁ…なんで私が。」
結果、私が持って行くことになってしまった。
事の経緯はこうだ。
『誰か〇〇の家にこの資料を持って行ってくれないか?』
先生がそう言った。
面倒くさいのだろう誰も手をあげない。
『おい。●●持って行ってくれないか?』
〇〇君の友達の●●君に先生は頼む。
『〇〇の家、自分の家と逆方向なんですよね。だから…。』
家が遠いから持って行かないみたいだ。
『じゃあ、五百城持って行ってくれないか?』
えっ!?
私?
「私ですか?」
『そうだ。学級委員だしちょうど良いと思うんだが。どうかな?』
"おい。先生がちょうど良いとか言ってるんちゃうぞ。"
"てか、先生が持って行ったらいいんちゃうんか?"
と内心思ってしまったが…
クラス内で私は学級委員を自分からするような真面目キャラ。
ここで断ってしまうとこのキャラが変わってしまうかもしれない。
「私が行きます。」
『そうか。頼んだぞ。』
ということで私が持っていくことになった。
「はぁ…なんで私が。」
結果、私が持って行くことになってしまった。
幸い、彼の家は私の家の近くにあるらしく大変とは感じなかった。
着いた。
閑静な住宅街に建つ一軒家。
ここが〇〇君の家らしい。
取り敢えずチャイムを押してみる。
ピンポーン
『はーい。』
誰が出てくるのだろう。
なんだがドキドキしてしまう。
ガチャッ
母:あら、どちら様?
茉:あっ、同じクラスの五百城茉央と言います。
来週の月曜日が提出期限の資料があってそれを持ってきました。
母:そうなのね!わざわざありがとうございます!
今日クッキー焼いたのよ!食べていかない?
色々あって疲れたし…
ここはご厚意に甘えようかな。
茉:頂いて行きます。
母:分かったわ!ほら入って入って!
私は〇〇君のお母さんにそう言われて家に入った。
茉:このクッキーも紅茶も美味しいです!
母:あら、嬉しいわ。
お菓子と紅茶が好きなの?
茉:はい!大好きなんです!
母:そうなのね。嬉しいわ。
〇〇はクッキーも食べないし紅茶も飲まないのよ。
スナック菓子とコーラは飲むくせに。
茉:そうなんですね。勿体ない。
母:そうでしょ?
「あははっ」
『うふふっ』
と私たちは楽しくなって笑った。
母:ねぇ、茉央ちゃん。
学校で〇〇はどんな感じか教えてくれない?
あの子、全然話してくれなくて。
私は学校での〇〇を知る限り話すことにした。
母:取り敢えず、元気そうで良かったわ。
私が話し終えるとお母さんはそう言った。
私は不意に気になって聞いてしまった…
茉:そんなに家での〇〇君とは違うんですか?
と。
母:違うわよ。
家では静かでよく自分の部屋にいるの。
顔を見せるのは食事の時くらいかしらね。
私はビックリした。
学校ではあんなにヤンチャなのに家では静か。
思春期にありがちな些細な事なのかもしれない。
だが私は気になってしまった。
茉:あの…お母さん。
〇〇の部屋に行ってもいいですか?
母:うん。ジュースとか持って行ってくれる?
部屋は階段上がって1番奥の部屋だからね。
わたしはお母さんからポ〇リとタオルを受け取り部屋に向かった。
コンコン
ドアを叩いたが返事は来ない。
寝ているのだろう。
そーっとドアを開ける。
彼がベッドで寝ている。
起こさないよう忍び足で歩いてベッドの横に座った。
彼の額から汗が流れている。
咄嗟にお母さんから受け取ったタオルで汗を拭き取った。
彼は静かに寝ている。
私が見ていたいつもの彼とは思えないほど…静かに。
だが熱いのだろう彼が寝返りを打つそれと同時に彼が着ているシャツがはだけて背中が見える。
背中も汗をかいているだろうと思った私は背中も拭いてあげようと思い、手を伸ばして汗を拭いていると…
不意に彼の手が私の手を掴んできた。
ドキッ…と心臓が高鳴った気がした。
初めて触れた彼の手は汗ばんでいたが温かった。
私が彼の手を解こうとすると…
〇:行かないで…。
私はまた驚いた。
学校ではヤンチャで家では静かな彼が甘えてきたからだ。
私が…私だけが知っている君の1面なのかもしれない。
想像すると優越感が込み上げてくる。
それと同時に気づいてしまった。
私は彼のことが好きなのだと…。
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