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料理代行人の断る技術
皆さんは人間関係において不自由を感じる瞬間はありますか?
大人になると、そして組織に入ると、様々なしがらみが発生し、付き合いたくもない人と関わらなければならない状況もありますよね。
特に組織に属してしまうと、個人の好き嫌いで人間関係を選別するのは不可能に近いです。どんなに相手のことが苦手であっても、対応しないわけにはいきません。
対して料理代行というお仕事。どんな働き方であっても基本単独行動の為、人間関係のしがらみとは無縁に思えますよね。ちなみに私はそう信じ、そこに魅力を感じてこの世界に飛び込んだ節もあります。
こんな言い回しをしているので察しの言い方ならお気づきでしょうが、結論めちゃくちゃあるんですよこれが。
誰とって?
それは、お客様とそれ未満の方とです。
先に言っておくと、当方の顧客様は皆様素晴らしい方ばかりです。
お客様としての立場をきちんと理解した上で線引きをしてくださるので、どんなに深い仲になっても問題は発生しません。
日本という国はサービス業・無形商品に対して非常に風当たりが強い傾向にあります。
おもてなし精神とポジティブに言われていますが、はっきり言って過剰サービス。
そこに高度経済成長・私腹を肥やすことしか考えずに未来を見ていない傲慢な経営、大手企業の安売り合戦の影響で「お客様は神様です」を勘違いした需要側の意識低下…。
今のサービス業はその成れの果てだと思っています。
つまり私たちフリーランスでサービス業をする人間は、これからの時代、お客様を選んでいかないと長生きできないのです。
私も昔、何でもできますと大風呂敷を広げ、無選別に頂いた案件を何でもかんでも抱え込んだ経験があります。
どうなったと思います?
すごく集客率上がったんですよ。
ヤバいお客様のね。
過激な表現ですが、ここは敢えて「ヤバい」を使用させていただきます。
そんなヤバいお客様に出会い始めると類は友を呼ぶで、ねずみ算式にヤバい客層に囲まれるのです。その弊害がこちら
・次々突きつけられる無茶振り
・お客様都合で振り回される予定
・どんどん下がっていく自分の単価
・疲弊していく心
ザッと書いただけでもこれだけの弊害がありました。
具体的に1つずつ解説していきます。
・次々突きつけられる無茶振り
割引や時間延長・無茶なメニュー数や内容を一度でも許容すると、次回からそれが当たり前だと認識するのがヤバいお客様。どんなにこちらが「今回だけ特別」とお伝えしても、都合の悪いことは基本聞こえないのが特徴です。迂闊に割引に手を出してはいけないのがこの理由。実際の例を挙げると
「そんなに時間がないから1時間でお願い。10品は欲しいな」
「親戚の分も一緒に作って!合わせて作れば1回分の料金で済むでしょ?」
安くしたい・少しでも得をしたい。損はしたくない。などのお気持ちが、こちらが隙を見せた瞬間一気に膨れ上がるのです。
・お客様都合で振り回される予定
必要以上に下手に出過ぎたり、意思表示をしなさすぎると、ただでさえ低く見積もられている優先順位がさらに下がっていきます。
欲しいレスポンスがなかなか帰ってこない。
当日気分でキャンセルされてしまう。
予定がいつまで経っても立てられなかったり、本来休むはずの領域を侵食されたり。
営業や売り上げの目処が立たないのはフリーランスとして成り立たないですよね。
他のお客様にもご迷惑をかけたりと、示しがつかない事態になってしまいます。
・どんどん下がっていく自分の単価
安く見積もられ何となくそれに乗っかってしまったが最後、そこから単価を上げることは絶望的です。それを皮切りにどんどん要求はエスカレートし、業務外の時間も持っていかれたりして、その分も単価を下げる事態になります。
そしてそのような方は良かれと思ってなのか、次々に「安いからいいよ!」と周りに触れ込んでいくのです。
「安いからいいよ!言うこと聞いてくれるからいいよ!」で有名になった日には終わっも同然です。
・疲弊していく心
フリーランスは組織のしがらみが無い分、同時に守ってくれる存在もないですし、困った時に頼れる先もありません。そうなった時に無茶振りされ・安く見積もられて群がられたら、本当に何をやっているのかわからなくなります。結果心が病んでいってしまいます。これが一番の問題です。
これ全部、過去の北村に一瞬ですが起こったことです。
悪循環に陥りかけて、あの時手段を講じなければ私は料理代行を辞めていたでしょう。
それくらい追い詰められますし、陥った瞬間の、状況が変わる様が急加速するので、対処をするのが大変難しくなってしまいます。
では、そんなヤバいお客様と決別できた北村の対処法とは何か?
ズバリ料金を値上げしたこと。
私の場合はこれで一気に、蜘蛛の子を散らすように去っていきました。
直接的に被害は無いにしても、自分の中で違和感のあるお客様も同時に去っていっていただきました。
でもね、、
値上げって勇気いるんですよね。
既存の大切にしたいお客様へ、サービス内容は何ら変わらず値上げする。それに対して抱く抵抗感と申し訳なさ。同時に勝手に感じるプレッシャー。
散々安く見積もられた弊害で、自信がなくなってしまうんですよね。
自分の提供できる価値に。
私の場合は本当に恵まれていて、私のことを大切に尊重してくださるお客様の方が多かったので、何とか立て直すことができたのです。
なんだったら値上げの一手は、素敵なお客様方からご提案いただいたものです。
「このサービス内容でこの金額は安すぎる!もっと払わせてください!」
なんて有難すぎるお言葉に背中を推して頂いた、私はラッキーな人間なのです。
だからこそ、この場を借りて今悩んでいる方・苦しんでいる方に自身の失敗を届けたいのです。
自分が受けたあの恩を、誰かの役に立てられる人間でいたいと思っています。
そんな有難いご縁に建て直してもらって、その後改めて考えてみました。
自分自身の責任は、やはり自分で取らなければいけないと。
そう思い立って2つ決めたことがあります。
・そもそもご縁を繋がない
・容赦なく断る強さを持つ
自分を守れるのは自分だけですし、自分の身の振り次第で大切にしたいお客様にご迷惑をかけてしまう。それを避ける為に強くあらねばと自分を奮い立たせました。
まずは問い合わせの段階から、強い心で相手と向き合うこと。
その為にまずはルールメイキングを作り込むことに集中しました。
頂くご要望に対して、瞬時に判断ができるところまでルールやサービス内容を作り込みました。
それを胸に「できる・できない」を明確に意思表示し、噛み合わないと判断したらすぐにお断りをする。目先の利益に目をくらませて、違和感があるのに何とか仕事に繋げられないかとこじつける事を一切やめました。
そして例えお仕事でお伺いするところまでいったとしても、できない事を打診されたら絶対に断る事。ここでも相手の役に立ちたいと、無理にできる理由を探さない事を徹底的に守りました。
これらのおかげで今私は快適に働けていますし、何より心からお客様を大切にでき、私も大切にされています。
胸を張って料理代行というお仕事は素敵だと言え、皆さんを躊躇なく勧誘できているのです。
将来的に料理代行は日本で、なくてはならないお仕事になるでしょう…
いや、そうします。
最高の相棒に出会えた私は、高クオリティな料理代行人を爆発的に全国で増やすために助走をつけています。
ぜひ皆様、今後とも応援の程よろしくお願い致します。
料理代行が当たり前になる世界まで走り抜けたいと思います。
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料理代行6年目
地方(三重県)で独立開業
主婦で母
年間3600品調理
予約の取れない料理代行人【北村光穂】がお届けする
料理代行に興味がある方
家庭調理でキャリアを積んでいる主婦さん
料理人と栄養士(特に女性)の新しい独立の形
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