どうして素直でないといけないのですか？

素直になんかなれないと思い続けて

「素直な人間が伸びる」と、まるで成功の秘訣のように、誰かが教えてくれました。僕は、そのことがずっと心に引っかかっているのです。だって、僕自身が素直でないと自覚していたからです。素直でありたいと思っていても、素直になることが出来ないからです。

そもそも、子供の頃から、素直になることが難しいと感じていました。自分の気持ちを、そのまま言葉にすることが出来ませんでした。それと同じくらい、大人たちの言うことを、そのまま受け取ることも出来ませんでした。

だって、自分の気持ちをそのまま伝えたって、上手くいかないことばかりだったんです。放課後、友達と遊びたいと言っても、勉強しなさいとか、習い事しているから無理だとか言われては不機嫌になるばかりでした。その後の気まずい空気は、子供ながらに耐えがたいものでした。母はとても厳しかったのです。僕の主張は、ことごとく跳ねのけられてしまっていました。毎度のこと上手くいかないものだから、子供ながらに学んだのです。

どうすれば、雰囲気を壊さずにいけるのか、あるいは、どうすれば叱られないで済むのか。どうすれば、要領良くいられるのか。それは、大人たちの顔色を伺うことでした。これを言ったら、いけない。これを言えば、喜ぶ。そんなことを僕の中で繰り返していたんです。

ですが、そんな僕を、大人たちは素直じゃないと注意してきたのでした。

いざ、大人になってみて、素直さが分からなくなったのです。自分を飾らないと人と接することが出来なくなってしまったんです。

それは、どこまでも成長したいと思う自分やありのままの自分を、どこか裏切ることではないかと感じてたのです。自分が周りよりも出来ないのは素直じゃないからだと思うようにもなりました。

素直であるとは

きっと、何だかんだ言って、失敗することが怖くなってしまっていたんです。失敗した時の感覚というのは、自分のありのままの気持ちを言葉にしたときに、大人たちの反応が上手くいかなかったときと、とてもよく似ているのです。何とも言えない気持ちになってしまうのです。

失敗しないためには、どんなことも確証が欲しいのです。自分に大丈夫だって言えるほどの確証が。それでも、どうしても失敗は避けられないのです。

だから、こうしなさいと言われたことも、本当にそれが正しいものかどうか確認したいのです。例えば、早起きすることは良いことだと言われても、どれくらい早く起きればいいんですかとか聞いてしまうのです。それは、結局のところ、素直さには繋がらないものだと言えます。

素直であるって、単純に考えて、ひねくれがないことです。これが良いと言われたら、そのまんま受け止めることが出来る人、何の疑いもなく実行することが出来る人、そうなるのにはあまりにも僕にとって恐ろしいものであったのです。

素直ではない自分が失くしたもの

例えば、ロールプレイングゲームをしたときにでも、僕は失敗をしないために、攻略本を買うよな人間でした。それは、生き方にも表れてしまっていました。失敗しないために、自分の中で効率を求めて、正解を求めてしまうのです。

先ほど、述べさせ頂いた通り、その在り方は、素直さには繋がらないのです。

そんな僕が何を失ってしまっていたのか。それがつい最近ですが、ようやく分かったのです。

それは、明白でワクワク感やドキドキ感であったのです。

言われるまでもなく、先に結果を知っていたとしたら、どんなことでもワクワクすることは出来ないじゃないですか。時には失敗するかもしれないと、思うからこそ、ドキドキするものではないでしょうか。自分信じて進んだ先に何が起きるのか、分からないからこそワクワクすることが出来るのです。

このワクワク感やドキドキ感は、案外人生において大切なものであると思うのです。その感情こそが、最も自分を伸ばしてくれるものになるのです。更に言えることは、この感覚は、どこまでも楽しさを感じさせてくれるものであります。だからこそ、満足感をもたらし継続にも繋がるのです。

僕は、その喜びを子供の頃から、感じらていませんでした。大人の反応が怖かったから、失敗することが怖かったから、ワクワクする方ではなく、大人の正解ばかりを求めてしまっていたから。大人になってからは、自分の思い描いた道を踏み外さないように必死になるあまりに、失敗しないことかつ、効率的なものを求め続けたのです。

それでは僕が望んだような未来は、近づいていくようで、どんどんと遠ざかってしまっていたということだったのです。自分の成長の歩みを送らせていたのですから。

素直であるからこそ、自分がワクワクすることが出来る方向に舵が切れる。

これは、間違いのない事実であり、僕自身がに欠けていたものだと思いました。

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