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WD#39 音楽の海へ①
ところどころ、私は好きになったものに固執しすぎる傾向がある。音楽においてもそれは存在していて、「この曲いい!」と思ったら、そこからしばらくはその曲を毎日のように聴くという音楽の楽しみ方をしている。
しかし、それによる弊害もある。それは、広いジャンルの音楽を聴けないということだ。
私の使っているSpotifyは聴いた音楽にいいね(のようなもの)をすると、「お気に入りの音楽」というプレイリストに自動で組み込まれるシステムなので、私の「お気に入りの音楽」のプレイリストはどうしても似たり寄ったりになってしまう。
別にそれが悪いといっているわけではなく、それに私が不満を抱いているとか、そういうことなのではない。
最近になって、「もっと広い音楽を聴いてみたい」という気持ちが湧き起こってきたのである。
ただ、かといってどこから聴いていけばいいのかわからないので、以前皆さんに「好きな音楽はあるか」というアンケートを実施した。
その結果、なんと15曲も集まってしまった。ここまで集まるとは想像していなかったため、集まった瞬間に「全部聴くの結構時間かかるな…」と思い見ないふりをしていたが、流石にそろそろ扱うべきだと思い立ち、今回は皆さんの好きな音楽を聴いて、自分にとっての新しい音楽的発見に繋がればいいなと思う。
ちなみに最近は桑田佳祐が好きです。それではいってみよう。
1.「厨病激発ボーイ」
一発目からハードな予感がする。投稿者曰く、ボカロの曲で、厨二病がかっこよく聞こえる曲らしい。
そんなことあるか?
そもそも私はボカロとかとは本当に無縁で、歌が下手で作詞だけできるやつのごまかしだと思っているのだが(炎上確定)、これも一つの経験として一度聴いてみる。
(〜試聴中〜)
はい、聴きました。
まず感想としては、一回だけでは解析不能。一秒間あたりの情報量が多すぎて、「な、なんて?ちょ、ちょっとまって、ああ、あ、あ〜」という状況のまま一曲終わってしまった。
英語のリスニングに私はそこまで苦手意識はないが、まさか日本語のリスニングがここまで難解だとは知らなかった。
厨二病がかっこいいとか、そんなことはもう知らない。とにかく、理解が及ばなかった。
これは自分の責任かもしれない。
2.「スプトーニクの犬」
先ほどはかなり忙しない状況になってしまったが、こちらは聞く感じ大丈夫そうだ。
投稿者曰く、「宇宙の怖さと美しさ、悲しすぎる犬、ダークな曲調がクセになる」らしい。
うん、よく分からない。宇宙?犬?なんのことなのか。まあ、音楽の良さは音楽を聴かないことには分かり得ないので、とにかく聴いてみよう。
(〜試聴中〜)
はい、聴きました。
なんだろうな、どこから触れたらいいのか。とにかく、率直に言うと、怖い。
ラジオから聞こえてくるような音から始まると、そこから急に英語入りのラップが始まり、かと思えばまたラジオ、そしたら重低音、そしたら急に囁き声。
先ほどの曲とはまた違った情報量の多さに少々おののいてしまった。
なんか、一曲しか聴いてないのに、5曲くらい聴いた気分に陥ってしまう。
しかし、この曲を好きになるという感性も十分に理解できるな。例えるなら、藤井風の一派な気がする。ファンに怒られるかな。
3.「遠恋」
結構癖のある音楽が続いている。
そんな中でのこちらなのだが、これはなんと読めばいいのだろうか。「とおこい」かな。「えんれん」かな。言葉としては「とおこい」の方がなんかいいので私はこっちで認識する。
聞けばRADWIMPSの曲らしいじゃないか。
あの新海誠の手下だ(炎上確定)。
ラブソングというものも私からは程遠い世界だったので、どんなものなのか楽しみではある。そのかわり、どうしようもなかったらなんで書けばいいんだろう。
ラブソングの感想というのは、常に誰かから反感を買われそうなのだが、まあそれは無視してとにかく聴いてみる。
(〜試聴中〜)
はい、聴きました。
これ、正直な感想言っていいのかな…。でも、そしたらなんかせっかく送ってくれたのに申し訳ないな。もう何かあっても送ってこないかもしれない。
というわけで、めちゃくちゃオブラートに包んで書いてみる。
この文章は曲を聴きながら書いている。そのため、その都度感想を書きているのだが、しばらく書いてふと再生画面に戻ると、歌詞がめっちゃ進んでて、なんか会話してた。
完全に置いて行かれたのである。
歌詞の描写がいい、みたいなことを言ってくれてたのに、肝心のそのストーリーを全くもって聴いていなかった。
これは100%私のミスということになる。
ただ、もう一回聴いてると時間ないので、どういったストーリーだったかは皆さんの耳で確かめていただきたく思う。
すいませんでした。
あ、でもジャケット面白い。
4.「Love yourself」
続いてこの曲。今度はしっかり聴くぞ。
投稿者は、なんとこの曲のタイトルのみ送りつけてきた。誰の曲か、どこがいいのか、という情報は省かれていたが、それは強制していたわけではないので文句の言いようはない。
ただ、そうなるとこういうことが起きる。
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どれ??????????????
とりあえず一番上にジャスティンビーバーが来て、その次に知らないアーティスト、その次にエミネム、その次にまたジャスティン。リトグリもいるではないか。
さあ、果たして投稿者はどれを意図していたのだろうか、という心理戦の開始である。
検索結果を見ると、ジャスティンビーバーがここだけの分母でも2枠を占めている。ということは、「Love yourself」と言えばジャスティン、というのが一般世論なのだろうか。
しかし、よく見るとジャスティンの楽曲のタイトルはyが大文字になっている。ということは、投稿者が意図していたものではないのかもしれない。
ただ、ここでジャスティンビーバーをもし聴いて、本当は違ってるのに感想を書き連ねたらどうだろうか。誰も得しない。
特に誰もお勧めしていないジャスティンビーバーの曲を聴くことを強いられ、その感想を公開しても読者は「へえ」で片付けてしまう。全くもって供給過多である。そんなことはしたくない。
ということで私が下した結論は、聴かない。
そこまでリスクを背負ってまで音楽を聴くのは本来の趣旨から逸脱している。
今回は申し訳ない。さっきから謝罪が多いが、これは果たして投稿者か、私か、どちらが悪いのだろうか。そもそも、「悪い」とかではないのか。
本当に不明瞭なことが多くなってしまった。もし第二次募集があれば、その時アーティスト名もつけてリベンジしてほしい。
5.「4分33秒」
今回ラストはこちら。
なのだが、実は私、この曲知ってます。ていうか、知ってる人も多いんじゃないかな。
この曲はアメリカの作曲家ジョン・ケージによって1952年に発表された曲である。
どういう曲かというと、何もない。ピアノの音もないし、ギターのサウンドも、ベースの重低音も、ドラムのリズムなどあるはずもない。
一応ピアノの曲なのだが、演奏者は開かれたグランドピアノの前に座り、そのまま4分33秒待機する、ただそれだけなのである。
「じゃあ音楽じゃねえよ!!」
その気持ちもわかる。しかし、これはその沈黙の間に起こる演奏者の服の擦れる音とか、誰かの足音とか、そういったいわゆる「環境音」を音楽として捉えた革新的なものとも言える。
このジョン・ケージという人はこういった革新的な音楽をいくつも作り上げてきた。演奏するのに300年くらいかかるため、今もなお演奏され続けている曲もある。
そんな「4分33秒」だが、もしかするとこういう世の中であるからこそ聴くべき曲なのかもしれない。
様々な情報で溢れかえっているこんなご時世の中、沈黙をあえて「聴く」ことで、自ら情報を探し出すという近年失われかけている体験ができるのではないだろうか。
4分33秒というのは、そういった体験を行う究極的な時間、ということなのだろう。
恐らく投稿者はネタとして送ってきたのだが、真剣に受け止めてしまった。皆さんも、4分33秒の中で、自分の音楽を見出してみてはいかがだろうか。
というわけで、今回は以上の5曲(厳密には4曲)を紹介した。
全部で15曲やろうと思っているので、これで三分の一が終わったことになる。まだまだだ。しかし、正直なところ書くことがない時の素材が二つ発生したことになるため嬉しい限りである。
まあでも、連続ではやらないので、次週はまた違うことを書くことになると思う。
ひとまずはこの辺で。
【今週の素人星座占い】
一位 牡羊座
使っているノートがちょうどいいページで終わるのでとてもスッキリする1週間。この1週間でノートを使い切らない牡羊座の人にとっては、特にいいことはない。