「ベンチャーと大手企業のいいとこ取りでキャリアを築く」エンジニア・野上和加奈|私たちがメルカリで働く理由
「あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる」というミッションを掲げるメルカリグループ。そのミッションの実現には「人」の力が欠かせません。多様な価値や可能性を見出すためには、バックグラウンドも価値観も多様なメンバーの力が必要だと考えているからです。
それは、新卒採用においても同じです。メルカリグループには、毎年バックグラウンドの異なる新卒メンバーが集まってきます。本連載「私たちがメルカリで働く理由」では、そんな多種多様な新卒メンバーに、なぜメルカリで働き、なにを目指すのかを聞きます。
今回取り上げるのは、2019年にエンジニアとして新卒で入社した野上和加奈。女性エンジニアを増やすために「Build@Mercari」を立ち上げたり、2021年1月に立ち上がったソウゾウに出向しAIチームを立ち上げたりと、入社後も次々と新たな挑戦を続けています。
そんな野上が語る、メルカリでエンジニアとしての醍醐味とは。関わってきたプロジェクトを中心に、仕事をする上で大切にしているマインドなどを聞きました。
女性エンジニアを増やしたいと決意してメルカリに入社
──エンジニアになろうと思ったきっかけを教えてください。
大学にGoogleの女性エンジニアが講演に来たことがきっかけです。そのとき聴衆から「私は女性というだけで人事やデザイナーと間違われることがあります。どうやって乗り越えましたか?」という質問が出たんです。
「乗り越えられてはいないけど、自分がエンジニアをやることで次世代の子たちに道を示すことができると思う。そうすれば、その子たちはきっと私のことを誇りに思ってくれると思う。」と話していて、感銘を受けました。それで、私も次世代に道を示す存在になりたいと思ったんです。
──それでエンジニアになったんですね。数あるIT企業の中で、なぜメルカリを選んだのですか?
新卒で就職する際の軸として、「自社でプロダクトを作っている企業」が大前提でしたが、その中でもD&Iを大事にしている会社を選びたいと思っていました。メルカリは、面接のときに「IT系や理系の女性を増やす活動をしたい」と言ったら、「それは非常に重要なことなので、ぜひ取り組んでほしいです」と面接官が背中を押してくれたんです。
──女性エンジニアを増やすための取り組みをしているそうですね。
はい。エンジニアを目指す女子高生や女子大生を対象にした「Build@Mercari」というプロジェクトを立ち上げました。このプロジェクトを通して、参加メンバーが簡単なWebアプリケーションの作り方を学び、その後インターンシップへ進みます。この5年間で、「Build@Mercari」経由でメルカリに入社した人が何人もいます。今後、私の手を離れていったとしても長く続いてほしい取り組みです。
また、現在の「Build@Mercari」はオンライン開催ですが、その後のインターンシップは東京メインなので、現在は東京近郊の人にしかアプローチできていません。STEM(※)領域のジェンダーギャップは地方のほうが課題が大きいと考えているので、地方にも「Build@Mercari」のプログラムをもっと届けたいと思っています。
※Science, Technology, Engineering, Mathematicsの略
自分が作ったものによって、エンジニアの開発が加速する
──現在の業務内容を教えてください。
Work SREチームで、SRE(Site Reliability Engineering:サイト信頼性エンジニアリング)というエンジニアをしていて、『メルカリ ハロ』のシステムが安定して動くように保つのが仕事です。エラーが起きていないかを即座に確認できる仕組みを整えたり、エラーが起きたときに対処したり、開発しやすい環境を整えたりしています。
あと兼務で、Work Data Platform & AI/ML チームに所属しています。『メルカリ ハロ』ユーザーに合った仕事をML(Machine Learning)でおすすめするシステムをこれから開発するところです。
──過去に多くのプロジェクトに取り組んできて、特に苦労したエピソードはありますか?
入社直後に入った画像検索のプロジェクトが一番苦労しました。システム自体は私が入社する前から存在していたのですが、当時はまだいろいろと整っていなくて、ソースコードがきれいな状態ではなかったり、ドキュメントの説明も残っていなかったり…。
そのため、新人はなかなか扱えなくて、元からいるメンバーに聞かないと仕事にならないんです。システムを開発したメンバーが異動していたため、残されたメンバーで引き継ぎを行い、整っていなかった部分を改善しました。
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──入社直後から大変な経験をされたんですね。
はい。でも、その経験があったからこそ、「自分が新しいものを作るときは後から来た人にも分かりやすい環境にしよう」と気をつけるようになりました。ドキュメントも書くし、ソースコード自体も理解しやすい状態に保つように心がけています。
──では、野上さんが仕事に取り組む上で、大切にしているマインドを教えてください。
「他の人の開発をいかに快適に加速させるか」を大切にしています。一人でできることは限られているので、自分一人で開発するより、自分の作ったものによってみんなの力が倍になるほうが面白いんです。
新会社に出向し、AIチームの立ち上げに尽力
──野上さんは入社3年目の2021年に、「ソウゾウ」に出向してMLチームの立ち上げに関わったそうですね。
当時、「新規事業の企画・開発・運営を担うソウゾウの立ち上げにあたりメンバーを募集します」と社内で募集していたので立候補しました。
「Build@Mercari」を立ち上げたとき、「こういうことがやりたいです!」と言ったものの、具体的にどう動けばいいのかがわからずに何もできなかったんです。そのときは周りの協力を得て、なんとかプロジェクトを形にできました。この経験から、プロジェクトを立ち上げて推進することにもう一度チャレンジしたい気持ちが強くなりました。
──ソウゾウ時代はどんな業務を担当していたのでしょう?
ML担当メンバーとして商品の推薦システムを開発していました。技術的には手応えを感じていて、良いものができたと思います。
ただ、ビジネス側が行ったキャンペーンによる売上が大きかったんです。そのため「MLの成果」としての評価は難しい部分もありました。最終的にソウゾウという会社はなくなってしまいましたが、この経験は私にとって大きな財産となりました。
一方で良いこともありました。ソウゾウのときに私が採用に関わって入社した人がいるんですけど、「また一緒に働きたい」と言ってもらえたんです。今はWork SREチームで一緒に働いています。そうやって今につながっていることがたくさんあります。
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過去の経験を生かして、MLで売上に貢献したい
──新卒でメルカリに入社し、さまざまな事業やプロジェクトの立ち上げを経験してきた野上さんにとってメルカリで働くことの醍醐味とはなんでしょうか。
やはり個人の裁量が大きいことですね。新規事業を立ち上げるなど、新しいものを作れることがやりがいにつながっています。一方で、育休などの福利厚生が整っており、ベンチャーと大手企業の良いところを取り入れている点が強みだと思います。私自身、今年育休から現場に戻り、新しい挑戦をすることができています。
──最後に、今後の目標を教えてください。
今は再びMLに挑戦する機会をもらったので、ここで結果を出したいです。ソウゾウ時代の経験を生かして、今度は「プロダクトにMLがあることで売上に貢献してるよね」と言われるようになりたいです。
「いかにその人に合った仕事をおすすめできるか」が、これからの『メルカリ ハロ』の成長にとって大きな鍵になります。現在は居住地に近い仕事が表示されていますが、逆に、仕事を提案することで移動につなげられないかと考えているんです。「ここへ行けばこんな面白い仕事があるから行ってみない?」とか「旅の途中でちょっとバイトができるよ」というレコメンドができたら、もっと面白くなりそうだなと思っています。