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デザイナーが体験したAdobe MAX 2023(前編)
こんにちは、デザイナーの東野です。
2023年10月10日からロサンゼルスで行われたAdobe MAX 2023に参加した様子を前編・後編で紹介します。
Adobeの掲げる ”Unleashing art with creators and democratizing creativity.” がAIにより加速したことを感じられる内容が盛りだくさんでした。
Adobe MAXとは
Adobe MAXは、Adobeが毎年主催するクリエイティブ分野の専門家、デザイナー、アーティスト、開発者などが集まる年次のカンファレンスです。
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このカンファレンスでは、Adobeの製品や新機能の発表が行われ、参加者は最新のデザイン、イラストレーション、写真編集、映像制作技術を学び、クリエイター同士の交流も盛んに行われます。
プログラムには基調講演、ハンズオンセッション、セミナー、デモンストレーションなどが用意され、業界のトレンドを把握し、スキルを向上させ、新たなアイデアを得ることができます。
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カンファレンスのプログラムは開始前から発表されており、チケット購入後は管理画面から「Scheduled」で席を予約することもできます。
人気のプログラムは早めに定員に達するので、気になる内容はどんどん予約していきました。
会場は15分前に開場し、開始3分前には「Scheduled」で確保した席が解放される仕組みになっていました(当日気になるプログラムは開始直前に席が空いていれば入れます)。
カンファレンスの数週間前に参加者専用のSlackに招待され、1週間前には専用のアプリがダウンロードでき、事前に情報収集ができるようになっていました。
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Keynote(基調講演)
Keynoteでは、CEOのShantanu Narayen氏の言葉にあった “Adobe has been focused on unleashing art with creators and we have democratized creativity, delivered power and precision, and enable more people to participate(アドビは創造性を具現化するためのハードルを下げ、手段を提供することで誰もがクリエイターになれる環境を創ってきた)” が実現されつつあることが分かり、誰でも手の届くところにきているんだという実感が沸きました。
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AIにより、デザインツールを効率的に使えることや、デザイン作業のスピードや量をこなせることへの価値は相対的に下がり、アウトプットゴールまでのプロセスを言語化(体験設計やコンセプトメイキングなども含む)できることの重要性がより顕著になっていくように感じています。
「AIでデザインする」ことは特別なことではなく、プロンプトを入力したり、デバイスと会話しながらデザインが完結していくのもそう遠くないんだなと思いました。
Adobe Firefly
Keynoteで特に注目した内容がAdobe Firefly Modelです。
Adobe Fireflyの方針として、Adobeプロダクトへのシームレスな統合、商用利用が可能、(Adobe Stockの画像やオープンライセンス画像、パブリックドメインコンテンツを利用した)AIによるトレーニングデータの透明性、コンテンツクレデンシャル機能(クリエイターの編集内容や権利情報)があり、クリエイターとしては安心して利用することができます。
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Fireflyの新しいModelについても3つ発表されました。
その発表後、Audio、Video、3Dにも展開されることも発表されました。
まさにFireflyがプロダクトのコアを担い、統合されていることが分かる発表でした。
アイコンがAdobeの「A」なのも、コアな立ち位置を証明しているのでしょうか(笑)。
1. Adobe Firefly Image 2 Model
従来のモデルの進化版です。ラスター画像の生成に特化し、高品質な画像生成を可能とします。2023年3月からベータ版が提供されており、従来のモデルでは30億枚以上の画像が生成されたそうです。
2. Adobe Firefly Vector Model
プロンプトでベクター生成ができるモデルです。
グラデーションやグループ化されたレイヤーでの出力にも対応し、ベクターグラフィックを簡単に生成できます。
3. Adobe Firefly Design Model
プロンプトからテンプレートを生成でき、デザインを瞬時に生成します。印刷、SNS、Web広告など、Adobe Expressで編集可能である一般的なアスペクト比のテンプレートを生成できます。
デザインプロセスの変化
AI化に伴い、デザインプロセスに変化が起きたことが紹介されたセッションもありました。
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アイディエーションの段階で、生成AIによるビジュアライズした候補を検討することで、最適な方向性を「探す」というプロセスが生まれ、これにより検証期間が減少し、工程が大幅に削減されたというものです。
この「探す」プロセスにより、フィードバックを得ることができ、クライアントとの認識が擦り合わせやすくなり、デザインプロセスを円滑に進めることができるということでした。
なんとなくのイメージはあるけど、それが具現化できない、具現化する術がわからない時にアタリから生成されたイメージから「探す・選ぶ」ことができれば、デザイナーの負担は相当に減ることは容易に想像ができます。
デザインプロセスの変化による時間の節約は、アイディアンの幅を飛躍的に広げ、本質的な課題解決にフォーカスできることはデザイナーにとっても望ましいものです。
余談:食事編
カンファレンス開催中は3食提供されました。プログラムが朝早くから始まるため、朝食も用意されています。
朝食は7時から9時の間に、屋外で軽食が用意されていました。昼食も同じ場所で提供され、ランチボックスからBeef、Chicken、Vegetarianなどの選択肢があり、日替わりでメキシカン料理なども提供されました。
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夕食はクリエイティブパークでの立食形式で、メインディッシュからスイーツまで、会場内にケータリングブースが設置されていました。
カンファレンス全体を通して、(あえて?)列に並ぶ機会が多く、前後の参加者とコミュニケーションをとる機会になったように感じました。
2日目の夕食はBASHというプログラムになり、Sneaks(開発中の実験的な機能の紹介)の後に、会場付近に隣接した駐車場にイベント会場が設置され、盛大なパーティが開催されました。
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後編へ
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