
両替機の横の自販機は小癪
ガチャガチャ売り場の片隅に、さりげなく並ぶ両替機と自動販売機。
このペアを見て、何も感じない人はまだまだ甘い。
両替機は親切ぶっている。「お困りですか?大きなお札ではガチャガチャ回せませんよね?」と言わんばかりに、さっと千円札を小銭に変えてくれる。しかし、隣にポジショニングする自動販売機こそが、本当の策士だ。
両替機で細かくしたお金を手にした瞬間、自販機は静かに囁く。「せっかく小銭があるなら、ちょっと飲み物でもどうですか?」と。
こちらはただ、手持ちのお札を使いやすい形にしたかっただけ。それなのに、気づけば百円玉を握りしめ、「まあ、喉も渇いたし…」と、飲み物を選び始めている。
そう、これは仕組まれた流れだ。
両替機と自販機、彼らはグルなのだ。
最初から財布の中の小銭は、自販機の中へと吸い込まれる運命だったのではないか?この状況を俯瞰すればするほど、自販機の策略が見えてくる。
「小癪な…」
そう呟きながら、私は結局、コーヒーのボタンを押してしまうのだった。