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映画『室井慎次 敗れざる者』のクソデカ感情ネタバレ感想

私、母と兄の影響で『踊る大捜査線』が大好きなんです。
中学生当時、『踊る大捜査線THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』は映画館へ3回観に行きました。私の地元、映画館は海を渡らないとなかった(今も尚ですけど)ので当時を思うとなかなか頑張って観に行ったなぁという感じです。
スピンオフも当時高校生映画館へ行ったし、OD3は大学生、FINALは社会人、しっかり映画館へ行きました。
今年再就職する前、どうしてもドラマ版を観たくてサブスク入ってドラマから本編劇場版を改めて網羅しました。そして、改めて『踊る』っていいなぁ、すげえ作品だなぁ…としみじみ思ったものです。
そして今地上波で踊る祭りになってますが、そうやって何回観ても、どんだけ台詞も覚えていてもやっぱり観ちゃう。SNSの反応を見ながら酒飲めますね。

ということで、本日行ってきたんです。『室井慎次 敗れざる者』。

正直なところ、高校生当時に観た『容疑者 室井慎次』は重すぎて結構トラウマだったんです。
その前にあった『交渉人 真下正義』は初スピンオフ作品。観た当時は分かりやすくドキドキハラハラしてとってもおもしろくて、「これもちゃんと踊るだ!」って思ったから尚更。
だから、この前の地上波放送で久しぶりに容疑者~を観た現在30代。ちゃんとおもしろくて、これって大人の踊るだったんだなと思ったのです。
ということで、今回正直いろんな不安はありましたが映画館何十年ぶりという母を連れて観に行ってきました。

『踊る大捜査線』という作品のファンだし、そもそも青島くんと室井さんの関係が大好きなので警察を辞めた室井さんがどうなっているのか、なんでこんなことになっちゃったのか……観るのが怖い気もしたんですが、観た感想は、ああ、室井さんも一人の人間だったんだなということでした。



新城さんとの話でなぜ警察を辞めたのかってあったけど、冒頭で委員会も解散させられて、秋田県本部長への異動があったけどそれを断ったと。
俺は逃げた、負け犬なんだよって言ってたけど、それを認めるのって苦しいことだと思うんです。

パンフレットに「室井は警視総監になったとしても果たして幸せなのか」っていう亀山Pのコメントを見てちょっと納得というか、私は消化した。
もちろん警視総監になった姿を見たかった。FINALでちょっとだけ改革へ進んだって思えたから尚更。
だけど、警視総監になって、けど改革は思ったように進まなくて、でも和久さんと吉田副総監みたいに次の世代に託そう、ってのはやっぱり、今回は描けなかったのかな。

きっと警視総監というトップに立っても、現場の青島くんとかではなくすぐ下の官僚サマ方が同じ気持ちじゃないと組織なんて簡単に変わらないし、結局今の警察も似たようなもんだろうし。そんなジレンマを重ねる警視総監が果たして室井さんにとって幸せなのかという…。
どの組織も悪しき慣習っていうのは笑っちゃうくらい本当にずっと変わらないし、いい人ほど潰されたり見切りをつけて辞めていく。
室井さんもきっと、ずっとこんな組織辞めてやる!って思ってたはずだと思うけど、辞めなかったのは絶対に『青島との約束』があったからなんだよな。

それがもう少し若い頃なら左遷されても這い上がろうと思ったに違いないし、実際広島とか美幌とかを経てもそうしてきたんだと思うけど、もうこうなってしまってはもうさすがに無理だ、ってなっちゃったのかもしれない。
改革を進めるという惜しい立場までいったのに無理だった、っていうのもあったかもしれない。和久さんと吉田副総監の最後の会話も室井さんは実際見ていたしね…。
だから誰にも何も言わずに辞めた。
新城さんに青島くんのことを聞いたのも、負い目もあるしきっと怒ってるんだろうなぁと気にしてたからだと思うけど、彼は彼なりに出世(そもそも警視庁へ行くってどういうコース??とは思うけどそこはドラマということで)もしてると聞けばもうこれ以上何も詮索なんてしないのかもしれない。

いやでもやっぱり青島くんは怒ってると思うし、青島くんだって室井さんが上にいるから頑張ってるってのはお互い様のはずなんだけどな…きっと室井さんて真面目だから約束を守れなかったことを彼に謝りたいけど、「謝るくらいなら辞めるな!まだ分かんないでしょ!」って言われちゃいそうだよね。
そういう青島くんからの「室井さんならできる、やってくれる」っていう底なしに眩しすぎる信頼に応えられなかったことがいちばんの悔いかもしれないから「負け犬」なんて言えちゃったのかなあ。

でも、室井さんにばっかりそんな苦しい思いさせないでくれよ!っていうのは根底にありますけど!!!なんでなの!!!
地方移住しても田舎の悪い部分(ここリアルで吐いちゃうかと思った)で攻撃されちゃうし。やめてよ…大変な思いしてきたんだから、静かにゆっくりさせてあげてよ…てか途中誤射的な感じで撃とうとしてました??許さんぞ私は

多くが知ってる室井慎次の姿ではない部分がたくさん出てくるんだけど、普通にヒューマンドラマとして見るともしかすると物足りないのかもしれない。
けど、「あの室井さん」がこんな風に家族を思って家事をして、お肉は子どもたちに優先して食べさせて、学校で仲間に入れるようになんて不器用な提案をしたり温かく見守ったりして、喜ばせるために弁当に細工して。いや、高校生男子にアレはかわいそうなんだけども(笑)
あの室井さんが、って思うと、こう、私は観る前に感じるかもと思った残念さよりは室井慎次も1人の人間だったんだよなぁと当たり前のことを感じてしまった。

それでも、決める時にはびっしりスーツ着て、普段そんなに喋らないくせに理路整然と話して、理不尽なことから子どもたちを守ろうとする。それはこれまでの室井さんと何も変わってない。あそこで室井さんのテーマ流す?とは思った(大好きだから嬉しいよ?)けど、スーツとあのコートを纏ったBGMはアレでしかないと思えばそれはそう。
普通ならこんな怖そうなおじさん(申し訳ないけど普通に考えると怖いよね)と暮らす子どもたちは大変だろうし打ち解けるまでの過程はないからなんとも言えないんだけど、そういう人間の本質みたいなものを子どもたちも感じ取って家族として暮らしてるからこうなってるはずで。
だからこそ、タカ君は暗に室井さんみたいになりたいって言ってくれたんだよね。泣いちゃうよあんなん聞いたら。私も泣いたよ。室井さんもきっと寝る前に泣いてるはずよ。あの室井さんでもさ。
20年前の後悔みたいなことは言ってたけど、きっと警察時代にやったことも今のような生活をしていることも何も後悔はしてない。ただ、青島くんとの約束だけが心に引っかかってる。そうなんだろうなと思いました。

まぁ映画としては、OPやエンドロールで名場面みたいなものもあってファンサかな…?とも思ったし、思ったよりちゃんと楽しめたし、杏ちゃんは怖すぎた。演技が凄い。あとリクくんの室井さんの眉間の皺とか頬を下で押すとかの真似っこ、かわいいな~ここでもそれ癖なんだねってニコニコしてたらアドリブだってパンフで見て震えました…末恐ろしいって…

緒方さんや森下さん、新城さんなんかの懐かしメンバーもそれぞれ歳を重ねていて、それぞれの立場で頑張ってるし苦しんでいて。ただ新城さんは「室井さんがいなくなったせいですよ!」ってのは初期の昇進命!みたいなギラギラが見えるのと、先輩である室井さんに甘えてるというかせっかくなら文句の一つでも言いたいってのが見えてなんだかちょっとほっこりしましたね。
でも任意じゃなく強制って謎に言って子どもたちを不安にさせたのはだめだぞコラ!でもそこからの「いいから来い」って自宅に連行する室井さんも、警察を離れたからこそできた行為なのかな、っていろんな感情がぐるぐるしました。だって2人で飲んだとか絶対になかったでしょ。あのシーンめっちゃよかったな…

それにしてもまじで事件なんにも解決してないので後編早くしてください!!
てか『敗れざる者』だけ観ても一応完結してるみたいなこと言ってた中の人誰ですか!!全然ですけど!!???笑

これは『踊る』じゃない、みたいな酷評レビューみたいなものも優秀Googleくんのせいで流れてくるんだけど、そういう人ってスピンオフ観てます???容疑者~もそうだったでしょうが。笑
そもそも『踊る』シリーズではあるけど、『踊る大捜査線』としては私は観ていない。だって、本編はFINALちゃんと迎えたんだからさ。
でもまぁ、予告で散々過去映像出したり、レインボーブリッジの件を擦ったり、あの約束のことを匂わせたりしてましたからね、そこは私もうーん、と思っている。
まぁ映画なんて観に来てもらわないといけないから、昔観てたな~!ってファンを取り込まないといけないってのは分かるけど、なんていうかフジってそういうところあるんだよなぁ……ねぇ…?

いろいろ言ってもまずは、これを作ってくれた、何回も断った柳葉さんが室井慎次をまた演ってくれたという感謝に尽きる。
とにかく、後編を楽しみに待ちます。低評価レビューは見ないぞ。という強い決意と共に…!


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