【メギド72戦術史】背水
オフライン移行も近いので、こういうことをやってみることにしました。詳しい解説ってよりかは、動きがあった時のことをまとめて個人的な所感を書いてます。まあメギド72の歴史を振り返っていく企画(?)みたいな感じです。続くかは知らない。
背水って戦術か?ってか定義は?みたいな人もいると思います。個人的な背水戦術の定義は「HP減少とその維持を伴う攻撃性能の強化」です。少ないHPで戦うというかなりリスクのある行為をしながら代償に攻撃性能を得ているところに戦術としての特徴があると考えます。この条件で考えると除外されるメギドはCラウム(HPが減るほどダメージ軽減特性)、ヴィネ(HP50%以下の味方への回復量上昇)などですね。
個人的に背水について取り上げて考えることは意味があると思っているので、ヌルっとやっていきましょう。
黎明期~最初期の背水とカウンターのアタッカーについて~
初期実装
ガープ
アロケル
ベリト
たった3キャラ、しかもこの時点で背水アタッカーとして実用性があったと言えるのはベリトくらいである。バルムンクは当時もっともロマンがある奥義と言って差し支えなく、ジールバッシュはたくさんのソロモン王に愛される技、そんな背水を当時戦術として見ているプレイヤーはあまりいなかったのではないか(私もそう思います)。しかしいま振り返ってみると「HPが減少するほど強くなる」という要素は大事なものだったと感じるのだ。
初期の各スタイルのアタッカーたちの傾向を見たとき、ラッシュとバーストははっきりしていた。短ゲージからの連撃、これはアタッカーに限らないがフォトン追加を切り札にするラッシュの戦術はそのまま現代メギド72にまで受け継がれている。そしてバーストは長ゲージによる高倍率攻撃と全体攻撃、地形コンボも現在のバーストにつらなる特徴である。
一方カウンターのアタッカーはどうだったか。初期カウンターのアタッカー代表と言えばもちろんマルコシアスであった。次点でシトリーである。シトリーの雷攻撃はカウンターの特徴にもなっていくが、初期時点でバーストにもフルフルとウァプラが存在し、何より滞水はカウンターで扱う方法がなかった。マルコシアスのアタッカーとしての一番の強みは、特性とステージの噛みあいはもちろん、中ゲージでかなりの倍率の奥義を使えることだった。この特徴はインフレの中で徐々に埋もれていき、現在のカウンターのアタッカーたちにそこまで受け継がれなかった特徴である。
メギド72のことを私はかなりカードゲーム的に考えているのだが、TCGで例えるならラッシュはアグロ(速攻)、バーストはランプ(序盤はリソースを溜め、重い技を使う)である。そしてカウンターに与えられた特徴はミッドレンジ(多少のリソースとそこから使える技で立ち回る)とコントロール(相手の妨害)とパーミッション(相手の攻撃を打ち消す)だった。コントロールとパーミッション、つまり状態異常弱体戦術と盾役をはじめとした防御戦術であり、それこそまさにカウンターの花形である。ラッシュとバーストの特徴がサポートメギドの傾向も攻撃に使うものが多めかつ、アタッカーもデザインしやすかったのに対し、カウンターはその特徴の時点でそもそも同スタイルのアタッカーを必要としていなかったと言える(この傾向は現代まであまり変わっていない。全メギドを攻撃力順に並べてみるとその差は歴然である)。
では何がカウンターアタッカーの「伝統」になったのか。それが背水だと思うのだ。カウンターの攻撃戦術というのが明確にできた瞬間はバーサーク、というより怒闘の実装時だろう。このバーサークの特徴というのは「HPが減る代わりに攻撃力が上昇する」ことである。カウンターで染めて編成することでHPを担保しながら戦えるのならば、そのHPを質に入れて戦ってしまおうという設計思想であった。その萌芽が背水に見てとれる。攻撃をしぶとく耐え、一気に攻め立てる!だからメギド72の7.2年の歴史を振り返るとき、背水は大きな意味を持っていたのではないかと思うのだ。散々な言われようだったジールバッシュの本当の強さは、その存在にこそあった!
とまあ、これを書きたくてこの記事をしたためている。ただこの時点の背水に意図されていたのは「HPが減った状況を作って維持すること」ではなく、「耐えて大きな一撃で返すこと」だったと思われる。しかし自傷を伴う大きな一撃と、その自傷によって攻撃力を強化する特性を持つベリトが初期の時点で存在していたことは、以降実装される背水戦術の先駆けだったと言える。
2018年のメギドたちと、彼女
4月
アリトン
シャミハザ
アリトンが実装されたことで、HPが削れたメギドを回復せずに守って戦うことが現実的になった。ベリトをアタッカーとして起用してもある程度裏目が減らせるようになり、ここが戦術としての背水が産声を上げた瞬間と言えるのかもしれない。
アリトンのすぐ次に配布メギドとして実装されたシャミハザは実践的範囲でHPを減らして戦ううまみがあった。シャミハザはその低HPから攻撃を受ければ特性の適用範囲に行けた。雷攻撃と引っさげてきた待望の滞水オーブのインパクトが大きく、シャミハザを背水メギドとカウントするかは別として、当時の配布アタッカーとして相当強かった。
そんな中背水にとんでもないことが起こる…そう、
7月
アスモデウスの実装である。
アスモデウスのHP低下による強化は背水をイメージしたものというより、ボス時の性能そのままで実装しよう!というアスモデウスの格を表した性能だった。が、実装当時最強のアタッカーとしてほとんどのアタッカーを過去のものにし、素で全体攻撃を持つメギドたちの肩身を粉砕したアスモデウスは、背水メギドたちのお株も奪ってしまった。現在は全くされることのない、ボスの前に雑魚戦でHPを削る行為も当時のアスモデウス編成では結構行われていた。
とはいえこの時のエンドコンテンツはまさにその不死者の育成であり、そこに適性があったベリト(対ドゥーム)とシャミハザ(対ルゥルゥ)の価値はあまり変わっていなかった印象だ。
そして10月にRヴィネが実装された。HP33.3%以下でスキルの範囲が全体化される。…一応背水メギドと言って差し支えないだろう。この特性になった理由は「お転婆姫君」いう特性名からするに、おそらくBヴィネのHP50%以下の味方への回復量上昇の裏返しというフレーバーだろう。はい。
中期~背水戦術の独り立ち~
動き出す2019年
3月
Cメフィスト
Cカスピエル
Cインキュバス
バーストのアタッカーに最強のメギド、アスモデウスが実装された2018年夏。その前後でラッシュのアタッカーに現在でも最強格のニバスとベヒモスが実装。カウンターのアタッカーに何もなかったのかと言えばそういうわけでもなく、ベレトの実装(2018/01)からしばらくしてティアマト、Cゼパル、ダゴンらバーサーク娘たちが誕生した。当時のバーサークは編成単位での戦術というよりむしろ強力な自己バフであり、最強格のアタッカーたちと張り合えたかと言われるとそこまでではなかったが。
そして2019年に入り、カウンター三馬鹿が実装。これにより背水、HPが減った状態を維持して戦うことが編成単位の戦術として成り立った。
ロマン砲に近いもののHPの割合的にアロケルよりかなり現実的なCインキュバス、素直な列アタッカーとして運用しやすいだけでなく特性と合わせて強力覚醒スキルを叩き込めるCカスピエル、そして何より他者のHPを減少させながらバリアと攻撃バフまで付けてしかも配布のCメフィスト(余談だがCメフィストの覚醒スキルの固定ダメージは当時難敵であったケツァルコアトル突破のためにこぞって使われた。今やケツァルコアトルはそう難しいボスでもなくなり、懐かしい思い出である)。Cメフィストのスキルを軸としてこれまでの背水メギドたちも実戦に投入しやすくなった。アタッカーの2人もベリトやシャミハザと異なり、技や運用そのものがHPによって変動し、ガープやアロケルよりも現実的に最高威力を狙うことができた。
Cメフィスト+背水組や、特性を盾にしたCカスピエルは割と使いやすく強かった。が、当時もっともCメフィストが腹パンした相手はむべなるかな、アスモデウスであった…。背水戦術が名実ともにカウンターのものとなるにはあの男の実装を待つことになる。
6月
ハック
7月
Cフェニックス
ハックを背水メギドとして捉えている人はほぼいないと思われるが一応紹介だけ。覚醒スキルも奥義も普通に使った場合は全然強くないが、当時のPVP
でハックはトップメタの一角で、ごちゃついた盤面でHPが削れたハックの奥義が予想外のダメージを出す場面がたまにあった覚えがある(私はかなり浅くしかPVPに触れていないので、認識が正しいか微妙)。
Cフェニックスも出た当初は覚醒スキルを使えば強化解除がない敵に対して、単騎で突破できる性能が注目されていた。奥義は全体蘇生しながらHPに応じて、攻撃力強化とアタック追加ができるのは強いが、実装当時はあまり強い使い方がなかった。アタッカーのわざわざHPを削ったり、ネクロ追加前に蘇生させたりするうまみはほとんどなく、しかも蘇生を挟むとフォトン強化をするのもかなり厳しいためロマン技どまりだった覚えがある。
怠惰の大罪
8月
ベルフェゴール
ベルフェゴールの立ち上がりはまさに怠惰そのもの。当時「新たな枠組みのメギド」として実装され、進化度が徐々に解放されるシステムだったからである。かなり強敵のレイガンベレットを倒す必要がありながら進化度4.5ではステータスもそこまでで、奥義の最大倍率なんてとてもじゃないが狙うことはできなかった。スキルを2回使った後、覚醒スキルで全体のHPを調整して奥義を使うというのはまあ…平凡だった。MEの優秀さから怒闘に採用するのが実装されたてのときは最も適していたと思う。
が、秘奥義の開放で状況が一変。なんと一気に味方全員をHP30%まで減らすことが可能になった。しかも回数バリアとフォトン劣化までできる。秘奥義使用可能ターンは使用メギドの最大ゲージ数に依るが、なんと覚醒ゲージ最大-1のMEに乗せれば秘奥義の使用可能ターンも短くなることが判明。フリアエMEに乗せることで秘奥義は2ターンで使えるようになる。そしてベルフェゴール秘奥義とCフェニックス奥義と死線の騎手を合わせた、いわゆるベルおじテンプレはCフェニックスが必須のため開発当初使用者がめちゃくちゃいたわけではなかったが、当時最強格の編成だった。同じ時期に環境最強だったRバルバトスのテンプレ協奏と比べると安定性や編成の自由度で劣ったものの、火力と速度感で上回っていた。当時のトップメタに背水戦術が躍り出た瞬間と言えるだろう。
星6時のステータスの暴力により、テンプレ編成に寄せなくともベルフェゴールは強かった。相手に対処しながら隙を見て秘奥義を使って最大奥義を使う立ち回りでも十分なパワーがあった。他の背水アタッカーと組み合わせて秘奥義でHPを減らすのもかなり強く、ベルフェゴールのMEと合わせてシナジーもあったが、秘奥義を使うならベルフェゴールで殴る方が強いというのも実情であった。
背水というよりベルフェゴールが強いだけ、とも言えた状況だったが当時はほぼ全ての戦術で同じことで、Cカスピエルが使いやすかった背水は戦術としてマシな方だったと思う。
後期~加速するインフレと背水~
2020年
5月
メフィスト専用霊宝
9月
ベリト専用霊宝
メフィストはHP50%以下でスキルの出目が固定できるようになった。そして開幕からHPが50%になるので基本的にイカサマをする。背水要素を使うことはほとんどないが一応触れておく。
ベリトはアタッカー向けの専用霊宝をもらったがあまり話題にならなかった。特性の上昇幅が広がり、HP調整もしやすくなったことで書いてあることを活かして戦いやすくはなったものの、それでもこの時点で力不足感は多少あった。個人的には対ドゥームのアタッカーとして火力出しやすくなったのは悪くなくない?と思っていたが、星間の塔実装まで禁域にドゥームが出現することはなく当時アタッカーとしての出番はあまりなかった。
10月
霊宝系譜【狂勇】実装
ベルフェゴールの星6解放以降ほとんど動きがなかった背水だが(ベルおじテンプレに専用霊宝バラムが採用され、完成の域に入りはした)、2020年10月に背水用の霊宝系譜が実装された。
しかし、肝心のベルフェゴールには基本的にエピック霊宝を持たせたほうが強く、大函以外では攻撃性能を盛れないため、他の背水メギドもかなり凸していないとあまり強くはならなかった。
12月
Cグラシャラボラス
Cグラシャラボラスは属性ダメージを扱いながら驚愕の攻撃倍率も兼ね備え、結構注目度は高かった。ただHP10%以下という強化条件は相当に厳しく、ミノソンが少し前に実装されたことも相まって実戦運用はそれなりといった感じだった。弱かったのかと言われればそんなことはなく、当時の火力としては最強格であったのだが、自動回復を持つ万雷の加護を維持しながら、グラシャラボラスのHPを減らしながら覚醒スキルと奥義を使うのはフォトン湧きも併せてあまり実践的ではない。伝説的倍率から夢を見た速攻というよりも、ネクロ+Cフェニックスや怒闘と併せた中長期戦を見据えた方が強いメギドであった。
「伝説的」ロマンキャラとしてふさわしいメギドであることは間違いない。
2021年
2月
シャミハザ専用霊宝
8月
Rアロケル
10月
Cマルチネ
シャミハザは非常に順当な強化で、ミノソンと合わせても特性条件をちょっと達成しやすくなった。Cメフィストのスキルや死線の騎手一発で達成できる。インフレの進んだ今現在の話をするなら、スキルのHP減少+攻撃バフ目当てでのCメフィスト起用は若干力不足ではあるが(塔をはじめとした何かしらの縛り下なら話は別)。
Rアロケルはロマン砲…というにはちょっと厳しい。最大倍率の厳しさは全メギド随一のように思えるが、残念なことに実戦でのダメージは低い。これは最大値を狙うことが難しいということではなく、最大値を出せたところで弱いということである。現在も続けているソロモン王たちはメギドを始めていた方が多いと思われるが、念のためこの前後の実装メギドを振り返っておくと、Bプルソン、Bウァサゴ、Rボティスが実装済で、一月後にはCウヴァル、Rモラクスが実装される時期であった。
覚醒スキルで自身の素早さを下げて相手に先に攻撃させ、味方の素早さを上げながらスキル強化もして備える動きの意図はわかる。コロッセオ起動後、被ダメージも上がるため、それによって意図的に劣勢の状況を生み出し、そこから逆転の一撃を放つというラッシュにあるまじきカウンター戦術。フレーバーとして、初期のロマン砲として名をはせたCアロケル奥義、復讐剣バルムンクの新解釈としてとても優れたデザインではあるのだが、残念ながら弱いといわざるを得ない。…え?専用霊宝ないまま終わっちゃうの?
Cマルチネのことを背水メギドとして捉える人はおそらく存在しない。覚醒スキルがCハックと対になるように背水要素があるのだ。この覚醒スキルはフレーバーにすぎないが、奥義は当時リヴァイアサンに次ぐ現実的に頼れる数値の他者アーマーである。アーマーはHP換算されない外部HPであり背水と相性がよく、かつCファイターは背水編成と相性抜群のため、Cマルチネは背水強化であったと言ってよいだろう。
膠着の時代
2022年5月
Cカスピエル専用霊宝
インフレが着実に進む中、Cカスピエルに専用霊宝が実装。スキルがHP割合を参照するようになり、背水メギドという枠組みが画定されたことを如実に感じる。ただもう既にBプルソン砲が確立され、ぶっ壊れた全体ダメージを叩き出すルシファーが存在していた状況下で、専用Cカスピエルが輝くのは難しかった。単純なフルオート用列アタッカーにおいても、専用霊宝ブネ実装後にその枠のメギドが必要になることはあまりない。ただ星間の塔が実装されてすぐの時期であり、アタッカーに乏しいカウンターで比較的癖が少ないCカスピエルはそこまで悪くなかった。
2022年の背水の動きはこれだけである。2022年時点でのメギドの環境は現在から東方組とシンギュラリティ組を抜いたような感じで、すでにベルフェゴールすら火力だけなら最上位層から置いていかれつつあった。可能な限り少人数での踏破が望ましい星間の塔においても、HPが減った状態を維持しなければならない背水メギドに適性はあまりなく、全力を出せる機会があまりなかった。
2023年
3月
アリトン専用霊宝
盾役として扱うには少々心許ない素の耐久だったが、HPが40%も上昇した。各種ゲージ技も使いやすく、しかもゲージが自動で溜まるようになり、非常にいい強化である。これまでの保険的に立ち位置から、一つ上の強さを手に入れたと言ってよいだろう。
背水とどうだったかという話だと、アリトンが守りたい背水アタッカーたちの力不足により、趣味編成以外で組むことはあまりなかった。かつての相棒、アスモデウスがわざわざ自身の特性で全体化を狙う場面はほぼなくなり、最強の背水アタッカーベルフェゴールは秘奥義やMEなど様々な防御手段を持っており、アリトンと組む必要はあまりない。HPをわざわざ減らす編成で組まなくとも、アリトンは仕事をできるポテンシャルを手に入れた。
7月
バールベリト
あまり背水メギドと数えられることはない気がするが、れっきとした背水メギドだ。スキルの攻撃倍率、覚醒スキルが対応しており、奥義の順応状態も減ったHPを合わせて維持しようという設計に見える。弱体が通らない相手に対してもブレイク、順応、背水でバールベリトは起用できるよ、という意図だろうか。
が、バールベリトを所持している皆さんならおわかりだろう。こんなことまどろっこしいことをバールベリトでやる必要はない。彼の弱体周りの特異性はずば抜けており、逆に弱体が全く通らない相手に起用したくなることはほとんどない(3凸して奥義が++になっているなら話は別)。覚醒スキルはHPを減らしながらのバフという意味では最強格ではあるが、4ゲージが重い。バールベリトをリーダーにし、弱体が通ればゲージは気にしなくて良くなるが、弱体が通る相手ならもはや何をやっても勝てるだろう。ただこれも2凸して++になっているなら話は少し変わり、攻撃力65%バフと覚醒ゲージ+1は流石に狙いたい場面はある。
バールベリトの背水要素は三馬鹿以降で生まれた、「ギリギリの戦いを演出してゲームとして楽しむ」フレーバーとしてうまく表現は出来ているが、バールベリトを起用するときに背水要素をどれくらい使うのかというと微妙なところである。
そして現代へ…
2024年
3月
マナナンガル
メギドの実装ペースもかなり鈍り、もはや背水に未来はないのかと感じていた中、ついに背水向けメギドが久しぶりに実装。そのマナナンガルの性能は目を疑う強さだった。しかもスキルも覚醒スキルも奥義もMEも背水向けのバッファーという前代未聞のとんでもないメギドである。
やはり最も強烈なのは覚醒スキルの戦旗で、HPが50%以下で攻撃力100%上昇、33.3%以下なら200%上昇という驚異の倍率を強化解除無効、しかもスキル1個で付与できる。背水アタッカーにとってHPを削るためにフォトンを使うことは自身が達成したい条件を満たすだけの行動で、それによって得られるアドバンテージがもはやフォトン比で弱いという状況を打破する画期的な技である。奥義で攻撃バフだけでなく、実質的にHPを減らすこともできる。スキルで保険も掛けられて、しかもMEでカウンター男性の覚醒ゲージを折ることもできる。
戦旗が本当に偉大で、これによりようやくHPを削るためにフォトン使うことが正当化された。「HP減少とその維持を伴う攻撃性能の強化」という最初の定義に沿って動くのが有効な時代が来たのだ。
とはいえ背水アタッカー目線でちょっと悲しいことも起きている。マナナンガルの戦旗条件は「ラッシュまたはカウンター」と非常に緩いため、極論誰でも恩恵を受けられる。
note用 pic.twitter.com/Xv3d0MnMB1
— ととたな (@1Qj3LVOhqywxjhR) February 6, 2025
例としてはこんな感じ。マナナンガルを使ったこういう感じの1ターンキルはベルフェゴールでもできる。
アタッカーもHPが削られるようなステージに、強力な他のアタッカー+マナナンガルで組んでもシナジーがきちんとある。背水戦術そのものの広がりとも言えるが、ベルフェゴール以外の背水アタッカーが大手を振って歩ける時代が来たわけではないのだ。でも昔より全然いいと思うけどね!
8月
アスモデウス専用霊宝
背水部分に変更はないが、かつての最強メギドにも専用霊宝が与えられた。インフレを感じる…と言いたいが、別にこのとき極端に型落ちしているなんてことはなかった。
12月
霊宝系譜【狂勇】Lv2実装
変わった効果のものが実装されたわけではなく、順当に以前のものから効果値が上がったものが実装された。つまり大函以外での攻撃面での強化は乏しいと言わざるを得ない。が、大函を積めたときの攻撃面での強化はエピック/シーナリー霊宝と同等、編成のバフとの兼ね合い次第で上回るようになっており、ようやくその本懐を遂げられるようになった。
背水の歴史的意義
メギド72のサービス開始時、火力を出すシステムがラッシュとバーストに明確に用意されていたのに対し、カウンターには恐らく想定されていなかった(もしくは単にラッシュとバーストの間と捉えられていた)。本来カウンターに与えられていた「耐えて殴り返す」設計を、「HPが減ることで強くなる」へと翻意させた背水はメギド72を振り返るときに一つの重要なファクターになりうるのではないか。
強さの話をすればベルフェゴール以外置いてけぼり気味で、専用霊宝もあまりもらえず、系譜もそれなりな不遇な戦術である。マナナンガル実装で「HPを減らすことによるリターン」はかなり多くなったが、ベルフェゴール以外の背水アタッカーたちの出番は塔含めかなり検討がいる。
ただジールバッシュ、バルムンクから続く浪漫はソロモン王たちの心を魅了する。流血でたぎる追い詰められた男の本気の素顔の怒りの伝説で敵を詫びさせよう。