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【徒然】結婚目前の今、気持ちを整理する

遠い昔の春。
第一志望の大学に合格。
憧れのひとり暮らしを始めた。

人見知りなりに友達もでき、
入学前から入部を決めていたサークルにも入った。

そんな中、とあるクラスメートとのお付き合いが始まった。

お互いろくに恋愛経験もなく、
20回以上のデートを重ねてようやくお付き合い。

自分に自信がなかった私に、言葉でも行動でも根気よく愛を伝えてくれた。
ただひたすら私を愛してくれた。
彼といる自分のことも好きになれた。
ハタチそこそことは思えないくらい精神的に大人で、心から尊敬していたし大好きだった。

よくいる学生カップルのように卒業後に別れるなんてありえない、一生一緒にいると信じて疑わなかったのに、大学卒業後まもなく離別してしまった。

ある日、手を繋いで交差点を渡りながら
「ずっと◯◯の彼女でいたいな」
「彼女でいいの?お嫁さんじゃなくて?」
という会話をして、あまりの幸せに舞い上がったこと。

猫のパフェを食べるためにさんざん歩き回ったこと。

付き合った時の告白の様子を友だちが絵に描いてくれたこと。

賢いのに記憶力が悪い彼は、どこまで覚えてくれてるのかな。

別れてから3年くらいは、波はあれど地獄のような日々だった。死にたい死にたいで頭がいっぱいで、何度も泣いて。
5年くらい経つ頃にはずいぶんと頻度は減っていたけれど、それでもなにかの拍子にものすごい悲しみに襲われ、外に出れば車道に飛び出しそうなこともあった。

その間にたくさん婚活して何人もと出会い付き合ったけれど、出会いの数が増えるにつれてむしろ彼への気持ちが高まり、どうしたらいいかわからなかった。
執着するのはお互いのためによくない。
行動しても結局彼以上の人に出会えない。
そもそもが最高の思い出なのに、脳内でどんどん美化され、手に入らないものへの執着も加わって、絶対に超えられない高い壁のように感じた。
スペックやら好きなところやらそんな次元ではなくて、とにかく存在が好き。
どんな姿になっても、どんなに苦しい状況でも、なんなら結婚にこだわらなくても、どんな形でもいいから彼と一緒の時間を過ごしたかった。

それでも時間というのはすごい。
「時間が解決する」っていうのに3年や5年経っても解決しない、あんなのは嘘だ、と思っていた。
たしかに3年や5年では解決しなかったけれど、
あともう少し、プラスアルファの時間が経ったころにようやく本当の意味で前を向けた。

そして今、別の男性と婚約し、結婚間近となった。
学生時代の彼と、現在の婚約者。
どちらが好きかというと正直答えられない。
人生で2番めに好きな人と結婚するのがいいという話もあるし
だけどやっぱり人生でいちばん好き!と言い切れる相手との結婚にも憧れがある。
人それぞれいいところ悪いところあるんだから、比べること自体ナンセンスじゃない?という意見を武器に、学生時代の彼への気持ちに蓋をしているのかもしれない。
実際自分でもどちらがどうというのはわからない。
熱烈な感情をもてたのは若さによるところも大きく、アラサーになればどんな素敵な相手だろうと若い頃のような感情はもてなくてもしかたない。
それに、私が戻りたいのはあの頃の彼であって、彼と今戻ったとしてもあの頃のようにいられるかはまた別問題だ。
なんてことを考えると本当にどちらが好きとも言えないのだ。


そんな中で、婚約直前に事件があった。
別れてから初めて、学生時代の彼から連絡がきたのだ。
連絡することは時々あった。でもいつも私からだった。
なのに、どうして??突然のLINEにドキドキした。
会いたい、それどころか戻れるなら戻りたいとさえ思ってしまった。
それでもギリギリ残っていた理性で現在は相手がいることを伝え、会いに行くのは控えた。
こんなにも大好きで会いたくても、「相手がいない」という嘘をついてまで会いに行くのは違う、と思わせてくれたのは、私ではなく彼と婚約者両方の人格ゆえのことだ。

さらに皮肉なことに(?)、なんと彼が「いつか大切な人を連れていきたい」と言った場所で私は現在の婚約者からプロポーズされた。
6月のあの日からここまで、10年単位の長い長い物語のようだった。

最近の私は「選んだ道を正解にする」スタンスだ。婚約した以上、現在の婚約者に誠実に向き合い、幸せな家庭を築けるように努力したいと思っている。

別れた時彼がTwitter(当時)で私に宛てたThank  youのメッセージは、今でも古いiPhoneにスクショが残っている。
結構長い間そのツイートが固定されていたのに、いつのまにか固定が解除されたことも私は気づいている。
ツイートやLINEのスクショも、ディズニーで買ってもらったガラスの靴も、いろんな思い出も、決して捨てることはない。
きっとかけがえのない存在として一生私の心の中で存在し続けるだろう。
だけど今の私は、死にたいと喚いたり誰かに迷惑をかけたりすることなく、きれいな思い出として大切に胸にしまっておこうと思えるようになった。

彼に教えてもらった優しさ、思いやり、気遣いを、周りの人たちに還元していきたい。

「優しい大人になれましたか?」

20歳の誕生日にもらった手紙に書かれていた言葉、今のほうが心に響く。
30近くなってやっと受け止められるようになった私、まだまだ彼には敵わないな。

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