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自己PRは、本当にそれでよいの?
公務員試験の面接では、さまざまな要因で不合格となる可能性がありますが、社会人経験者の中で特に多いと感じるのは「自己分析の浅さ」です。
まあ、公務員受験に限った事ではなく、民間の転職でも多いのですが、
同業他社や、同職種での転職が多い民間とは少し違います。
自己分析の甘さが生む“ズレ”
社会人としての経験やスキルをどのように行政の仕事に活かせるのか、この点について深く考えられていないケースが多く見られます。たとえば、基礎自治体を受験する場合、「住民対応にはコミュニケーションが大事」と考えるのは間違いではありません。ですが、例えば、8年間の経理・財務の経験があるにもかかわらず、「自分の強みは、さまざまな部署に依頼をしたり相談を受けたりしたときのコミュニケーション力」とするのは、少しもったいない視点です。(実際にあった例です)
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「コミュニケーション力」という曖昧な表現では伝わらない
「コミュニケーション力があります」というアピールは、内容が具体的でなければ新卒と変わらない印象になってしまいます。特に社会人経験者の場合、単に「誰とでも話せる」「円滑にやり取りできる」といった表現では不十分です。
コミュニケーション力を強みとして伝える際は、より具体的なスキルに分解することが重要です。たとえば、
🍳「傾聴力」 → 住民の悩みや職員の要望を正しく受け取り、相手の本質的な課題を理解する力
🍳「伝える力」 → 専門的な知識や難しい内容を、相手に分かりやすく説明し、納得感を持ってもらう力
🍳「調整力」 → 複数の部署や関係者の意見をまとめ、合意形成を図る力
こうした要素を踏まえ、自分の経験と結びつけて説明することで、面接官に「行政の仕事でどのように活かせるのか」が伝わりやすくなります。
採用側は何を期待しているのか?
面接官は、単に「コミュニケーションが得意かどうか」ではなく、これまで培ったスキルを行政でどのように応用できるのかを知りたいと考えています。たとえば、経理・財務の経験者であれば、期待するのはコミュニケーション力よりも大きなものがありますね。
予算管理のスキルを活かし、限られた財源の中で効率的な運営を考えられる力
データ分析を通じて、施策の効果検証や財政計画に貢献できる力
組織全体の収支バランスを把握し、適切な提案ができる視点
といった強みが考えられます。こうした「行政で求められる力」と結びつけた自己PRができていないと、採用側との“ズレ”が生まれてしまいます。
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どうすればよいのか?
🍳 自分の経験・スキルを行政の業務内容に当てはめて考える
🍳 「行政で応用できる力」として言語化する
🍳 コミュニケーション力を「傾聴」「伝える力」「調整力」などに分解し、仕事の成果と結びつける
🎯 そして、面接官の視点に立ち、「この人を採用するとどんなメリットがあるか」を意識する
公務員試験の面接は、単なる自己PRの場ではなく、「行政の仕事を理解し、自分がどのように貢献できるかを伝える場」です。自己分析を深め、採用側の期待に応えるアピールができる事が合格には必要です。
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カッツ・モデルを知らなくても、参考になる!
カッツモデル(Katz Model)に基づき、自己PRに使えるスキルや強みを年齢層別に整理しました。カッツモデルは、職位やキャリアのステージに応じて必要なスキルを 「テクニカルスキル」「ヒューマンスキル」「コンセプチュアルスキル」 の3つに分類するものです。
これは、民間だけでなく、行政でも同じです。そして年代別の評価基準の土台です。
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🔹 20代(若手・実務担当者)
💡 求められるスキルと強み
🎨 テクニカルスキル(実務スキル)
もちろん、現職公務員ではない限り、未経験の業務になるので、現職では
どうやって培ってきたのか?活かせるスキルの事です。
迅速なキャッチアップ(新しい技術・業務を素早く学べる)
基本業務の確実な遂行(目的や目標を把握し、ミスなく、正確に仕事をこなせる)
ITリテラシー(業務効率化ツールやDXに対応できる)やマナーを含めた社会人の基本
🎨 ヒューマンスキル(対人関係)
チームワークを大切にする姿勢(協調性・報連相ができる)
素直さと柔軟性(フィードバックを受け入れ、改善できる)
積極性と行動力(指示待ちではなく、自ら動く姿勢)
🎨 コンセプチュアルスキル(課題解決・思考力)
20代後半になると、ここの有無はかなり重要になってきます。
ロジカルシンキングの基礎(原因の把握や分析が出来、簡単な問題解決ができる)
目的意識を持った仕事(指示の背景を理解して動ける)
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🔹 30代(中堅・リーダー層)
💡 求められるスキルと強み
➡ ヒューマンスキル(対人調整力) と コンセプチュアルスキル(課題解決力) が重要になってきます。
🎨 テクニカルスキル(専門技術・業務スキル)
実務のスペシャリスト(業務の深い知識と実績のエピソード)
後輩指導・育成スキル(経験を活かして教えられる)
🎨 ヒューマンスキル(対人関係)
コミュニケーション力(部下・上司・他部署との調整力)
リーダーシップ(チームをまとめ、成果を出せる)
交渉力・折衝力(社内外の利害関係を調整できる)
✅ コンセプチュアルスキル(課題解決・思考力)
業務の効率化・改善力(問題を見つけ、解決策を提案できる)
戦略的思考(長期的な視点で物事を考えられる)
🔹 40代(管理職・マネージャー)
💡 求められるスキルと強み
➡ コンセプチュアルスキル(経営視点・戦略立案) があれば望ましい。
せめて、部分最適(自分や自部署の利益)ではなく、全体最適で考える力
は欲しい。
🎨 テクニカルスキル(専門技術・業務スキル)今までの分野で武器を
習得しているか?そして、応用が出来るか?
民間の転職なら、同じ業界や、同じ職種で転職をする場合、ここがなければ書類審査の通過も難しい。民間から公務員は、キャリアチェンジになるが、活かせる事を、自分自身が自覚し、イメージできる事が必須です。
業界・組織の深い知識(経験に基づく専門性)
経営・マネジメントスキル(数字を扱い、意思決定できる)
🎨 ヒューマンスキル(対人関係)
組織マネジメント(部下の育成、チーム運営)
リーダーシップ(意思決定・統率力)
🎨 コンセプチュアルスキル(課題解決・思考力)
事業戦略の立案と実行(組織全体の目標に貢献できる)
リスク管理・危機対応力(問題が起こる前に対策を打てる)
キャリアの段階に応じた自己PRを意識すると、面接官は採用後の活躍のイメージが持てるようになります。現職、前職で活躍をしていなかった人が、公務員になった途端に活躍するとは誰も思いません。
採用するメリットは、面接官が探すのではなく(新卒はこの部分が大きい)、社会人は自分が明確に持つ事により、面接の質疑応答の中で適切に表現が出来るようになります。
優秀な営業マンでも、自分の強みを客観視して表現をするのは、実は難しいです。
自分の過去の経験を考えと行動の両面で書き出しながら、先輩や上司の視点で見るのも良い手ですが、プロのサポートも有効ですよ。
そのような悩みをお持ちなら、カウンセリングを受けるのもお勧めです。
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