【NHK】逆転人生~伝説のパンダ飼育員 命の大逆転劇
妻はパンダが大好きで、パンダを見ていれば機嫌がよくなる。ということで、パンダ飼育員の「逆転人生」を夫婦で見てみた。番組の終わりには、生まれたばかりの子パンダも登場し、妻は終始ご機嫌だった。夫婦の場合は、相手の好みを知ることが円満の秘訣だ。
まあ、それはいいとして。和歌山の動物園は、世界的なパンダ繁殖拠点で、繁殖したパンダを中国に輸出?しているほどだ。パンダは発情期を見極めるのが難しく、春になると、飼育員は24時間パンダの発育を観察し続けるそうだ。パンダを繁殖させるプロの飼育員もかつては挫折を経験したことがあった。それが「逆転人生」のテーマとなる。
目の前のことに「気づく」こと
伝説のパンダ飼育員、熊川さんには、心を痛めている失敗の経験がある。熊川さんがパンダ飼育担当になって、二度目のパンダ出産時、その日の宿直だった熊川さんは、パンダの赤ちゃんが双子であることに気づかず未熟児のパンダを死なせてしまう(気づくのが遅く報告できなかったので、処置が遅れた?)。それが、熊川さんにとっての大きな痛手となった。
そして、その半年後に、熊川さんは10年も続けていた飼育の現場を離れて、動物園の営業課に回されてしまう。手痛い挫折を経験することになったのだ。熊川さんは、当時のことを振り返って、とにかく忙しくて目の前のことに振り回されていたと語っている。パンダ飼育員の日常は、目が回るほど忙しいのだ。華やかな?世界の裏には、泥臭い現場がある。
熊川さんは、目の前のパンダの出産の兆候に気づけないくらい、少し先のことを見る余裕もなくなっていたのだ。
しかし、熊川さんのすごいところは、失敗を失敗で終わらせなかったことだ。熊川さんは、長年の時を経て再びパンダ飼育員のリーダーとしてカムバックする。熊川さんは、失敗を活かし、どんな小さな兆候にも「気づく」ことを大切にするようになる。気づこうとして、観察しているとパンダの訴えること(言いたいこと)が分かるようになる。
番組内で、パンダが「水がない」と訴えているのを読み取る姿は、まるで読心術を見ているかのようだった。パンダは、伝わらないと、すぐにすねてしまうので、一瞬の動きから、何がしたいか、何を願っているかを見抜く必要があるのだ。この熟練の技の精度が試される時が来る。今から2年前には、やはり未熟児で生まれたパンダの飼育を、チーム一丸となり成功させることができたのだ。見事なリベンジだ。
失敗から学ぶ人は美しい
私は、スポーツアスリートや、一線で働き続けてきた仕事人のドキュメンタリーを見るのが好きだ。どんな仕事でも一直線ではない。時に挫折を、時に失敗を経験し、そこから這い上がってくる過程がある。そして、一直線では行かないからこそ、挫折を経験したからこそ、得る深みが熟練の技になる。
熊川さんも、失敗を経験したからこそ、目の前のことに「気づく」大切さが心に刻み込まれたのだ。人生は、いろいろあるけれど、そこから学ぼうとする人にとっては、すべてが宝のような経験になることだろう。
ちなみに、熊川さんは、これから「マリン課」に配属されることになるという。また、パンダを離れた新しい飼育員人生が始まることになる。でも、これまで培ったパンダ経験は失われない。
熊川さんのパンダ本も発見!プレミアついているな~~