外的コントロールは誰をも幸せにしない!「選択理論」心理学を学ぼう。
ビジネスも、恋愛も、カウンセリングも、すべての基礎は心理学にある。そこにあるのは「人」対「人」の関係なのだから。人生において、心理に関する洞察・健やかな人間関係の築き方に関する知識は絶対に役に立つ。
心理学を活用して(?)人の心を「巧みに動かす(操る)」ことを謳うビジネス書の類は非常に多い。多くは浅薄な情報で読むに耐えないけれど。そんな中で、私がぜひ活用したい心理学理論がある、それが選択理論だ。
決して「押し付けない」心理学
選択理論は決して「押し付けない」心理学だ。薬を処方したことの無い精神科医ウイリアム・グラッサー博士が臨床(カウンセリング)の現場で発見し体系化した実践心理学だ。現実療法(リアリティ・セラピー)としても知られている。
理論の肝は「人間関係」と「選択」だ。
どんな病(にみえる症状)も、不満足な「人間関係」が背後にあり、患者はその重要な問題に取り組むのを避けて不快な症状を自ら「選択」していると考える。自ら「選択」していることに気が付いた患者は、自らのコントロールを取り戻し、快方に向かう(快方に向かうことを「選択」した人は)。
この「選択理論」の中では、駆逐すべき考えは・・外的コントロール心理学である。人は「内的コントロール力」しか持たない、つまりは、自分しか変えられないのに「外的コントロール力」を使おうとする傾向があり、これが不満足な人間関係の亀裂につながっている。つまりは、人を変えようとするってこと。
すべての人が、自分で「選択」して日々を生きていることを思い起こす必要があり、セラピストができるのはそこまで。
私にとっての気づきは、この世界の多くの対人関係スキルを磨くためのノウハウが、選択理論とは対照的な「外的コントロール心理学」を前提にしているということ。つまり、人は説得して変えられる。また、変えてあげたほうが親切なのだ。こういう考え方に立脚していることに気づいた。
自分ではなく他の人を変えようとする。その結果として、自分も相手も不満足な結果を得る。とりわけ、ビジネスの世界では外的コントロールこそ王道である。
ビジネスと「外的コントロール」
私が過去にDRM(ダイレクトレスポンスマーケティング)を学んでいるときに叩き込まれた考え方を思いだす。人を突き飛ばしたり、強引に動かすのは良くないけれど、時と場合によっては正しい行動になるという考え方。つまりトラックが前から突っ込んできて、危ういときには、思いっきり突き飛ばしたほうが感謝される。
同じように、時には思いっきり煽って、いわば「買わせる」ことが必要である。こういう考え方を何度も教え込まれた。でも、これって、やっぱり歪んでいるかも?
人の考えや行動をコントロールすることは誰にもできない。そうしているように見えても、実際には本人が「選択」しているのだ、何らかの強い影響力を使い、「選択」を誘導することは、不満足な人間関係(ビジネス上の不満)という疾病を生み出す土壌になる。
外的コントロールが不満足な人間関係を作る
多くのビジネス理論が、顧客を征服すべきもの。戦争をメタファにとる。顧客自らが「選択」できる力があるということを忘れている・忘れさせているようで、これは、健全な人間関係としては大いに不満足な点だ。誰かが「敗者」になることを前提としているのだ。
繰り返すけれど、私はビジネスと他の場面での人間関係というのはきわめて似ているもの、同じものであると考えているので、どこであっても外的コントロール心理学を使うことには抵抗がある。今まで漠然と考えてきた、感じてきた、ビジネスへの違和感の原因が、ここにあるということを悟って、うれしくなった。
選択理論は、ぜひとも深く学んでみたい心理学だ。グラッサー博士の本は、分厚くて全体を理解するのにはちょっと時間が必要。軽く学びたい場合は、下記の書籍がおすすめだ。
人も、環境も変えられない。変えられるのは自分だけだ。変えられないものを変えようと思うほどに人を苦しめるものはない。それは、論理療法(REBT)の3つの洞察とも重なるものに思えた。