どこまでも延びる終活需要!デスケア産業と自分の死後にこだわる人たち。
葬儀・葬式を中心として、その周辺ビジネスのことを「デスケア」産業というらしい。なかなかブラックな感じだ。私は終活ビジネスと呼んでいたけど、葬式・葬儀だけではなく、遺言・相続の生前準備に関わる「プレニード」から死後のことを扱う「アフターニード」までを含めてデスケア産業というらしい。
エンディングサポートという少額保険を販売している倉田さんのセミナーの様子を引用してみたい。
プレニード(死ぬ前の準備)
プレニードに含まれるのは、いわゆる「終活」の分野だ。遺言や葬儀の準備、相続対策など。本人が指揮をとって、死後のことを事前に準備すること。私の叔父も、末期がんだったので、死ぬ際の準備を事細かく整えていたし、自分の葬式まで計画していた。葬儀社なども積極的に終活セミナーを開いて、プレニードの掘り出しに一生懸命だ。
「倉田氏は「自分が死を迎えるにあたって、死後に必要な諸手続きの相談までできるかというところがひとつのポイント」と話していた。・・・自分の死や死後に積極的にかかわりたい、「死んでしまったらすべておしまい、自分の意志ではどうにもならない」というのではなく、「なるべく生前に自分で決めておきたい」という人が増えていると考えても良いのではないだろうか。」(P102-103)
しがみつかない死に方 孤独死時代を豊かに生きるヒント (角川oneテーマ21) 香山 リカ (著)
アフターニード(死んだ後の準備)
これに対して、死んだ後のことをしっかり備えていきたいという「アフターニード」という需要も伸びているという。いくら事前に計画できても、死後に自分の思った通りに物事が行われるかどうかは本人は分からない。当たり前だけど、第三者の助けが必要とされる。
「倉田氏はこんなことを言っていた。「本人はもういないんですけれども、自分の思った通りの処理をしてくれる人がいてほしい、という声があるんです。その流れの中で、当社はどちらかというとこのアフター側の資金を簡単に提供する、という役割を果たします。そのとき、たとえば、「プレニード」側を担当してくれる弁護士事務所さんと提携して、ご本人の思いを死後に弁護士さんが執行するという仕組みを作ったりしています。」(P103)
しがみつかない死に方 孤独死時代を豊かに生きるヒント (角川oneテーマ21) 香山 リカ (著)
公正証書を作って、遺言執行させたりしていくのも、アフターニードにあたるかな。どうしても養わなければならない子供を遺していくことになった場合など、最後の最後まで見守りたい人にとっては必要なサービスなのだろう。死んでまで、そこまでしなくていいよって人もいるんだろうけど。
「死に様」を決める
自分の「生き様」だけではなく「死に様」まで、「自分で決める」人達の存在。これが大きなビジネスチャンスになっている。生きているうちはがっちり自分の意見を通すけど死んだら、その後のことは家族でやってね・・・というのが普通だったと思うんだけど。近年、意外なくらい、自分の「その後」にこだわる人が増えている。
将来のことは、皆が不安なので、将来の保障を売る保険はこれからも売れるはず。その将来が死後まで伸びていくと、こりゃあ需要は無限である。100年後、200年後を保障するような保険ができたら、それでも購入する人もいるかもしれないね。つまり、人間の欲ってのは無限であるってことなんだろう。