【感想】Eテレ「思考のジャムセッション」コロナ太りと分かっているのに食べてしまうワケ。
各分野の専門家が集まって、一つのテーマに沿って自由に語り合う。予定調和なしで、結論があるようでないような、思考のジャムセッション。今回のテーマは「太ると分かっているのにどうして食べてしまうか」。IVAN+理論物理、親鸞、霊長類心理学、知能ロボティクスの4人の研究家が自説をもとに語り合うという番組。
なんだかまとまっていない感じの番組だなぁと思ったのだが「思考のジャムセッション」なので「あえて」なのだろう。ということは、あまり打ち合わせもせずに、本当に自由に語り合わせているのだろうか。私は、知能ロボティクス派だったな。
コロナ太りしてしまう理由
4人の専門家が、コロナ太りすると分かっているのに食べるのをやめられない理由を説明する。
霊長類心理学:目の前にあるものに手を伸ばしてしまうのが動物。
知能ロボティクス:報酬が大きいほうに手を伸ばすようにプログラムされている。
親鸞:人間はみな悪人。
理論物理:慣性の法則。急には止まれない。
行動分析学・行動心理学に惹かれている私としては、知能ロボティクスの日永田智絵博士の説明が面白かった。人間も、動物も、複雑怪奇な行動をするようだけれど、実は非常に単純な仕組みに動かされている。より「報酬」の大きな方に走るということだ。
日永田智絵博士は、目の前にある食べ物を食べることを報酬2に、我慢することを報酬1に設定してプログラムする。当然だがロボットは報酬が高いほうを選ぶ(つまり、我慢できずに食べる)。しかし、3回我慢すると報酬を10に設定すると、ロボットは進んで?我慢するのだ。そのほうがトータルで得られる報酬が大きくなるからだ。
つまり、ただ目の前にあるものを食べるか、我慢するかという戦いなら、人間も簡単に負けてしまうけれども、今我慢することで、彼(彼女)と海に行けるなどの将来の報酬が明確だと、人は進んで我慢するのだ。より、報酬が大きいほうを選ぶ。これが鉄則だ。個人的には竹を割ったように明快な説明だった。同時に、どうやったら我慢できるかの応用まで示している。
この番組を見て、改めて、自分の興味関心が分かった。ちょうど、この本を読んでいるから・・という要因もありそうだが、人間の心理(行動)は複雑に考えすぎず、シンプルに考えたほうが良い気がする。哲学を否定するものではないけれど、哲学がどれほど実生活に役立つかは不明な気もするしね。