パンデミックは半唯物主義【感想】BS1スペシャル シリーズコロナ危機「マルクス・ガブリエル コロナ時代の精神のワクチン」
マルクス・ガブリエルはドイツ観念論の流れをくむ新進気鋭の哲学者。彼の考える「新実在論」は、コロナ時代を、どう読み解くのか。
コロナ禍の先にある未来は科学でも、政治でも解決できない。これこそ哲学の力が必要だと説く。ワクチンさえできれば、すべてが解決するというある種の「唯物論」は危険だ。ガブリエル氏は、カール・マルクスの言葉をもじり「科学は人民のアヘンだ」と述べる。この時代こそ「精神のワクチン」が必要なのだ。
(分ったようで分からなかったけど、分かったとこだけ書いておく)
コロナ危機がもたらすもの
ガブリエル氏は、大きな意味では、コロナ危機を前向きにとらえている。ウイルスは目に見える存在ではない。科学はウイルスについて完全に解明しているわけではない。ウイルスの振る舞いは常に予測外だ。その意味で、ウイルスは「物質」ではない。ウイルスは目に見えない存在だ。
ウイルスのような目に見えない存在が人間の行動を可視化させるようになった。つまり、これはひとつのチャンスだという。人類は目に見えないものと向き合い、モラルを向上させるチャンスの瞬間をつかもうとしているのだ。コロナ危機は「消費資本主義」の幻想を暴いてきた。
唯物主義の幻想
ひたすらに物質を得ることが幸せにつながるという唯物主義の「呪縛」はコロナによって暴かれた。コロナ禍の中での貴重な気づきは、生きていくために、多くのものは必要ないという発見だ。私も、何着もスーツを持っていたり、靴を用意したりしていたけど、コロナ禍になってから使用する回数が激減した。ネクタイも、かばんも、必要だと思って色々そろえていたけれど、それぞれ一個あれば十分だった。
あれもしたい、これもしたい、あれが欲しい、これが欲しいと思っていたものは全然必要なかった。ステイホームしている中では、物は邪魔になるだけだ。食事でさえシンプルでよいのだ。世界中で、一斉にこんな気づきを得る機会があっただろうか。ガブリエル氏も、コロナ禍で生活がスローダウンして、公園にいるオウムやチョウチョに気づくようになった。思考が変わり、物事の見え方が変わったのだ。
パンデミックは半唯物主義と言える。人類はウイルスを通して、物より上位の現実に触れることができるようになったのだ。1989年の冷戦終結とともに始まった新自由主義グローバル世界は、2020年のコロナ危機によって終わり、変革の瞬間を迎えている。
感想まとめ
言いたいことはなんとなく分かるものの、番組後半の「意味の場」について語り始めているあたりから、私の頭は完全にこんがらがってしまった。「世界は存在しない」「個人すら存在していない」という言葉の意味は?さすがだ。哲学者の脳は違う。一生懸命ノートを取りながら聞いていたのに、どうしても理解できない切なさを味わった。これこそ哲学だな。
いざ、現実的に、コロナ危機をチャンスにとらえる生き方・選択とは何なのか?というところになると、漠然として「解」が見えなかったというのが本音だ。まあ、哲学に具体性を求めてはいけないのかもしれない。
大人のADHDグレーゾーンの片隅でひっそりと生活しています。メンタルを強くするために、睡眠至上主義・糖質制限プロテイン生活で生きています。プチkindle作家です(出品一覧:https://amzn.to/3oOl8tq)