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男性指導者必見: 女性アスリートの身体と心の理解への道

知っているようで、知らない生理

「女子選手が直面する思春期問題。伊藤華英が語る生理と競技の関係」というタイトルで、伊藤さんは自身の経験を踏まえ、10代の女性アスリートが直面する身体の変化、月経困難症、PMS(月経前症候群)、運動性無月経など、当時タブー視されがちだった生理について書きました。

 そして、2016年リオデジャネイロオリンピックで競泳中国代表のフ・ユアンフイ選手が「生理中で自分の泳ぎができず、チームメイトに謝った」と発言し話題になったことも触れました。

 伊藤さんもこの発言には驚きました。生理は身近な存在ですが、自分から話すことはなく、「生理中だったので自分の泳ぎができなかった」と人前で言うことはありませんでした。

 伊藤さんは取材で「今日の調子はどうですか?」と聞かれるたびに、「調子は良いです」と曖昧に答えていました。理由は簡単、自分の調子を口にする必要はなく、結果がすべての世界で体調が悪くてもそれを言葉にすることは言い訳になると感じていたからです。

生理についてどれだけ知っているのか

 「今日は生理だから」と宣言し、理想通りに泳げなかった理由として挙げる選手が現れた時、伊藤さんは驚きました。しかし、今頑張っている女性アスリートに役立ててもらいたいという思いでコラムを準備しました。

 医学的な知識を記事に含めるため、伊藤さんは勉強し、婦人科の先生からも専門的なアドバイスを受けながら書き上げました。反響は予想以上でした。

 アスリートがレース後に生理での不調を理由に挙げ、それを書いたのが元アスリートだったことが話題になりました。

 その時、伊藤さんは考えました。私は生理についてどれだけ知っているのか。周りで同じように悩む女性たちにどれだけの理解があるのか。

だって、ピルって避妊のためのものだし

 振り返ると、国際大会で会った同年代の海外選手たちは10代からピルを服用していることが多く、「どうして飲まないの?」と聞かれることもありました。

 しかし、当時の伊藤さんは「ピルって避妊のためのものでしょう?薬でしょう?」と思っていました。

 伊藤さんの知識は月経周期を知っている程度で、排卵や黄体期、卵胞期については知りませんでした。日本ではピルの服用率も2.9%と低く、多くの人がピル=避妊薬と考えているでしょう。

日頃から身近なコーチに相談できるか

 ピルに限らず、知っているつもりの知識は多いです。例えば、生理用品の選び方。運動中、ナプキンが良いのか、タンポンが良いのか。

 バスケットボールやサッカーのようなジャンプやスライディングが必要なスポーツでは、ウェアに余裕があり、ショーツのラインは目立ちません。しかし、バレーボールや体操、フィギュアスケートのような競技では、ウェアが身体にフィットしているため、ショーツのラインが気になることがあります。

 ナプキンの吸収性やフィット感、取り替えやすさを考慮すると、ナプキンを選びたい気持ちもあります。しかし、Tバックのようなラインが出ないショーツを着用している場合、ナプキンがウェアから見えてしまう可能性があります。

 長時間の練習中、トイレに行く時間が限られている場合、経血の漏れも気になることがあります。

 しかし、これらの悩みを日常的に接しているコーチに相談できるかどうかは疑問です。多くの選手は「自分で何とかしなければ」と感じ、我慢することが多いでしょう。

男性が「わからない」ことを理解する

 生理のことは、個人的な話として扱われることが多く、公然と話すことは少ないです。筋肉の痛みや関節の痛みは隠さずに話せるのに、生理の症状については話しにくい雰囲気があります。

 スポーツの現場では、男性指導者が多いのも事実です。スポーツ庁のデータによれば、女性指導者は27.5%、男性指導者は72.5%を占めています。

 生理に関して、女性は自身の体験から理解していますが、男性にはその経験がありません。つまり、彼らには「わからない」部分があるのです。

大前提として「男性と女性は身体が違う」

 生理の症状や感じることは、女性同士では共通の話題として共有されることが多いですが、男性には理解しづらい部分があります。しかし、選手の健康やパフォーマンスを考える上で、男性指導者も女性の身体の違いを理解し、適切なサポートをすることが必要です。

笠原彰心理学的分析:
アスリートとしての経験と女性としての体験を通じて、生理とスポーツの関係について深く掘り下げています。生理は、多くの女性アスリートにとっての大きな課題であり、それをどのように乗り越えるか、またそれに対する理解をどのように深めるかがテーマとなっています。特に、男性指導者が多いスポーツ界での生理の理解の不足は、女性アスリートのパフォーマンスや心理的健康に影響を与える可能性があります。伊藤さんの記事は、その課題に光を当て、より良いサポートや理解を求める声として重要な役割を果たしています。

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