COVID-19とメンタルヘルスの関係性は?求められるメンタルケアと実情
COVID-19が日本でもまん延するようになり3年目の春を迎えます。
COVID-19のまん延によって、これまでの当たり前の日常が大きく様変わりするようになり、子どもから大人まで戸惑いや不安・ストレスを抱えながら日々生活しています。
そんななかで、海外ではCOVID-19とメンタルヘルスが注目されるようになる、具体的なメンタルケアに取り組む企業が増えています。
そこで今回は、COVID-19とメンタルヘルスの関係性と、海外の取り組みについて紹介していきます。
■ COVID-19とメンタルヘルスの関係性
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がはじめて報告されたのは、2019年12月初旬。
当初はそこまで重大な感染症だと認識している人は少なかったですが、政府の呼びかけが連日行われるようになり、緊急事態宣言やまん延防止措置などで当たり前だった日常から大きく状況が一変したことで、戸惑いや不安・ストレスを抱えている人が大勢居ます。
戸惑いや不安・ストレスが大きくなれば生活に支障を来すことも多く、また業務上多くの人と接する仕事や、医療に携わる仕事であれば心理的負担は大きいものとなります。
九州大学大学院医学研究員精神病態医学分野の久我センター長らの研究グループが行ったアンケート調査では、全国の精神保健福祉センターや精神か医療機関に対人関係や偏見差別の悩み、不安やうつ、不眠といった精神医学的問題が多数寄せられている実態が明らかになっています。
しかし厚生労働省が令和2年に公表した「労働安全衛生調査(実態調査)」によると、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は61.4%。
その取り組み内容は、「ストレスチェックの実施」が61.9%と最多で、次いで「職場環境等の評価及び改善」が55.5%となっています。
より具体的なメンタルケアである「労働者への教育研修・情報提供」は33.3%、「問題点を解決するための計画の策定と実施」が20.7%と少なく、「とりあえずカタチだけメンタルケアに取り組んでいる企業」が圧倒的に多いことがわかります。
■ 88.0%の企業がメンタルヘルスへの影響を懸念、対策を始めている
イギリス企業の人事担当者による団体であるReward & Employee Benefits Association(REBA)は、2020年5月に以下の調査を実施しました。
・具体的な支援策とは
・雇用主のメンタルケアの重要性が高まった
雇用主の90.2%がメンタルケアの重要性が高まったと認識しており、78.5%はCOVID-19の流行後にメンタルケアの依頼が増えたと回答しました。
メンタルヘルスへの影響が業績にも影響すると考えたのは55%でした。
この数値は投資を増やすと判断した企業よりも多く、単に業績への影響のみでメンタルヘルス対策が行われているわけではないことが伺えます。
■ 日本の企業もメンタルケアの重要性を認識すべきである
厚生労働省の令和2年労働安全衛生調査によると、過去1年間にメンタルヘルスの不調を理由に、連続1か月以上求職した労働者又は退職した労働者がいた事業所の割合は平均で9.2%でした。
事業所の規模でみると規模の大きい事業所ほどメンタルヘルスの不調で休業や退職となった労働者が多くなります。
これは母数の人数が増えるので当然の結果ですが、それでも大規模事業所のほうが常用労働者全体とした場合で見ても高い割合となっています。
COVID-19にまん延によって生活が一変し、これまで気軽に上司や先輩をはじめとする身近な人に相談できたことができなくなった。
これだけでメンタルに大きな負担となるので、企業は早急に具体的なメンタルケアを考える必要があるのではないでしょうか。
参照引用
REBA/Unmind, "Covid-19 and employee mental health research", The Reward & Employee Benefits Association (REBA), 21/05/2020, https://reba.global/reports/mental-health-survey, 05/07/2021
新型コロナウイルス禍におけるメンタルヘルス問題への対応マニュアルを作成|国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター https://www.ncnp.go.jp/topics/2021/20210930.html
令和2年 労働安全衛生調査(実態調査)結果の概況|厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/r02-46-50b.html