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マインドフルネスとは何か?創造力が高まることが実験で明らかに

ふとしたときに嫌な過去がよみがえったり、将来に対して漠然とした不安が襲ってくることは誰にでもよくあることです。

今に集中することができなくて、過去や未来にばかり注目してしまい、気づけば数分、数十分と時間が経っていたという方も多いのではないでしょうか。

このような悩みを抱えている方は、マインドフルネスを行うことで不安や緊張を取り除き、リラックスできることが実証実験で明らかになっています。

今回は、マインドフルネスとは?マインドフルネスの効果について、海外の実証実験結果と共にご紹介いたします。

■ マインドフルネスとは?

マインドフルネス(mindfulness)とは、1970年代よりアメリカを中心に科学的・医学的な研究が進み、効果が最も実証されている瞑想の1つです。

マインドフルネスという言葉は、「意図をもって今の瞬間に評価や判断を手放して、注意を払うことからわき上がる気づき」という意味です。

私たちは無意識に過去や未来のことを考えているので、心ここにあらずの状態が多くの時間を支配しています。

特に過去の失敗や未来への不安というネガティブなことほど考えを占める時間が長くなってしまいます。

自分で不安やストレスを増やしてしまっている状態を、マインドフルネスでは“今”に心を向けて、心ここにあらずの状態から抜け出すことができます。

よりマインドフルネスについてわかりやすく説明するために、ダニー・ペンマンの著書『Mindfulness for Creativity(未訳)』の一部をご紹介します。創造的な問題解決に必要な、以下の3つの必須スキルを向上させると主張しています。

1.マインドフルネスは発散的思考のスイッチを入れる。
言い換えれば、瞑想によって新しいアイデアに心が開かれる、ということだ。
2.マインドフルネスの練習は注意力を高めるため、アイデアの斬新さや有用性に気づきやすくなる。
3.疑念に囚われたり挫折に直面したりした場合に必要な勇気やレジリエンスを育む。
イノベーションのプロセスには失敗や挫折がつきものなので、これは重要である。

このように、マインドフルネスを活用することで、今に注目することができるようになるので、過去や未来に注目していたときには感じられなかったこと、気づけなかったことに気づくことができるようになります。

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■ マインドフルネスの効果

マインドフルネスを行うことで、ストレスや不安を取り除いて心を休むことができるので、生産性が上がることが実証されています。

身体的なメリットでは、免疫力の改善や血圧の低下、血中コレステロール、血糖値の低下などが検証されており、交感神経と副交感神経のバランスが整うことでよく眠れるようになることがわかっています。

精神的なメリットでは、緊張や鬱状態の緩和、不安の現象、ストレス耐性の向上が実証されており、集中力や記憶力が向上し、マルチタスクを集中して行えるという脳機能の向上も確認されています。

マインドフルネスの効果について、特に注目したいのが創造性の向上です。

この創造性の向上を実証した実験が、オランダ・ロッテルダムのエラスムス大学で行われました。

・実験ではマインドフルネスで多様性が富んだ

マインドフルネス瞑想が短期間で創造性を高めてくれることを検証するため、また高まった創造性が組織内のアイデア創出にどう寄与するかをテストするために、オランダ・ロッテルダムのエラスムス大学で実験を行った。

129名の被験者(全員学生)を3つのグループに分け、「ドローンを使ったビジネス・モデルをできるだけ多く考え出す」という創造的作業をしてもらった。

最初のグループには、ブレーンストーミングを始める前に、個々人に10分間の音声ガイダンス付きマインドフルネス瞑想をしてもらった。2番目のグループには、10分間のニセの瞑想練習をしてもらった(心を解放して自由に考えるように指示した)。3番目のグループは何もせず、すぐにブレーンストーミングを始めてもらった。

3グループとも、考え出したアイデアの数はだいたい同じで、説明文の長さも似たようなものだった。大きな違いは、瞑想したグループの出したアイデアが、はるかに多様性に富んでいたことだった。瞑想を行わなかった2グループの各人が出したアイデアは少なくとも2つのカテゴリーに分けられたのに対し、瞑想をしたグループのアイデアは4つのカテゴリーに分類できた。

瞑想をしなかった2グループ中の最大のセグメント(合計人数の20%)に属する各人のアイデアは、5つのカテゴリーに分かれた(配達や撮影など)。それに対し、瞑想を行ったグループの最大セグメント(グループの21%)の各人のアイデアは9つのカテゴリーに分けることができた。ガーデニング(木を切る、花に水をやるなど)や防災(火事を消す)が含まれていたほか、妥当なもの(窓の掃除)からバカげたもの(キリンの餌やり)まで、幅広かった。

・運動したときのようなリラックスを得られる

オランダ・ロッテルダムのエラスムス大学で行われたマインドフルネスの実証実験では、さらにマインドフルネスが運動を行う時と同じようにリラックスを得ることができることともわかりました。

また、短時間の瞑想は体を動かす運動と同様、心をよりポジティブでリラックスした状態にする場合が多いこともわかった。瞑想したグループでは、ほとんどの被験者がネガティブな感覚をあまり覚えなかった。特に、瞑想によって被験者の不安は23%、心配は17%、苛立ちは24%、それぞれ減少した。

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■ さまざまなシーンでマインドフルネスを取り入れよう

ストレスを抱える人が多い現代に、仕事や家事・育児のシーンでマインドフルネスを取り入れることで、注意力や集中力、想像力が高まり、過去や未来に注目していたときよりも、周囲を広く明るく感じることができるようになります。

マインドフルネスは良い姿勢であぐらをかいて座り、自分の呼吸に意識を向けて呼吸を続けることで行うことができるので、場所を選ばす短時間でも行うことが可能です。

「昔の嫌なことをよく思い出す」「不安が多い」「集中できない」など悩みを抱えている方は、マインドフルネスを日常に取り入れてみてはいかがでしょうか。

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参考引用
Harvard Business Review, Emma Schootstra, Dirk Deichmann and Evgenia Dolgova, "Can 10 Minutes of Meditation Make You More Creative?", 29/08/2017, https://www.dhbr.net/articles/-/5033, 12/07/2021

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