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サーフィンと気象学
サーファーにとっての二種類の風
1 波を作るための風
波はどうやって作られるのか?
→海上で風が吹くから波が発生する。
どこで波があるのか?
→重要なのは、どこで風が吹いているか。
気圧と風①
風とは、水平方向の空気の流れの事。
気圧とは、単位面積(1㎡)あたりの「空気の重さ」の事。
気圧と風②
高気圧とは周囲より気圧の高いところ。
低気圧とは周囲より気圧の低いところ。
空気がたくさんのっている高気圧から、空気が少ない低気圧へと空気の移動が発生する。
水平方向の空気の流れである風は、高気圧から低気圧へ向けて吹く。
風の吹き方
高気圧から低気圧に向かって風は吹く。
天気図を見れば高気圧と低気圧が書いてあるから、どこで風が吹いているのかが分かる。
ざっくり言うと、「等圧線に沿って風は吹く」と考えてもよい。
どこで波が大きくなるのか?
風が強く吹いている海上で波は大きくなる。
・吹走距離 風が吹いている時間が長いほど波は大きくなる。
・吹続時間 風が吹いている時間が長いほど波は大きくなる。
風が強くて、長い時間、長い距離を吹くと、波は大きくなる。
どこで風が強く吹くのか?
高気圧を山、低気圧を谷として考えてみると、高低差が大きいほど、傾斜が急なほど風は強くなる。
天気図上で等圧線の間隔が狭くなっているところが風が強く吹くところ。
どこで風が吹き続けるのか?
風が長い距離、長い時間を吹くと波は大きくなる。
①長い距離
天気図やWindyで長距離にわたり同じ方向に吹いている風を見つける。
②長い時間
その日だけでなく数日前からの天気図を見て気圧配置の流れ、推移をざっくりと把握する。(気象庁のHPなど)
2 波の形を左右する風
風によって波も変わる①
陸から海に吹く風(オフショア)
海から陸に吹く風(オンショア)
横から吹く風 (サイドショア)→サイドオフ・サイドオン
波に乗るには無風かオフショアが適しているといえる。
沿岸で吹く風(海陸風)
陸上と海の特徴
・陸地は温まりやすく冷めやすい
・海は温まりにくく冷めにくい
海岸では陸上と海上との温度差により、以下のような風が吹く。
・日中に陸地の気温が上がると、オンショアが吹く。
・夜間に陸地の気温が下がると、オフショアが吹く。
朝イチの海はオフショアが吹きやすい。
ポイントごとに異なる風向き
北風がオフショアになるポイント
→飯岡、御宿、鴨川、平砂浦
南~南西の風がオフショアになるポイント
→太東、志田下、東浪見、一宮、千歳、千倉
千葉県は、東から南東に開いた海岸線が多いことから、西から北西の風がオフショアになるポイントが多い。
反対に、北東から南東の東寄りの風になると、ほとんどのメジャーなポイントはオンショアになってしまう。
波の要素と種類
波を構成する三つの要素
・波長
隣り合った波の山と山、又は谷と谷を結ぶ水平距離のこと
・波高
波の山の頂上と谷の底の高さのこと
・周期
ひとつの波の山(谷)が通過してから次の山(谷)が来るまでの時間のこと
風浪とうねり①
・風浪(発達過程)
風からエネルギーをもらって発達していっている波のこと。
海上を吹く風によって起こる波のこと。
・うねり(減衰過程)
風浪が風からのエネルギーを受けなくなることで、次第に波としての形状が整ってきたときの波のこと。
風浪とうねり②
海岸から離れた海上にて低気圧や台風などにより風浪が作られ、風の弱い海域でうねりとしてまとまり、海岸にうねりが到着する時は陸から弱めにオフショアが吹いているか、無風の時が最高。
波はどうして崩れるのか①
・波と水深(浅海効果)
波はビーチに近づいて海底が浅くなると、波の速度が遅くなり波高が高くなる。
また、水深が波長の二分の一以下になると、波は海底の地形の影響を受けるようになる。
・波の進む速さ
水深が深いほど波は速く進み、水深が浅いほど遅くなる。
波はどうして崩れるのか②
・波がブレイクする(砕波)
海岸付近では、後から来る波にだんだん追いつかれて波が前後に押し縮められるような恰好となり、波高が高くなっていく。
だが、この波高というのは波長の七分の一が重力に耐えられる限界であると言われていて、この波長の七分の一の高さになると波の上部(トップ)が地球の重力により崩れていく。
これが、波がブレイクするということ。
波はどうして崩れるのか③
実際の浅海部の波は沖からくる波が減衰しながら岸へ向かうことや、海底の地形の状況、波の合成、潮の満ち引きなど複数の因子が複雑に絡み合うため、一筋縄では表現できない。
波はどうして崩れるのか④
潮の満ち引きと波
・満潮時は海水の量が多くなり水深が深くなる。
→波が割れにくくなる。
・干潮時は海水の量が少なくなり水深が浅くなる。
→波が割れやすくなる。
波の周期を意識する
サーフィンにおいては、波は波高だけでなく周期を意識しておきたい。
・波の周期
波が通ってきた距離によって周期は変わる。
波の周期が長くなると、波のサイズ、パワーが大きくなり波のクオリティが高くなる。
・波のサイズとパワーの目安
波を三角形として考えて、その面積でどれくらいの波が入ってきそうなのかをざっくりと予測する。
三角形の面積≒ブレイク時の波の大きさと考える。
式 底辺(波の周期)×高さ(波高)×二分の一
三角形の面積が大きいほど波のサイズが大きく、パワーも大きく、しっかりとしたショルダーの張ったクオリティの高い波が期待できる。
・波の周期の目安と特徴
オンショア 5~6秒
日本の近くを通過した低気圧 7~9秒
陸地から遠く離れた低気圧や高気圧、台風 10~12秒
台風からのグランドスウェル 13秒以上
天気図から風と波を予想して良い波をあてる
・東うねり
千葉、茨城は反応しやすい。湘南は入りにくい。
・南うねり
湘南、千葉は反応しやすい。茨城は入りにくい。
・西うねり
湘南、千葉南は反応しやすい。千葉北、茨城は入りにくい。
低気圧・台風のチェックポイント
・中心位置、等圧線の向き、風の流れと向き
・勢力(中心付近の最大風速)、等圧線の間隔
・移動の速度と方向
高気圧のチェックポイント
・中心位置、等圧線の向き、風の流れと向き
・勢力(中心付近の最大風速)、等圧線の間隔
・同じような場所にどれだけいるか
風向きを考えるうえで難しいこと
・前線がかかっている時
・等圧線が周辺に描かれていない時
・天気図に現れない現象がある時
・海陸風など局地的な風がある時
気圧配置ごとの風と波
・高気圧がしばらく東うねりを届けてくれる時がある
・西高東低の冬型の気圧配置
・冬型の気圧配置になったら、湘南は西うねりに期待
・低気圧がアリューシャンで発達していたら北東うねりをチェック
高気圧と低気圧の風の流れ(北半球)
高気圧は、中心から外に向けて時計回りに風が吹き出す
低気圧は、中心に向けて反時計回りに風が吹き込む
QA
・腹圧をかける時のイメージ
おなか全体をぼこっと膨らませて、その後息だけ吐いていく。
・横隔膜の重要性
まずは触って意識する。
横隔膜は人間の身体能力と心肺能力を上げる。
横隔膜をコントロールできるようになろう。