才能は続けられることらしい

僕には同じ大学の中国人の友達がいる。特に普段は連絡を取らないしあまり会わないが、学内でたまに出会った時は時間を忘れて1時間くらい話すこともある。

彼と出会ってからは入学以来約4年の月日が経ち、日本語は会うたびに上達していった。そんな彼は、いつも同じことを繰り返していた。人が多く行き交う大学の共有スペースの一角で、ブツブツ呪文のように言葉を唱えている。そう、「勉強」だ。

ある時、あまりにも勉強をしている彼に尋ねたことがある。

「勉強って楽しい？」

返答はこうだった。

「楽しいか楽しくないかじゃないよ」

当時、軽い衝撃を受けた。この勉強は将来の為にやっていると言っていた。そして彼が遊んでいる姿を、4年間本当に見たことがない。

話を聞いてみると、朝起きるとランニングへ行き、スーパーの陳列のバイトをこなし、勉強、ボクシングをやり、中国語を教えるバイトを終え、再び勉強して寝る。睡眠時間は5時間くらい。
こんな生活を4年ほど続けていた。

なんだか情けなくなった。
俺はなにをやっているんだろうって思った。
それと同時に、１つのある言葉が浮かんだ。

「努力に勝る天才なし」

昔からスポーツをやっているときに何度も耳にした言葉。その言葉がストン、と腑に落ちた。

そして彼は、

「才能なんて、ほとんどの人が持ってないよ。
僕は一般人。君も一般人だよね？だったらやらない選択肢なんてないだろ。」

 そう言い切った。彼は中国という日本よりも厳しい環境から自らの努力でここまで這い上がってきている。その言葉には説得力と重みがあった。

身近で中国人ながら日本語、英語、そしてドイツ語も使いこなし、日本で経営者になる為に黙々と努力を続ける姿を見てようやく少し分かった。

自らの現状を常に客観的に見て、将来のなりたい姿をありありと描き、今必要な努力を淡々と積み重ねる。何だか小さな事で悩んでることがバカらしく思えてくる。

自分の今の立ち位置を冷静に判断し、必要な努力を積み重ねる。

嵐の大野くんも言ってたなぁ。

「今目の前のことを頑張れないやつがいつ頑張れるんだ」

まだまだそう言い切れる努力とは程遠いけど、僕は昨日の自分を超え続ける為に今日を生きよう。