【メンズ脱毛の基礎①】IPL、SHRの具体的な違いを7年間の現場経験から解説してみた
「IPL」と「SHR」と言えば、現在の美容脱毛の二大巨頭。
ほとんどのサロン様が、このどちらの方式でも施術ができるハイブリッドのマシンをお使いかと思います。
(SSC、THRなどは大枠ではこのどちらかの派生技術と認識しています)
この2つの方式の違い、しっかり使い分けて施術をしたいもの。
ということで今回は、
・IPLとSHRにはどんな違いがあるのか
・お客様によって効果に差があるのか
・どんなときにどちらを使うのがベストか
など、効果の差、使い分けの基準などを、自分の7年間の現場経験から解説します。
注1. 自分は技術屋ではないので、あくまで現場で得た経験値からの解説になります。また、基礎中の基礎、美容脱毛業になら知っていて当然の情報は割愛して、現場視点でより重要なポイントだけ解説していきます。加えて、施術者が行うメンズ脱毛での解説であり、レディース、キッズ、セルフは加味していないことも、ご了承ください。
注2. このnoteに掲載している全ての図の転載はいかなる理由でもお断りします。もし転載されていることが発覚した場合、この投稿は削除、もしくは有料noteとして再掲します。
IPLとSHRの根本的な差
結論から言うと「光が届く距離」です。
IPLは毛根、SHRはその上のバルジ領域に、それぞれ熱による刺激を加えます。
IPLでは毛根の位置まで光のエネルギーが届く必要がありますが、SHRはバルジ領域まで届けばOK。
より簡単に図解すると...
IPL:毛根まで熱を届ける
SHR:肌の表面付近にだけ熱を加える
言い換えると、神経が通っているところまで熱の刺激が届くかどうか、で差があります。
よって刺激の感じ方(=痛み)にも差が出ます。
※後述しますが、SHRでも出力をかなり上げることで毛根付近まで光が届き、IPLのようなポップアップが起こることがあります
IPLとSHRの効果の差
脱毛の効果の出方には個人差があります。
なので比較をするときには、どんな条件のときなのか、を揃えて見る必要があります。
ここではいろいろな条件を統一したときに、IPLとSHRでどのような差が出るかを解説していきます。
まずは一覧をご覧ください。
この先でより具体的な解説をしていきます。
脱毛完了後の毛の再生について
毛が1本残らず生えてこなくなるまで施術しきった後、毛が再生するかどうかはどちらの方式でも同じになると考えています。
(脱毛完了後のお客様のヒアリングを徹底しているわけではないので、推測の域は出ません)
継続的に熱を加えて毛根周辺の組織を非活性にした結果だからです。
ただし同じ回数で比べた場合、IPLの方が毛の再生を抑えられます。
SHRはIPLに比べて毛の再生が早い印象。
これは効果が出るまでの期間にも同じことが言えます。
脱毛完了までの回数、目安
目に見えてハッキリ分かるほどの効果が出る(=毛が明らかに抜けた、減った状態になる)までの期間で言うと、IPLの方がSHRよりも早いです。
ですので、お客様にとってはこのような体感の差が出ます。
IPL:より少ない回数で手応えを感じられる
SHR:なかなかもどかしい期間が続く
1本残らず毛が生えてこなくなるまでに必要な施術回数の「目安」は、一覧に記載したものを「参考」にしていただければと思います。
この目安となる回数は、あくまで自分のサロンのマシンで、自分が身につけた施術法で脱毛を行った場合のものです。
マシンの性能が良かったり、精度が高く個人差への対応が非常に得意な方による施術だったりすれば、より少ない回数になることでしょう。
また、後述しますが、SHRはヒゲやVIOでは効きが良くないと感じているため、脱毛完了まで使い続けたことがありません。
明らかに停滞していることに気づいた時点で、IPLに切り替えます。
なので、SHRではヒゲやVIOはここに記載されている回数よりもかなり多くなる可能性はあります。
よほど肌に不安がある方でなければ、IPLで施術をした方が確実な効果が出せます。
部位、年齢による効果の差
元々IPLでも、ヒゲやVIOとそれ以外に体毛ではハッキリとした効果が出るまでに差はあります。
年齢の観点で見ても、アラサーの前後ではかなり大きな差が出ます。
後発技術のSHRでも同じことが言えます。
ただし、IPLと比べる、SHRで出る差はとても大きいと考えていいでしょう。
部位による効果の差は、性毛か無性毛かの差だと言えます。
男性の場合は、ヒゲとVIOが特に個人差が出やすく、お客様によっては回数がかなりかさみます。
先ほどもお伝えしたように、これらの部位をSHRで脱毛完了まで持っていこうとすると、膨大な回数がかかることが予想されます。
IPLの方が手堅く効果を出せます。
年齢による効果の差は、アラサー前後で2つの男性ホルモン(テストステロン、ジヒドロテストステロン)のバランスが入れ替わることが要因です。
このホルモンバランスの変化は、性毛の密度、毛根のしぶとさなどに大きな影響を与えます。
学生のお客様と30代以降のお客様の、ヒゲの効果の差はこのためです。
IPLはアラサー以降のヒゲとVIOで効果に支障が出ることがありますが、それ以外の体毛では年齢問わず平均的な回数で分かりやすい効果が出せます。
一方SHRではヒゲやVIO以外の体毛でも、アラサー以降のお客様で効果が出にくいことがあります。
ここで言う「効果が出にくい」とは、一度毛が抜けても再生されることがよくある、という意味です。
ヒゲ、VIO以外の毛でも明らかに頻繁に再生されるような場合は、早めにIPLに切り替えて施術することをお勧めします。
ポップアップの頻度
ヒゲやVゾーンなど、太い毛が密集して生えている部位では、ポップアップが起こります。
ポップアップの仕組みは以下の通り。
この理屈で言うと、毛根まで熱のエネルギーを加えられるIPLだからこそポップアップを起こすことが可能ということになります。
なお、SHRでもかなり強い出力で、スライドさせず一か所に固定した状態で照射すると、ポップアップが起こることはあります。
ただし、
IPL:毎回1発の照射で毛根にエネルギーが届く
SHR:毎回複数回の照射を重ねてやっとエネルギーが届く
このような差があるため、ポップアップを起こすコスパとしてはIPLが優れていると言えます。
肌の活性化に貢献するか
これ要は、毛穴まできれいになくせるかどうか、という話です。
IPLでの施術は、世に言うところの「美肌効果」が期待できます。
厳密には肌の活性化を促すわけですが、継続的な施術で毛と一緒に毛穴まできれいに目立たなくさせることができます。
一方SHRは、皮ふ組織のごく浅いところまでしか光が届かないため、肌の活性化につながりにしくく、毛穴は残りがち。
この視点でも、ヒゲやVIOでは仕上がりがきれいになるので、IPLがお勧めできます。
ひじから先、すねなど、夏に露出が増える部位も、IPLでコツコツ施術すると、かなりつるっとした見た目になります。
手間、所要時間もありますが、お客様の美意識に合わせてチョイスしてもいいのではないでしょうか?
IPLとSHRを使い分けるには?
IPLとSHRで効果に差が出る要因は、照射面から光の届く距離が最も大きいと考えられます。
だとすると、メンズ脱毛ではこの2つの方式をうまく使い分けないと効果がうまく出せない事態に陥ります。
なぜなら男性のヒゲやVIOでは、毛根が他の体毛より深い位置にあるから。
SHRの光は深い位置までは届きません。
理論上効果はゼロではありませんが、ヒゲやVIOの場合、回数だけかさむだけで正直コスパは最悪。
なので、男性のヒゲとVIOは「IPL一択」です。
ただし、以下のようなお客様の肌質、体質によっては、SHRのみを使わざるを得ないケースも。
①肌荒れが全然治らない
②元々アトピーだった(今は寛解)
③IPLの刺激(=痛さ)が我慢できない
①と②は、初回のカウンセリングで施術NGと判断しても良いですが、後から発生、発覚することもあります。
すでに継続中でお断りが難しい状況では、IPLからSHRに切り替えるのも一つの手です。
IPLの刺激は我慢できないけど、どうしても脱毛したいという方にはSHRで施術して差し上げる配慮も必要になるかもしれません。
「IPLとSHRの交互使用でより毛の再生が抑えられる」説の真偽
という話、聞いたことはあるでしょうか?
自分は両方式搭載のマシン導入時にこれを聞き、実際に複数の脱毛完了間近のお客様に対してIPL、SHR交互に施術したことがあります。
結論、脱毛が長引くので「なし」でした。
(お客様に非常に申し訳ないことをしたと深く反省)
IPLだけで最後まで施術をした方が短期間でハッキリした効果が出ます。
マシンの性能によるとは思いますが、現状メンズ脱毛でより高い効果を発揮するのは、間違いなくIPLです。
SHRはメンズ脱毛では使えないのか
では「SHRは一切使えないのか?」というとそうとは言い切れません。
腕や脚など、生えている面積が広い無性毛への施術はSHRの方が非常にコスパが良いです。
男性の全身を施術する際は、ヒゲ・VIOとそれ以外でIPLとSHRを使い分けるとOK。
(IPLだけで全身の施術をすると膨大な時間が必要になるので、ご注意ください)
アラサー以前の、まだ青ヒゲが目立たないような方ならSHRでもハッキリ効果が出せます。
施術もそこまで時間がかからず、刺激もほぼないため、喜んでいただけます。
部位、年齢、肌質などを加味して使い分けることをお勧めします。
IPL、SHR、双方で数多く施術をこなしましょう
こういった比較の際は、サンプル数が多いことが非常に重要だと言われています。
その点今回の解説は、書いている自分自身が、
・2015年の開業以来ワンオペで
・全てのお客様を
・実際の現場で見続けてきた、
このような経験があるので、信ぴょう性はあると考えています。
(もちろん自分よりももっと多くのお客様を長年対応されてきた方もいらっしゃるはずです。そういう方から見明らかに違うことがあれば、ぜひご指摘いただければと思います)
お使いになっているマシンの性能によっては、ここまでの解説でお伝えしたような差が出ないこともあると思います。
なのでまずは、現状の施術でどんな差が出やすいのかを、数をこなすことで経験値として蓄積していきましょう。
各年代のお客様最低3名ずつくらいを、少なくとも1年間施術し続けると、違いがハッキリ分かってくるようになります。
毎回の施術はテストではなく、その1回で前回以上の効果を出さないといけないというプレッシャーはあります。
しかしこのプレッシャー下で施術をこなすことで、どんな方がどんな出力で
どんな経過をたどるかが予想できるようになります。
これによってお客様に対しての説明も伝わりやすくなります。
ぜひ数をこなして経験値を貯めていってください。
今後の脱毛方式の展望など
今後期待できる技術としては、
・THR
・KPL
のような、連射でも威力の弱まらない方式ですね。
いろいろなサロン様を拝見していて、ヒゲ脱毛で頻繁にポップアップした様子を発信されているサロン様は、この辺りのマシンをすでに導入済みなのかなとお見受けしています。
この辺りの技術がより安定してくれば、施術する側もお客様側もよりストレスフリーで効果の出る脱毛が可能になるのではないかと思っています。
お客様の負担やリクエストに合わせてIPL、SHRを使い分けましょう
ということで、メンズ脱毛におけるIPLとSHRの効果の差、使い分けの判断基準について解説してきました。
いかがでしょうか?
あくまで個人的な見解にはなりますが、参考になる部分を日々の営業に活かしていただければと思います。
メンズ脱毛ではIPLがイチオシではありますが、
・お客様の肌の状態
・毎回割いていただける時間
・どこまで毛をなくされたいかというリクエスト
などに応じてSHRも取り入れながら施術を進めていくと、より満足度が上がります。
ご自身で経験値を貯めつつ、両方式を使い分ける達人を目指してください。
メンズ脱毛サロンの経営を知識とアイディアで極めよう
このnoteでは、個人経営のメンズ脱毛サロンの
潰さない
競合に負けない
お客様を離さない
こんなサロン経営を、2015年から継続中のワンオペ現場経験を基にサポートしていきます。
今後も続々と更新予定です。
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