月経血幹細胞の子宮内膜への効果②
月経血幹細胞臨床研究会コラム
月経血幹細胞の子宮内膜への効果は?
この文献では、ヒトでの難治性の子宮内癒着症(IUA)患者における月経血幹細胞(MenSCs)の子宮内移植が子宮内膜厚および妊娠予後に及ぼす影響が報告されています。
難治性IUAを有する不妊女性(n=12、年齢22~40歳)が対象とされています。
女性の月経血から分離した自家月経血幹細胞を細胞培養し増殖させて、子宮に移植しています。
この報告では、ホルモン補充療法も併用されています。
子宮内膜の厚さを評価するために経膣超音波検査が行われました。
結果として、月経血から自家月経血幹細胞を分離・培養し、それぞれの患者の子宮腔内に移植することに成功し、子宮内膜の厚さは 3.9 ± 0.9 mm から 7.5 ± 0.6 mm へと有意な改善が認められ、副作用も観察されませんでした。
また、月経の期間は 2.4±0.7 日から 5.3±0.6 日に延長したことも示されました。
12例中5例が妊娠していて、妊娠率は41.7%と報告されています。
臨床に関する文献はまだ少ないので、貴重な報告と感じました。
自家月経血幹細胞によって、子宮内膜の再生や妊娠率の上昇をもたらすことがますます期待されますね。
参照:J Obstet Gynaecol Res. 2020;46(11):2347-2355