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【音楽と私】03.音楽の記憶②

ビートルズの記憶

今思えば私にとって、グループやアーティストという認識をして初めて聴いたのがビートルズであった。同時に、初めて聴く洋楽のアーティストでもあった。それまではテレビで観てたアニメの主題歌とか、そういうのを聴いていたわけで、アーティストとかジャンルとかアルバムとかといった概念が全くなかったのだ。

確か小学3年生ごろだったか。その頃に私はビートルズが好きだと自覚し始めたんじゃないかと思う。というのも、休みの日になると父は、リビングでビートルズをかけながらよくギターを弾いていて、なんとなくそれが好きな私は、気づけばコーラスを口ずさんでいたりしていたのだ。メロディじゃなく。「ビートルズって、この人たちのことなんだ。なんか、いいな」と思い始めたのがその頃だった。

また同じ頃、小学校の運動会で偶然にも、ビートルズの曲で踊ることになり(たしか白組だった)、練習のたびに「これ知ってる!」とわくわくしながら踊ったものだ。確か曲は、 “Love me do”、“From me to you”、“She loves you”だったか。友達に「ノってるね!」と言われたくらいだから、たぶんその頃から、かなり好きだったのだろう。

もう一つ、ビートルズの記憶で印象的だったのが、映画イエロー・サブマリン。

ビートルズのアニメ映画で、絵柄はかなりクセのある、話の展開も不思議な、サイケデリックな作品である。が、なぜか惹きつけられるものを感じ取っていたのか、小学生当時、家にあったVHSを何となく取り出してみては、「観たいな〜」と思っていたものだ。思っていても「観たい」とは言わなかったのは私の性格のせいでもあるが、父のものだし、言うのがなんとなく気恥ずかしい気がしていたからでもある。たぶん何となく、好きってばれたくない気持ちがあったのかもしれない。シャイなもので。なので父が「観るか、」となんとなく取り出すのを楽しみにしていた。

特に好きなシーンは、When I‘m sixty-four。曲に合わせて数字が1から64までカウントするシーンがあるが、数字のイラストのバリエーションが楽しくて好きだった。そしてもう一つお気に入りのシーンは、Nowhere manのシーン。4人が歩くとその後ろから花が咲いていくのが印象的だった。よほどこのころのビートルズ体験が体に染み付いているのか、イエロー・サブマリンの劇中で出てきた楽曲は大人になった今でもずっと好きだし、聴けばいつでも、子供の頃を思い出させてくれる。

そういえば先日、お気に入りだったイエロー・サブマリン柄の傘をどこかでなくしてしまった。なくしたのにも気づかず、しばらく雨も降らなかったため、本当にいつ、どこでなくしたか分からなくなってしまった。軽くショックだったが何故か不思議と悲しくはなかった。たぶんこれからの私の中で、傘をなくしたこともイエロー・サブマリンの思い出として生き続けるのだろうと思う。

子供の頃に好きになった洋楽のアーティストといえば、実はもうひとりいる。 その人のことはまた、べつに書こうと思う。

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