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通訳とは意味を伝えるもの
オンライン翻訳講座
昨年の11月から、NPO手話教師センターのオンライン翻訳講座(全6回)を受講しています。
私が受講しているのは2024年度版ですが、2025年度の募集が始まっているのでリンクを貼っておきます。
![](https://assets.st-note.com/img/1738358025-z2SNw41rGMTxXVYeCq65W3nB.jpg)
講師は仙台の手話通訳士宮澤典子さん。
これまでの通訳のあり方を根底から覆される学びの連続で、毎回脳の大掃除をするような感覚です。
講座の中で必ず最初に紹介され、頭に刻んでおく言葉があります。
通訳とは言葉を置き換えるのではなく、
意味を伝えるものである。
「起点言語(話者が発する言語)」の単語を「目標言語(聞き手に届ける言語)」の単語に置き換えることを「逐語訳」といいます。
起点言語と目標言語は言語の形式が異なるため、逐語訳では正確な通訳はできません。
例えば、私は時々ChatGPTに英会話の練習につきあってもらうのですが、会話中よくこう言われます。
"That makes sense!"
これを逐語訳で「あれはセンスを作ります。」と訳しても通じません。これは「なるほど。」という意味です。
手話通訳においても同様で、読み取り通訳(手話→日本語)で言えば、繰り出される手話単語を頭から読み取っていっても、日本語としては極めて不自然で意味が伝わりにくいのです。
そこで、「言葉を置き換えるのではなく意味を伝える」。
ろう者が話したいことの「意味」を受け取って、手話表現からは切り離して、その意味を「自然な日本語」で発話する。これが読み取り通訳の真髄だと学んでいるところです。
「意味を伝えましょう」は、私自身が通訳者養成講座で学んでいた期間にも何度となく言われてきましたし、なんとなくずっと心がけてはいました。
しかし、今のオンライン翻訳講座を受講して、私がいかに「意味を伝える」ことへの理解が曖昧で、ぼんやりとしか訳してこなかったのかを痛感させられます。
「自然な日本語」が下手なこと!
日本語のこと、全然わかっていないのです。日本語母語話者なのに。
今は、手話と日本語の言語的な違いを理解して、手話に引きずられずに日本語訳を構築していくトレーニングに向き合っているところです。
「違い」を理解する前に、日本語と手話それぞれの言語そのものを、もっと理解しないとなぁ。
この講座、おすすめです。
複数のコースがあって、ご自分の力に合ったコースで学ぶことができます。
『会議通訳者』
それにしても、この本について、題名だけは昔から知っていたのに、これまで手に取ってこなかったのはもったいなかったです。
手話通訳関連の研修でよく引用されている本ですが、タイトルだけ見て「会議の通訳をする機会はめったにないし…」と、自分には関係ないものと判断してしまっていました。
この本は、「会議通訳に特化した音声言語通訳の技術書」ではなく、通訳を行う際の通訳者の「頭の中」を解説してくれる本です。
本書の目的は、逐次通訳・同時通訳で通訳者が使う特殊な技術を取り扱うことではない。口頭のメッセージを即座に別の言語で伝えることを可能にする心的プロセスを浮き彫りにしようと試みるものである。
はじめの「総論」の章だけでも読みごたえ抜群で、ひととおり読んだくらいではうまく咀嚼できませんでした。これから何度も読み返していこうと思います。
いつか、私自身が理解したことを本noteで振り返ることができると良いですが…アウトプットできるほど理解できるかな…。頑張ってみます。
自分なりの実践
「手話の自習室」というLINE配信をしています。手話動画を1本ご紹介して翌日要約を出すというシンプルな配信です。
そこで、自分自身のトレーニングとして、目に入った単語を一語一語読み取りたくなる癖を直し、話し手が言いたいことを理解して自分の日本語で表現するために、手話動画を次の順序で読み取っています。
①全部見て10秒で要約
(話をギュッとまとめてひとことで表す。)
②フレーズごとに切って逐次翻訳
(わからないところも止まらずに日本語に変換し、スマホのメモに書き込む。)
③日本語を整える
(何度も見返し、時にはスロー再生し、わからないことは調べて、要約を完成させる。)
私はここまでですが、仕上げに整えた日本語で同時通訳の練習をしても良いと思います。
現在、全国の自治体で行われている手話通訳者養成講座のカリキュラムは、逐次通訳(1フレーズごと訳す)のステップがなく、いきなり同時通訳のトレーニングから始まります。ですからどうしても、聞こえてきた単語、見えた手話単語を頭から変換してしまう癖がつきがちです。
そこで私は、ふだんの練習では同時通訳の練習はせず、逐次通訳に徹しています。
そして、実際の読み取り通訳の現場だったり(今日もたまたま現場でした)、オンライン翻訳講座の課題に取り組む際だけ、同時通訳を実践しています。
逐次通訳で、ワンフレーズ見た瞬間にいい感じの日本語がスムーズに出せるようになりたいなぁ。
これが、私の今年の目標のひとつです。