佐川男子に恋をして。
佐川男子。
日々、忙しすぎて、頭の中テンパって、辛いしか出てこない日々。
感情は極力殺して、白黒だった僕の仕事場での日常に、彼が色を付けてくれた。
(なんか小説っぽい表現を使ってみた)
毎日、17時にやってくる集荷の時間。
僕たち営業アシスタントにとっては、そこまでに段取りを済ませて、お客様や工場に送る荷物をまとめなければいけない、プレッシャーであり、心を脅迫されていた時間。
そんな負の時間を彼は、楽しみで、心ときめく時間に変えてくれた。
佐川男子の魅力は、世間一般にも認知されていて、写真集やカレンダーまで発売されている。
筋骨たくましくて、頼りがいがあって、さわやかで、そんな姿に世の女性は心惹かれ、消費が生まれているのだろう。
でも、僕の恋した佐川男子は、そのどの条件にも当てはまらない。
むしろ、佐川男子らしからぬ、その姿に心惹かれたのだ。
細くて、すらっと背が高くて、顔が小さくて、髪が少し長くて、中性的でかわいらしいお顔立ち。
まさに、僕のタイプど真ん中の彼。
歳は、多分3個下くらい。(歳を当てるの特技だから、多分あたってると思う)
菅田将暉君をもっと、お目目パッチリで、かわいらしくした感じのお顔。
管田君ていう時点で佐川男子っぽくないでしょ?
初めて彼に出合ったのは、おそらく去年の11月頃。
うちの会社で、集荷の窓口的なおじさんが、「菅田将暉が来たよ」って教えてくれたから、興味本位でお顔を見に行ってみた。
だって、気になるじゃない。今を時めく管田君だよ!
でも、管田君似って言われる人って、とてもイケメンか、そうでもないかに分かれるじゃないですか?いわゆる正統派なイケメン顔ではないから。
雰囲気だけで、顔はそんなにイケメンじゃない自称の大学生とかたくさんいそうだなーって。
彼は違った。というか、いい意味で違った。
管田君の良いところが似ていつつ、さらにお目目パッチリで、綺麗なお顔に仕上がっていた。
でもね、初めて会った時はそこまで心を惹かれなかった。
髪がぼさぼさで(多分おしゃれ)、声が小さくて、なんか暗い子だなーって。
でも、やっぱりイケメンだし、気になる。
もっと、彼のことを知りたい。
もっと彼の表情を見てみたいと思った(もはやこの時点で恋)。
彼は、正式にはうちの会社がある地域の担当ではないみたいで、
担当の人がお休みの時に来るのか、たまにしか顔を見せてくれない。。
僕は、毎日、毎日、佐川さんが集荷に来るたびに、彼が来たかどうか確認するようになった。
今日こそは、会えるかな。
早く会いたい。
なんで、来てくれないの。。。
彼は僕の心を翻弄する。
そして、震えたりはしないけど、会いたさが高まったころを見計らったかのように彼はやってくる。
上手い男なのだ。
彼が来た時には、極力僕は立ち会うようにしている。
この時間が、一分一秒でも長く続けばいいのに。
集荷にかかる時間なんて、賞味たったの5分くらい。
誰かが、荷物の梱包に手間取ってくれれば、少し待ってくれて、長く彼の顔が見れるが、そんなのたかが知れている。
でも、そんな短かい時間だからこそ、貴重で、ものすごく幸せな時間に感じるのだとも思う。
また会いたい。そう思うことが出来るから。
何回か会ううちに、彼は笑顔がとてもかわいいということに気が付いた。
うちの会社の窓口的なおじさんは、冗談が大好きでとても面白い。
ちょっとわかりづらいギャグをよく言ってきて、他の社員の人たちは若干疎ましく思ってるけど、僕はギャグが理解できたときが気持ちがいいから大好き(笑)
そんなおじさんが、彼に割とくだらないギャグをかました。
その時ばかりは、「ちょっと、なんてこというの!彼がドン引きしたらどうするの!」って結婚相手をお父さんに紹介した時の奥さんみたいな気持ちで焦った。
でも、彼はそんなつまらないギャグにも笑ってくれた。
そのときの笑顔が、曇りのない、純粋な笑顔で、僕は一瞬にして心を奪われた。
年相応に若々しくて、でもちょっと甘えん坊っぽい可愛さもある笑顔。
ドラマとかで、こういうシーンよくあって、そんなことあるかいって思ってたけど、こういうシーンマジである!!
脚の先から頭のてっぺんまで、体中に血が巡って、頭はボーっとして、なんか興奮と、お風呂でのぼせたのが、合わさったような感覚になった。
デスクに戻っても、その感覚は収まらなくて、上司から注意されてても、何言ってるか全く頭入ってこない。
むしろ、その場に不相応なにやにやがおさまらない。
ちょっと無理だ。
「ごめんなさい。トイレ行ってきます」そういって、上司の言葉をさえぎって、心落ち着くまでトイレにこもった。(変な意味ではない)
頭は冷えたが、彼への気持ちはより一層高まった。
僕が、どんなに彼のことを思っても、彼との距離は縮まらない。
縮めようと、話しかける努力をしようとも思わない。
この距離感が尊い。
アイドルを推すのと近い感覚だ。
推しが一人増えたのだ。
そう自分に言い聞かせる。
この、心のときめき、恋心を大事に保っていくために。