参議院議員 山本順三さんとお会いしました!
はじめに
7月4日(日)14時から参議院議員の山本順三さんと今治にある山本さんの事務所で面会させていただきました。与党の議員さんとの初めての面会となりました。
面会の概要
日時:2021年7月4日(日)14:00~16:00
場所:山本順三事務所(愛媛県今治市)
面会者:小林美晴・越智真美
ルポ作成者:小林美晴
1.外交政策・安全保障政策において大切にされている理念などがあれば教えてください。
安全保障は日本だけでは議論できないものであり、あるべき国際社会を他国とも協調していかなければならないもの。そして日本を取り巻く安全保障の環境は常に変わる。最近では中国と北朝鮮が懸念材料としてあげられる。例えばチベットやモンゴル、ウイグルなどの人権問題があげられるが、そのほかにも「軍事拠点とはしては使わない」と言いつつも、南シナ海の真ん中に複数の基地を作ったり台湾に対する厳しい対応を迫るなど、価値観を共有できない部分がある。
以前、日本の安全を守っていくための方向性を見つけていくために平和安全法を成立させた。最初、「それは戦争法案だ」と言われた。日本は憲法9条を守らなければならないし、対等な関係ではない日米安保条約をどうにかしなければならない。日米安全保障条約にどっぷりと身をまかすことや完全に自主防衛をして、核武装することのどちらにも難しさがある。でも今の日米安全保障条約では日本を守る際にアメリカ軍が他国の脅威にさらされた場合日本は何もすることができなかった。トランプ大統領の時、「日本を守れない」という発言があったが、たしかに米兵が日本国を守るために血を流すのに日本はそれを横で見ているだけというのはおかしい。そう思ったときに平和安全法はいかに日本を守っていくかという点において重要な役割を果たしている。実際、この法律によってお互いに情報を共有できる信頼関係を築くことができた。 外交においては一つ一つ考えながら構築していくというのが大切な価値観で、それぞれの立場のもとに平和に貢献していくことが求められる。具体的な例を出すと、現在尖閣諸島では連日中国海警の公船が出没する中で漁業ができない状況が続いている。スクランブル発信が1000回以上行われるなど疲弊する状況が起きる中でこうした情報交換は今後も重要になる。
2.山本さん個人は、核兵器廃絶を目指すべきだと思われますか。理由も合わせてお聞きしたいです。
核兵器廃絶は必ず目指していかなければならない崇高な目的である。これは広く共有されていることなのではないだろうか。核が兵器になってヒロシマ・ナガサキの悲劇が起きてしまった。核兵器には大反対である。
3.核兵器禁止条約についてどうお考えですか?(必要の可否・日本政府の立場等)
日本として核兵器廃絶は前提としているうえで、どういう風な進め方をしていくのかという点が問題になる。そのうえでまず核兵器禁止条約は核兵器を有している国に理解されていないということ。そしてカナダやドイツといった核兵器を持っていない国からも支持を得ていない。核抑止をどう維持し、強化していくかということを考えると同時に、日本はアメリカの核の傘で守られているという現実も否定できない。その点でこの条約はその核抑止力を薄めてしまう可能性がある。日本国憲法9条が戦争の放棄を定めている以上アメリカの核の傘の基に進めていくのか、はたまた自衛をして核抑止力を持つのかは議論になる。すぐに核兵器を禁止するということはそういった現実に対する危機意識と連動するものではない。
4.日本政府の主張している「橋渡し」とは具体的にどのようなものなのでしょうか?
日本のできる橋渡しはNPTとCTBTを進めていき、核実験をやめさせることだ。現実を見た時に北朝鮮の核実験があり、世界には1万弱の核兵器がある。この現状を受けて「でもやっぱり、核兵器はだめだ」と言えるのは被爆国の日本の役割である。また民間の動き(ICAN)は民間だからこそできることをあり、大いに称賛したい。官としてアピールをしていきつつ、一歩一歩進めていくしかないと考えている。
5.日本政府が今後できることはどんなことがあるとお考えですか?
最初にできることは核兵器の削減をアピールすること、つまり軍縮を進めること。核兵器は一度作るとなかなか手放さない。被爆国日本として地道に削減交渉を進めていくことが求められる。
6.核兵器禁止条約など今後の核兵器廃絶への動きについてはどのようにお考えですか?
前提条件として核保有国がどう反応するかによって今後の条約への見方も変わってくるだろう。日本政府は現段階で条約は機能しないという考えを持っている。条約を利用して核兵器の廃絶を進めるのではなく、日本の外交を利用して進めていく。「核兵器禁止条約」はある意味とても分かりやすい。しかし単純でない外交の場においてどう進めるかあくまで丁寧な取り組みが必要と思う。
そのほかにも…
民間外交についてICANやえひめグローバルネットワークのお話を通して、国家間レベルでしかできない外交、そして逆に民間レベルでしかできない外交、その価値について教えていただきました。またご自身の予算委員長としての職務内容についてもお話いただき、委員会で議論を進める際のもどかしさや苦労などもお話いただき、勉強になりました。
面会を終えての感想
小林:政権与党の政治家の方から今日の日本を取り巻く現状を生で聞くことができた貴重な機会になりました。核兵器の問題を考えるにあたって、アメリカとの関係性をどう保っていくのか、また中国が軍事力を強化している中でどのように核兵器廃絶を進めていくのかが今後の課題になってくると感じました。また個人的に民間外交の重要性のお話がとても印象に残りました。外交は単に国や国際機関が影響力を独占しているものではなく、民間でしかできないことや民間だからこそできることがあると教えていただきました。このお話を聞いて、市民レベルで核兵器廃絶への機運を高めていくことの大切さを再確認することができました。しかし、やはり市民だけではこの問題は大きく変えていくことはできません。市民、NGO、国連、国家と様々なセクターと共同し、核のない世界を実現するために行動し続けることが今後も重要になってくると感じました。
越智:お話を聞くなかで、核問題には外交や各国の政治的思惑が関係していると感じました。そのため、日本だけではどうにもならないことがあることも事実だと思います。また、核禁止条約が今年1月に発効し、保有国と非保有国の溝が広がるなか条約と国際規範だけでは世界が核廃絶に向かうのかについて疑問を感じる人たちもいると思います。実際、アメリカ、中国、ロシアに加えてイギリスも核増強を進めようとしており、世界は不安な状況下にあります。核廃絶を妨げているのは核保有国でありますが、これらの国が非保有国と合意に至るには考え方の違いがどこから生じているのか、またその原因を解決するために保有国がしなければならないことは何であるのかを世界が追求する必要があると思いました。日本はその気があれば唯一の被爆国として、保有国に核軍縮を訴えかけることは可能だと思います。また国家という形にとらわれず、トランスナショナルな組織を通じて核兵器廃絶を訴えていくことも重要だと思います。今年も昨年と同様、新型コロナウイルスの影響で国連のグテレス事務総長が広島を訪問することはできなったけれども、近い将来実現することを期待しています。
山本さん、貴重なお時間ありがとうございました!