2023年度健康診断RTA

 弊学では一年に一度、学生の健康状態やスペックをはかるための健康診断が行われる。

 そこまで時間がかかるものではないが、春休み中に健康診断だけのために学校へ行くというのはダルいもんだし、楽しくもないのでやはりなるべく速く終わらせたい。

 そこで俺は、そんな面倒な健康診断のできるだけ最短時間での完了を目指す「健康診断RTA」という新競技を考案し、実施してみた。レギュレーションは以下の通りである:

◎健康診断を最初から最後まで受ける。通常義務付けられている検査を全て受けなくてはならない。なお、学部1年生のみに義務付けられている「胸部X線検査」も、1年生の場合はタイムに参入する必要がある。

◎別会場で行われる任意の「心電図検査」は対象外とする。

◎タイマースタートは診断内容を書く用紙にハンコを押されたときで、タイマーストップは係員に用紙を渡して「おしまいです」という旨の発言がなされた瞬間。

 それでは、健康診断RTAの記念すべき第一走者によるランを順を追って見ていこう。


1.尿検査

 第一エリアは、階段上がってすぐの尿検査だった。これまで自分がやってきた尿検査はあらかじめ尿を容器に入れて用意しておくものだったが、今回はその場で渡されたカップをトイレにて尿で満たし、テーブルに持っていき見てもらうという形式のものだった。そうしたほうがRTA的には競技性が上がるから好都合だ。

 ただ、そのことを聞かされてはいなかったので状況を把握するまで少し戸惑ってしまい、タイムロスとなった。また、トイレがそれなりに混雑しており、自分の番になるまでかなり待つ羽目となりイライラタイムが発生した。この「待ち時間」についてはこの後のエリアについて話すとき一々触れないでおくが、多かれ少なかれどの検査でも発生してしまい、数分にも及ぶロスとなったので、混雑を避けるため今後は予約日程や来る時間をもう少し考えようと思った。

改善点:来るタイミングを吟味する

 尿に関しては家にいる時からため込んでいたので、「便器の前に立ってるだけで何も出てない時間」を少なく済ませることが出来た。ただ、長時間ためていたせいで放出時間がやや長引いてしまった。タイムをそぐためには、溜めておく尿量のバランスも考えて調整する必要がありそうだ。

 尿をカップに入れ終わったら、係員のいるテーブルの前に持って行って試験紙で蛋白などを見てもらう。このとき、検査にひっかかったり二次検査を指示されたりするとタイムロスなので普段から生活習慣に気を遣う必要がある。


2.身体測定

 尿検査が終わった後は身体測定で、身長および体重の測定となる。たまに二つを同時測定する機械もあるが、今回は別々の測定器で行われた。ここに関して特筆べきすべきことはあまりないが、強いてポイントを一つ挙げるならば「荷物を持って行かないこと」だ。身体測定などでは荷物を置くスペースが教室にあるが、エリアごとに荷物を置いて取りに行ってたら時間の無駄なので、学生証とスマホをポケットに入れておくくらいの身軽さにしておいたほうが良い(俺はそうした)。また、身長がえらく高ければ頭に降りてくるヤツの下がる距離が短くなるので少しタイムセーブになるかもしれないが、雀の涙だ。

ポイント:丸腰で挑め


3.視力

 エリアを進める際の建物やフロア間の移動も決してタイム削減の努力を怠ってはならず、迷惑にならないくらいのやや急ぎ目のペースで移動しなければならない。特に無気力に歩いていく学生を抜かすことができればかなりの短縮だ。そんな気持ちで、身体測定を終えた俺は小走りで次へと進む。

 身体測定のあとは視力だ。視力検査は俺にとって体力測定でいう「上体起こし」と同じで、得意分野だ。運動音痴な自分は体力測定があまり得意でなく、特に「ハンドボール投げ」「握力」「長座体前屈」あたりは酷い成績を残していたが、なぜか「上体起こし」だけはほぼ毎回上限の10点を取っていた。同様に、健康診断では視力だけ子供の頃から無駄に良いので今までの視力検査でほぼ全て両目1.5を取っていた。今回の検査ではやや衰えを感じ、二択で迷ったモノも後半にいくつかあったが、何とか全問正解し視力1.5を維持することができた。

 ただ、自分は1.5まで見れたので最後までやり通したが、RTA的には途中くらいで間違えた方が速いのかもしれない。間違えたら別のヤツでやり直されるのか一旦スルーされるのか分からないが、間違えた時点で切り上げだとしたら序盤であえて間違えたほうがタイム短縮にはなるだろう。しかし、そこは健康診断シップに則り、嘘をつくのはなしとさせていただこう。そもそもこんな下らない企画のために視力を下げることは自分のプライドが許さない。

追加ルール:健康診断の各検査において、時間短縮を目的とした虚偽の申告およびそれに準ずる行為は禁止とする。


4.血圧

 視力検査のあとに行われた血圧測定では、1回目の測定でエラーが出てしまい数十秒ほどのタイムロスが発生した。理由は定かではないが、おそらくずっと急いでたのとRTA本番という緊張感から血圧が平常時より上昇していたせいだ。なので、血圧の前は落ち着いてゆっくり行ったほうが良さそうだと反省した。また、少しネタバレをしておくと、血圧の後の医師診察では心臓の鼓動を聞かれるので、健康診断を受けているとは思えない心拍数にならないよう血圧後の移動速度も抑える必要がありそうだ。さいわいそっちのほうでは特に何も言われなかった。

ポイント:視力がおわった後の移動は余裕をもって

二回目の測定ではちゃんと数値が出て、やはり少し高い数値が出ていた気がするが正常な範囲内ではあったので無事解放された。


5.医師診断

 最後は、ブースに入ってマンツーマンで医師に直接健康状態を見てもらう「医師診断」だ。とはいっても、行われることといえば最近の体調について違和感がないかとか持病の有無などについて聞かれ、胸に聴診器をあてられるくらいだ。ここでは医師の質問に全て「ありません」で答え、素早く服をめくりあげて自分の腹を差し出せばすぐ終わる。

 ちなみに、ここでもう一度確認しておきたいのが視力検査で触れた「健康診断シップ」だ。早く終わらせたいからと言って、本当は健康などで悩んでいることがあるのに「ない」という風に言ってはならない、ということだ。もっとも、その場で「体調が最近少し悪い」などと言っても「病院行け」で済まされるかもしれないが。自分はさいわい持病とかもなく一応健康体でやらせてもらっているので、このエリアで時間をとられることはなかった。


結果

冒頭で述べた通り、健康診断の結果を提出して「おしまいです」と言われた瞬間タイマーをストップした。気になるタイムは…

 17分30秒。比較対象がないので何とも言えないが、20分以上はかかると思っていたので満足度としてはまあまあ高い。ただし、終了後に空きスペースで作業していると「健康診断?あぁ、15分もかからないくらいだったよ」などというふざけた会話が聞こえて、時間の計測もせずに戯言をぬかすその発言者への怒りと共に彼の体感時間を下回れなかったことへのやるせない感情が生まれてしまった。なので、究極目標は今回より2分30秒も短い15分としたいと思う。

 最後に、健康診断RTAという企画はなかなかゲーム性があって興味深く、改善点や反省点も多く見られたので、年1の恒例企画としてこれからもやっていきたいと考えている。来年になったらまた計測結果を報告しようと思う。もちろん、非走者になるべく迷惑がかからないよう、そして健康診断シップに反することのないようにこころがけながら(怒られたくないんで、保険掛けてます)。


追伸:第二走者

ちなみに、このRTAについて友人に話すと、彼も同じレギュレーションで健康診断RTAを走ってくれた。彼のタイムは俺よりかなりはやく、16分55秒であった。

 俺が走ってみてわかったいくつかのポイントやアドバイスを伝授したということもあるが、おそらく一番大きかったのは空いている時間に行ったということだろう。やはり、エリア間での待ち時間というのは先ほど述べたようにかなりタイムロスとなるので、彼↑のように人があまり多くない午前の時間帯を予約するだけで大幅な時間短縮へとつながりそうだ。さらに言えば、予約時間内の受け付け開始直前に行けば人はより少なく済むだろう。


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