2024/5/9 あの人バイトですか?/マンチェスター・バイ・ザ・シー
あの人バイトですか?
弊部に新人が配属されたが、業務多忙につき歓迎会はおろか全員による顔合わせ・自己紹介すらできずにいる。お堅めの会社なので男性は基本的にスーツを着用しているので、全身古着で出社している僕のことはバイトの学生かインターンと思われているかもしれない。
マンチェスター・バイ・ザ・シー
を観た。
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兄が突然亡くなり、甥の後見人を任される主人公:リー・チャンドラー。一度離れた故郷のマンチェスター・バイ・ザ・シー(イングランドのマンチェスターではなくアメリカの方)に戻ることになるが、彼は暗く重たい過去を抱えており……。
「この映画好きそう」とオススメされて観た映画。ネットで検索すると関連項目にaftersunが出てきてなるほどと期待が高まったが、それを裏切らないほど刺さった。aftersunと同様に、劇的な緩急があるわけでもなければ、抱える問題が解決するわけでもないのに、とことんしんみりと進行していくプロットがエモーショナルだった(葬送のフリーレンに近しいものがあった)。リーが元妻と偶然再会するシーンでは、なぜか観てるこっちまで一晩泣いたあとのような鼻腔のつまりを感じた。
主人公のリーは、見る人によっては「なぜそんなことすんだよ!」と言いたくなるほど、とことん不幸の沼に裸で踏み込んでいくというか、あえて幸せからダッシュで逃げているような行動を選ぶような人で、言ってしまえば結末もハッピーでもバッドでもないエンディング。なのにどこか地に足がついているというか、こうなるべくしてこうなっていくよなという、言いようのない感情になった。やっぱり僕は人の営みを丁寧に描く作品が好き。「悪は存在しない」と並んで、今年観た作品でトップレベルに良かったです。