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【Column】現代に颯爽と蘇った孤高のヒーロー!海外ドラマ『ZORRO』
この世の中には「ヒーロー」と呼ばれる者たちが星の数ほど存在している。青スーツに赤いマントを纏った超人を筆頭に、コウモリのように闇の中から現れる漆黒の男、ビルをよじ登り自慢のウェブで飛び回る驚異の男……世界には実に多種多様なヒーローたちが数多存在しているが、そんな「ヒーロー」たちの原点とも言える男の存在をご存じだろうか?
彼の名前は、怪傑ゾロ。黒いマスクとハットで正体を隠し、愛馬に跨り、悪を挫く。彼の活躍後は、壁に「Z」の文字が刻まれる。
そう、まさに怪傑ゾロは、勧善懲悪のヒーロー作品のひな型を築き上げた作品と言っても過言ではないのだ。
そんな怪傑ゾロを主人公とした新作海外ドラマが、この「令和」の時代に、日本上陸を果たす。
今回は、BS12にて2024年10月6日(日)より放送予定の海外ドラマ『ZORRO』の魅力に迫ってみよう!
『怪傑ゾロ』とは?
「怪傑ゾロ」は、1919年、アメリカの作家ジョンストン・マッカレーによって創造された。小説『The Curse of Capistano(原題)』に初登場したのをきっかけに、その後、1920年に『奇傑ゾロ』として初の実写映画化。さらに『ドンQ ゾロの息子』(1925)、『快傑ゾロ』(1940)など、続々と映像化されていき、大ヒットを記録。
初登場が1919年と、世界にヒーロー作品がまだ少なかった創世記に執筆された作品であり、後年に与えた影響は計り知れない。その証拠に、アメリカン・コミックスの老舗ブランドであるDCコミックスを代表するヒーロー「バットマン」は、この「怪傑ゾロ」から最も影響を受けた作品として知られており、バットマンの生みの親であるボブ・ケインとビル・フィンガーは、インスパイアされた作品として同作を挙げている。
1950年代以降は活躍の場をお茶の間へと移し、TVドラマやアニメ作品が多数製作されるようになる。この頃の作品は日本でも大変な人気を獲得。後に、宮内洋 主演の特撮ドラマ『快傑ズバット』やアニメ『かいけつゾロリ』といった日本独自の派生作品が生まれたのも納得できる。
映画ファンにとっては、アントニオ・バンデラス主演で製作された『マスク・オブ・ゾロ』(1998)と『レジェンド・オブ・ゾロ』(2005)の2本の映画がとりわけ記憶に新しい。未だアメコミ映画が乱立する以前の時代に、銀幕を彩ったヒーローと言えるだろう。
まさに「怪傑ゾロ」は世の中がヒーローを望む時代に颯爽と現れ、人々の脳裏に鮮烈な印象を残し去っていく、ヒーローの代名詞的存在なのだ。
新作ドラマ『ZORRO』とは?
そして、「令和」の現代。いま、人々は次から次へと公開され続けるスーパーヒーロー作品に多少の疲れを見せ始めている。あまりにも多くのヒーローたちが映画界、TVドラマ界を占め、すべてを追いきるのは不可能に等しい。そんな時代に一石を投じる作品が、海外ドラマ『ZORRO』である。人々にもう一度、ヒーロー作品の根底に潜む魅力を伝えるために、再び降臨したのだ。
『ZORRO』の物語の舞台は、19世紀前半のカリフォルニア。貴族の青年・ディエゴ(ミゲル・ベルナルデアウ)は、父・アレハンドロの死をきっかけに帰郷。幼馴染で元恋人のロリータ(レナタ・ノトニ)やディエゴの良き理解者であり使用人のベルナード(パコ・トウス)らとの再会を喜んだのも束の間、街には悪が蔓延っており、そこかしこで虐げられた人々が助けを求めていた。ディエゴは父の死の真相を探り、復讐のために舞い戻ったが、運命に導かれるようにして、マスクを纏うことを決意。こうして、ディエゴの「ゾロ」としての戦いが幕を開ける…。
衝撃展開から始まる、王道のヒーローアクション
海外ドラマ『ZORRO』は、あまりにも衝撃的な展開から幕を開ける。なんと!怪傑ゾロが死亡してしまうのだ。タイトルロールでもある主人公がいきなり死んでしまい、まさか!?と息をのんだが、そこはご安心を。死亡してしまうのは、あくまで先代のゾロであり、本当の主人公はその後しっかりと登場する。
最初からいきなりのクライマックス展開となるだけに、冒頭から華麗なアクション要素が見逃せない作品となっている。ゾロの愛馬であるトルナードが、颯爽と駆け抜ける様は映画顔負けで、ハイテク機能を持ったヒーローたちが活躍している現代のヒーロー作品と比べて、逆に親しみやすさすら覚える次第である。
その後のストーリー展開においても、貴族の青年が自らの地位を利用して、あらゆる事件の調査を開始、最終的にはマスクのヒーロー・ゾロへと‘‘変身’’し、悪を挫くという、まさに王道のヒーローアクションといった様相を呈す。「昭和」の頃の変身ヒーローを思い起こさせる、どこか懐かしさを纏ったヒーロー作品と言えるだろう。
しかしながら。決して古くさい作品というわけではない。
随所に現代的なアプローチも施されており、「怪傑ゾロ」作品としては極めて新鮮な印象を与える描写も多い。
例えば、これまでの「怪傑ゾロ」はアクションに重きを置いた作品が多く存在してきたが、今回の『ZORRO』はファンタジックな雰囲気も漂わせている。劇中のいたるところに、血の雨が降ったりといったようなこの世のものとは思えない力が働く描写が多く、精霊や神の力のような神秘的な設定も多いのである。
現代に蘇った孤高のヒーロー、怪傑ゾロ。
あらゆる世代に突き刺さる王道の英雄譚が魅力的な『ZORRO』は、ヒーロー作品疲れにも屈しない、不屈の精神で世の中に戦いを挑む。
本作の登場によって、ヒーロー作品の新時代が切り拓かれることを願うばかりだ。
『ZORRO』は2024年10月6日(日)よりBS12にて放送開始。
放送前日からは、特集「怪傑ゾロ特集Z」として過去の映画版なども放送予定となっているので要チェックだ!
(文・構成:zash)
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