ヨンのこと

ヨンは中学の同級生。北朝鮮系の在日2世か3世と言っていた。大きな三白眼とクッキリと結んだ唇が特長的なエキゾチックな魅力のある少女だった。

精神的に幼かった私はヨンの勝気なところがどうにも苦手だった。ヨンは「さて、ここで問題!」と難しいクイズを出して来るのだった。道にあった看板にぶつかれば看板のせいにするような子だった。

でも、私は卒業までヨンと一緒にいた。中高一貫校なので5年近く一緒にいたと思う。ヨンの強烈なキャラクターに反発しながらも、更に強力な魅力に惹きつけられていたのだった。彼女は占いが好きだった。一度だけ年賀状を貰ったが、そこに縁起の良い方角などが小さく書き込まれていたのを覚えている。またある時は、あなたの属性におすすめの食べ物はじゃがバターだよと教えてくれたりした。

高校卒業後、一回だけヨンにあった。デコルテの綺麗に映える青い服を着たヨンは私を置いて大人になっていた。確かこの集まりはSNSか共通の友人を通して決まったもので、ヨンは最後まで私にプライベートな連絡先を教えなかった。もう会えない、ヨン。会えないからこそ私の中で彼女のミステリアスな魅力は一層引き立っていく。

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