冷蔵庫と待ち合わせる 3.大きなゼリー

確か中学生の頃だったと思うが、一度見ただけで忘れられなくなったビデオがある。最近探したところ、あっさり見つかった。おそらく15年以上は前のものだが、投稿されたのは割と最近だった。


内容は日常のようで非日常的な光景。コメント欄を見ても賛否があるようだが、私は気怠い雰囲気と奇妙なリアリティが中毒になってしまったようで、たまに見ている。

インパクトがあるのが、冒頭に登場する巨大なゼリーだ。冷蔵庫から大儀そうに取り出し、無表情で淡々と口に運ぶ。思い出のようなイメージ映像がフラッシュバックする中、ひたすら食べ続ける。

食べ盛りの中学生にはこれが随分と魅力的だった。無心で巨大なゼリーを食べてみたいという思いはその後忘れ去られたが、何処かに眠っていたらしい。

それが目覚めたのが、先日の誕生日。両親が、暑い中誕生日ケーキのような生ものが送りづらいので、ゼリーのキットをくれたのだ。600mLのゼリーが出来る。その時、このビデオを思い出したのだった。

大皿に温めたアップルジュースとゼラチンを溶かし入れて、りんごの砂糖煮を入れて冷やした。今思えば中学生の財力と能力でも出来る様な気がするが、母は他人が台所に立つのを嫌う人だったので(ちなみに、これはしっかり私に遺伝している)我慢するしかなかったのかもしれない。

さて夢を叶えた結果だが、やはり、という結果になった。最初で飽きたのだ。夫と半分ずつ食べたのだが、そのさらに半分食べたところで、もう十分だなという気持ちになった。その後もう一度チャレンジしたが同じ事だった。

今年、暖かくなったら懲りずにまた作るような気がする。結局ビデオと同じで、中毒になっているようだ。

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