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イタリアとスペインで違う動詞集

Ho dimenticato la parola…non, He olvidado la palabra.

イタリア語とスペイン語は姉妹である。
なのでネイティブ同士ならほとんど問題なく母国語で会話を通せるが、
微妙に違う単語を選んだり、中にはどうしても置換できないものがある。

そして二つ同時に学んでいると、喋る時にどっちかが出てこないということがわりとよくある。

というわけで今回はイタリア語とスペイン語で違う動詞をまとめてみた。


1. Dimenticare=Olvidar

伊Ho dimenticato la parola, come si dice qualcosa come…
西He olvidado la palabra, como se dice algo como…
よく単語を忘れるのだが、忘れたことを言おうとするたびにdimenticareがolvidarより先に出てくるわ、過去形にするのにHeではなくてHoを使ってしまい、余計聞き手を混乱させるというね。

2. Vorere=Quier

伊Quindi, voglio dire che..
西Entonces, quiero decir que..

Volereは英語のwantのように、「望み」を表す。
Quierは英語だとacquireに関連する言葉で、「『得たい』という願望」を表す。
同じ意味なのだが、それぞれ別のルートで欲求を表している。

3. Fare=Hacer

伊Ho fatto
西He hecho
やったよ、と言いたい、のだがどうしてもho fattoが先に来るのはやはりイタリア語脳なのだと思う。
以前も紹介したけれどこれは元はラテン語のfacereから来ており、スペイン語だけ何故かFがHに変化し、音が消失している。フランス語はFaire, ポルトガル語ですらFazerで、スペイン語(カスティリーヤ)だけおかしい。

4. Avere=Tener

伊lo ho.
西lo tengo.
持っとくよ。

Tengoとイタリア人に言っても概ね伝わるが、hoとスペイン語話者に言っても通じない。
何故ならhaber(avere)は普通単独で使わないから。

5. Andare=Ir

伊Devo andare a scuola
西Debo ir a escuela

格変化していると気づかないが、vadoとvoyの不定形は形が完全に違う

これは「歩く」という動詞に「行く」という動詞をくっつけてしまったイタリア語がおかしいのであって、本来andareはラテン語時代からスペイン語に至るまで「歩く」を意味する。

なのでスペイン語話者にandareと言ってしまった場合、「そうか君はそんな離れたところまで歩いていくのか」と妙な話として伝わりかねない。

6.Prendere=Tomar

伊Lo tomo
西Lo prendo
持ってくわ。

スペイン語にもprender(prendere)があるが、tomarの方が頻出度が高いので覚えておこう。英語のtakeと同じ。

7.Finire=Terminar

伊Ho finito
西He terminado
終わったよ。

イタリア語にもterminare(terminar)があるが、普通はfinireを使う。上のtomarとはある種の逆パターン。

8. Cercare=Buscar

伊Che cosa stai cercando?
西Que cosa estas buscando?
何探しているの?と言いたい。

Cercareは英語のserchと同じ起源だろうが、Buscarはちょっとはっきりしないフィレンツェ方言にbuscareが入り込んでいたりするが、これはスペイン語からの輸入らしい。

9. Sentire=Oir

伊Non sento niente.
西No oigo nada.
聞こえないわ何も。

スペイン語にもsentirはあるが、これは「感じる」という意味のみで、聞くという意味はない。謝る時のLo sientoはI feel sorry for thatに近く、「申し訳ない」という訳が的確。
Oirはラテン語の聞くaudire(audioの語源)から。

10. Ascoltare=Escuchar

伊Non ho ascoltato 
西No he escuchado
聴いてなかった。

両方ともラテン語のascultareが変化したものらしい。
AとE、OとUでイタリア語とスペイン語の変化が分かれている。

11. Capire=Entender

伊Scusame, Non ho capito.
西Desculpame, No he entendido.
申し訳ない、わからなかった。

イタリア語にはintendereもスペイン語のentenderと同じ意味だが、イタリア語では普通capireを使う。これは英語のcatchと同じで「掴む」という意味を軸にして、意味を掴んだ=理解した、ということ。
スペイン語のcaptarに理解するの意味はないので気をつけよう。

12. Parlare=Hablar

伊Puoi parlare piu lentamente?
西Puedes hablar mas lentamente?
もう少しゆっくり話してくれる?

またスペイン語(カスティリーヤ)だけHに変わって無音化している。ポルトガル語ですらfalarだが、バレンシアなどで話されるカタルーニャ方言catalanoではparlarとやはりイタリア語のparlareに近く、地理的なな近さが言語的な近さにそのまま現れているようだ。

13. Domandare=Preguntar

伊Una domanda
西Una pregunta
質問です!

domandaと聞くとdemands要求の方を連想するが、質問するときに使う。

14. Chiamare=Llamar

伊Mi chiamo~
西Me llamo~
I call myself=私は〜と言います(呼びます)

再帰動詞の考え方は二つとも同じ。
実はどちらも同じくラテン語のClamareから来ており、スペイン語はCを落としてllamar, イタリア語はLを落としてChiamareとなった。ちなみに英語のclaimもこのclamareがフランス語経由で入ったもの。

15. Piacere=Gustare

伊Non mi piace parlare con altri
西No me gusta hablar con otras
他人と話すの好きじゃないんだ。

スペイン語のgustaは英語のdisgusting(不快)からdis(不)を取ったものと起源を同じくする。イタリア語にもgustare(enjoy)は存在するが、Mi piaceが一般的。

16. Mangiare=Comer

伊Non ho mangiato niente
西No he comido nada
何も食べてない。

イタリア語の場合はmangiareは「噛む」の意味があったラテン語のmanducareがフランス語経由で発展したもの。
スペイン語のcomerはラテン語の「食べる」edereにcom(of completetely「徹底的に」)を付け加えたcomedereが原型にある。

Altre cose utili o Otras cosas útiles.

ただ基本的には同じ仲間なので、法則さえ当てはめれば大体置換できることが多い。

やり方は上の記事に紹介してあるので、学習の助けとなれば幸いである。

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