もっとも大いなる愛へ、と、愛のむきだし

2020年11月4日に行われた月刊「根本宗子」 第18号『もっとも大いなる愛へ』の初日公演が再配信された。

わたしは当時何をしていたのか、自分のコンディション的に見れなくて、見なかった。
その後のレビューなどを聞き、見なかった事をもの凄く後悔していた。
だけど根本宗子さんが豪の部屋で来年再配信するかもと言っていたので、ずっとその再配信を待っていた。

そして念願が叶い、やっと観ることができたのである。


(個人的見解と愛のむきだしと、ネタバレ含みます)


この作品について、テーマがまさに愛のむきだし!!!!となりました。敬愛を込めて。

わたしは園子温監督の愛のむきだしが大好きで、何度も何度も繰り返しみました。今考えると、当時はとにかく愛に飢えていて、愛が何だか知りたかったのだと思います。
ヨーコが映画の中でコリント書の第十三章を知ってるか?とユウに問いかけ、読み上げるあのシーン。

最高の道である愛
たとえ人間の不思議な言葉
天使の不思議な言葉を話しても
愛がなければ私は鳴る銅鑼(どら) 響(ひび)くシンバル

たとえ予言の賜物(たまもの)があり
あらゆる神秘 あらゆる知識に通じていても
愛がなければ私は何者でもない

たとえ全財産を貧しい人に分け与え
たとえ賞賛(しょうさん)を受けるために自分の身を引き渡しても
愛がなければ私には何の益にもならない

愛は寛容なもの
慈悲深いものは愛
愛は妬(ねた)まず、昂(たか)ぶらず、誇らない
見苦しい振る舞いをせず 自分の利益を求めず
怒らず 人の悪事を数(かぞ)えたてない

愛は決して滅びさることはない
予言の賜物ならば廃(すた)りもしよう
不思議な言葉ならばやみもしよう
知識ならば無用となりもしよう

我々が知るのは一部分
また預言するのも一部分であるゆえに
完全なものが到来するとき
部分的なものは廃れさる

私は幼い子供であったとき
幼い子供のように語り
幼い子供のように考え
幼い子供のように思いをめぐらした
ただ 一人前のものになった時 幼い子供のことはやめにした

我々が今見ているのは ぼんやりと鏡に写っているもの
そのときにみるのは 顔と顔をあわせてのもの
私が今知っているのは一部分
その時には自分がすでに完全に知られているように
私は完全に知るようになる

だから 引き続き残るのは 信仰 希望 愛 この3つ
このうち もっとも優れているのは 愛

新約聖書コリント人への手紙第十三章。
わたしは何度もこのシーンを繰り返し見ました。

このうちもっとも優れているのは 愛

そう、愛。


2020年、大事な人たちと直接会って話をしたり、一緒にごはんを食べたり、お酒を飲んだりする事を制限された世界で、こうやって配信で、画面の向こうで、時間を共有して、愛について、舞台をやる。
個人的に去年から今年にかけての課題が、他者とのコミュニケーションだったり、言葉の選択、愛について。愛や言葉についての本を、自分なりにたくさん読んだりして、やっといまなんとなーく、まとめられてきたような感じになっていたので、とてもタイムリーな内容でした。
今までの自分だったらめんどくさくて絶対関わらないような人と会話したり、めんどくさいからこそ、その人と会話することで自分の気付いてなかった部分に気付かせてもらえたりと、発見が色々あって面白いなあと思えるようになりました。めんどくさいけど。


めんどくさいけど、他者と関わりを持たないと生きていけない世界で、


誰かと関わるってとてもこわいことだよ

そう、とてもこわい。
自分がこんなに愛をもって言葉を伝えているつもりでも、相手にはこれっぽっちも届かない。そんなことが何度もあった。それがこわい。

本当に言葉を選ぶのは難しい。
こわがって、逃げてしまったら、人と関わることをやめるしかないから。

言葉を選ぶことは愛だから。
大好きな人にはなるべく丁寧に言葉を選んで、愛を伝え続けようと思う。
生きてさえいれば、それがたとえ、言葉で伝わらなくても、愛があれば、側にいるだけで、側にいなくとも、続けていけば、愛は伝わることもあると思うから。


舞台のクライマックスシーン。

愛は忍耐強い。愛は情け深い。ねたまない。愛は自慢せず、高ぶらない。礼を失せず、自分の利益を求めず、いらだたず、恨みを抱かない。不義を喜ばす、真実を喜ぶ。全てを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、全てに耐える。愛は決して滅びない。

愛は決して滅びない。

そして曲が流れる。
rikoちゃんが舞う。


何度も、何度も何度も ねぇ と、話かけてくれる 優しい歌。

生きてる方がまだ抗える
武様に不器用になかった事にさえされる生活だが
生きている愛を
世界を見下すがいい


わたしはこの曲と、あの聖書の一節を同じように感じた。
鳥肌が立って、泣いた。

この曲が救えない生命って、この世界って何なんだろうって思った。

世界はもっともっと、優しくなるべきだ。



最近わたしの周りの人達が、同じような事をその人の視点から話してくれることが多くて。
ざっくりまとめると、 結局幼少期の環境ってものすごく大事だよね。 ということで。
わたしは、そうだよー。過去は変えられないから、それを受け入れて、受け入れられなくても誤魔化して、捏造して、自分でなんとか変えられるところはがんばる。それでも無理なところは自分なりに処理して、それも自分だと受け入れるしかない。捨ててもいい。そうやって前に進むしかないよねって、ある時から思っていて。
そういう事を、うまく言葉で伝えらている自信はないけれど、伝わってるといいな。


このようなことを考えるきっかけを貰えて、ありがたく頂戴している。

このタイミングで、この舞台が拝見できてとても良かったです。
再配信、ありがとうございました。

最終日も見てみたいなあ。


舞台の最後に、

”信仰と、希望と、愛、この三つは、いつまでも残る。
その中で最も大いなるものは、愛である。”


と、真っ暗な画面に浮かび上がる。
日常と舞台が地続きになって始まる舞台で、生きること、他者とのつながり、苦しみ、憎しみ、愛、言葉、コロナ禍だからこその舞台、もの凄い熱量で、面白い体験をさせてもらいました。

パンフレット買ったので届くの楽しみだなあ。



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