2023/12/17 祖師ヶ谷大蔵エクレルシ
1.昼間の夢
「昼間の夢を見た」 ごまかす君は言う
特別な何かが 君だけには見えた
表す言葉が 見当たらない時は
何でもない僕を 少し頼ってみて
事実はいつも ひとつだけど
真実は人の 数だけある
幸せ どれもが 似てるけれど
不幸は それぞれ違ってる
好きはいつか 飽きるけれど
美しさに 飽きはしない
だから君は ありのままで
僕のことを頼るといい
2.それだけ
名前のない丘を駆け上り 明るすぎる街を見下ろした
ここは月の光が近いから 生きていることを感じるんだよ
まだ見えない星がいくつある? 君が寝た後に輝くから
それを伝えることができるなら 僕は瞬きすら忘れる
過ぎ行く時も 描く未来も
全てを味方にする君が愛おしくってただそれだけ
繰り返しが始まるいつもの朝には
少しぬるいコーヒーがちょうどいい
水たまりに浮かぶ光は 明日には消えてなくなるから美しい
夕暮れ時のたった 5 分でも
瞳に景色を閉じ込めて 君を見つめるただそれだけ
楽しくなったり 悲しくなったり
簡単な世界になるでしょう
君がいるから ただそれだけ
3.海の名前
鳥が鳴いて朝が来て 昼間の月は存在する
星が見えるのは僕の目に光子が届くから
それって素晴らしいなって 今になって気づいたんだよ
遅すぎるよね
誰もが見逃している
君を想う暇などないほど世界が美しい
それなら仕方ないねって笑うだろう 君なら
世界の終わる日には君にも見えるでしょう
空の⻘さ、木々の新緑が恐ろしいほどに輝く
僕は泣いた 泣いた 君の地図に海ができるくらい
君はそれに名前付けるだろう ずるいよ
僕は深い海になり
君は僕を忘れてくほどに君の記憶に残るものは
海の名前
僕は泣いた 泣いた 君の地図に海ができるくらい
何もかも忘れてしまうから 僕が僕のことを
僕は泣いた 泣いた 君の地図に海ができるくらい
君はそれに名前付けるだろう
僕の名前、海の名前
4.絵本の中で
そっと ふと 思い出すような
あの日の僕の1ページを作るような
存在する誰かの話じゃないけど
それでも それでも心は “キミに寄り添いたい”
キミが空を操るなら世界にちょっと風が吹く
物語の主人公は息するみたいに 魔法かかったように
歩き始めた
見つけた海の向こうの世界に 走る光を僕は見たんだ
泳いで触れるかな? 人はきっとバカにするんだろう
見開きサイズの小さな世界にも
僕とおんなじを思った人がいるはずだから
もしかしてキミ? キミだったりするのかな
存在する誰かの話じゃないけど
それでも それでも いつかのキミを見ているよう
"キミを感じてたい"
キミが空を操るなら僕はちっちゃな鳥になる
雨上がりを告げるような脇役でいいから 魔法をかけてよ
絵本の中で
キミが描く世界終わる日に 雲間に光が 魔法が解けたら
キミに会いたい
5.机上の空論
透明なガラスのドームが空と 僕を隔てる そんな今日だ
画用紙を切り取り作った雲が 格子窓に貼りついてる
頬杖を付いて数時間過ぎた 冷たい風で我に返る
机の淵で跡を付けた左腕 その手を伸ばしてみる
どうしても届かないから 憧れた空は罪だ
心が軽い日は どこまでも続く青だ
どれも身勝手な机上の空論
ひとりでに消えてゆく
絵描きは言葉にできない事象を 描くから心を打つんだと
昔君が言った誰かの名言を 今さら思い出す
なんにも言わないから君とあの空は似てるね
いつもずっと奥に ホントのことを隠してる
確かめ合えない脆い幻想
隠したままでいい
君の描く空は見たことない色をしてる
紙一枚だけの机上の空論
風に吹かれて行け
6.立ち耳
2人で暮らすこの部屋には
足りないものがたくさんあるんだよ
1人分のコップとフォーク、丸いイスと四角い枕
どこで手に入れよう? 僕に似合うものは
君が見つけるよ 扉の先を僕にも教えて
いつか、2人で買い物に行こう 君の手を引くよ
ああ 来世は立ち耳でクールな 僕になってみせるから
丸いお顔のせい 「かわいい」と君は言うけど
今度は僕から 君の顔 撫でてあげるよ
ねえいつか、2人で旅に出よう 4つの足跡並べて
ああ 来世は立ち耳でクールな 僕になるからね
青い空、部屋で眺めるだけの 僕に足りないもの
立ち耳があればなんでもできるから
今世の間はただの猫でいさせて
来世は……
7.僕の描く物語を
悪者のいない物語 ヒーローさえもいないお話
人は皆等しく 良い子に生まれるのだろう
丁寧な日々のその隙間に 僕の描く物語を差し込んで
君に招待状 渡しに行くから ねえおいでよ
ニセモノが本当になること 君が信じ続けた証
優しい嘘は雨に溶けて いずれ僕らの道となる
平凡な日々のその向こうに 僕の描く物語の続きを
君が主人公で 歩めるように ねえ待ってて
大袈裟な君の現実に 僕の描く物語を差し込んで
頭の片隅に 心の隙間に
悪者のいない物語 ヒーローさえもいないお話
人は皆等しく 良い子に生まれるのだろう
8.エバネッセンス
かき消される音がある 君の声もここじゃ届かない
誰かの生き方を真似して 風が過ぎてくのを待つ
エバネッセンス 巻き戻しは出来ないけれど
エバネッセンス 途切れた言葉を探してみる
誤魔化していつの間にか 君も知らない間に溜まってく
こぼれてしまえばいいのに 瞳の僕が揺れている
エバネッセンス だけどすぐになかったことになるから
エバネッセンス 雨が降ればいいと願った
さよならを告げたはずの 季節がまたやって来る
命を吹き込んだだるま ハグで僕が溶かしてあげる
エバネッセンス 悲しいことかな?
エバネッセンス 君が僕をそっと包んだ