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ChatGPTを記事制作のアシスタントに任命してみた
「ChatGPTを業務で積極的に使ってもいい」という上司からのお達しをきっかけに、ChatGPT(正確にはGPT-4)を記事制作のアシスタントに任命したお話です。
ChatGPTを導入した時の思い出話から、現在の記事制作の状況、個人的にどういう体制で記事を作っていきたいかの考えを中心にシェアしたいと思います。
また、Googleからの評価が気になる方もいらっしゃると思うので、制作体制を変えたあとに公開した記事の現状も共有します。
※IT・ソフトウェア開発業、BtoB系商材のコンテンツのいちサンプルとしてご認識ください。
はじめに
そもそもどんな会社でどんな記事書いているのか、またどの立場で体験を語るのか、の前提条件をお伝えするため、軽く自己紹介をします。
私が現在所属する株式会社primeNumberはデータ分析基盤の総合支援サービス「trocco®」を開発・運営しています。
私はコンテンツマーケターとして働いており、データエンジニアリングに関する用語やデータ利活用の事例をまとめた記事の制作に携わっています。
結論、ChatGPT(GPT-4)を使った効果はこんなかんじ
一番わかりやすいのが、コスト面での効果です。
以前は記事1本あたりの費用は5万円程度でしたが、GPT-4の導入により2.5~3万円にまで下がりました。
そして、これまで記事制作ディレクションを依頼していた外部の方とのやり取りが減ったことで、企画意図の調整や修正などコミュニケーションやディレクションにかかる工数も軽減できたと感じています。
何より気になるのは、記事品質やその評価でしょう。
「AI生成のコンテンツって評価されるの?」と私もはじめは不安でしたが、制作方法にかかわらず高品質のコンテンツは評価されるというアナウンスや、実際に上位表示されている記事を複数確認していることもあり、今は自信をもってChatGPTを活用しています。
参考までに、2023年8月31日現在上位表示されている、GPT-4を活用して制作した記事の一部を紹介します。
「SSOT」: 2位
「データフュージョン」: 3位
2023年6月23日公開
ChatGPT(GPT-4)を活用することにした経緯
冒頭にも書いた上司からのお達しを受け、記事制作でも使えるのでは?という話になり、とりあえず試してみることに。
その時の様子を書いたのがこちらのQiita記事です。
この記事を書いたときは、単に「ChatGPTのアウトプットはどんなものだろうか」ということを見たかったので、本文を出力するように指示をしました。
しかし、主に「アウトプットされる内容は2021年までの情報をもとにされている」という理由から、実際に活用する際には、本文をChatGPTに書いてもらうことは控えることにしました。
慎重に踏み出したとはいえ「どんどん記事を作っていこう」という時だったので、制作費のダイエット&スムーズに制作できる体制づくりは必須でした。
そのため、ChatGPTを使って記事を作ることは見送る、という選択肢は私の中にはありませんでした。
こうして、ChatGPTが私のアシスタントに任命されました。
(GTP-Plusを契約して、GPT-4を利用しています)
※ちなみに、このタイミングで会社として「AIサービスの利用ガイドライン」を用意することになりました。
ChatGPT(GPT-4)を使ってどのように記事制作をしているのか
「構成案作りや論理展開のチェックくらいなら、十分なサポートとなるだろう」と判断し、今は以下のようなプロセスで記事を制作しています。
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校正校閲や文章の調整が必要な箇所はツールを使ってライター自身でチェックしてもらうようにしてディレクション業務の軽減を図っています。
コツをつかむまでに試行錯誤したこと
GPT-4導入当初はAPI連携を使ってがーーーっと構成案を作るつもりでいました。
参考にしたのはこの記事です。
上記の記事の方法を実践して構成案を作ってみましたが、
どちらにせよ構成案についてGPT-4に確認したいことがあるので問答形式で作った方が目指す品質を担保できる
API連携がうまくいかない時があると出力されなくなってしまいスプレッドシートを直す手間とストレスがかかる
(これは私の器量の問題かもしれないですが、ここに時間を割いていられなかったので悪しからず…)
画一的に記事を作っていくことに、なんとなく抵抗があった
ということに気づき、結局先ほど表にまとめたようなやり方に落ち着いています。記事制作の「工業化」にはまだ踏み切れませんでした。
記事の制作体制のbefore&after、そしてfuture(仮)
GPT-4導入前後でどのように制作体制が変わったか、図を用意してみました。
2023年4月時点
3月までいた学生アルバイトのライター2人が卒業し、ライターはひとりに…。
この状態では想定していたペースで記事を公開することが難しく、焦りを感じていました。
また、当時は記事制作のディレクションを外部に依頼していましたが、予算上の制約から依頼できる件数に限界があり、もどかしさを感じていました。
ただし、ディレクションのクオリティは非常に高く、この点に不満は全くありませんでした。
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2023年8月現在
現在の記事制作体制はこちらです。
新たに2名のライターを採用し、GPT-4を使って構成案をどんどん作り、ライターにどんどん書いてもらうという体制です。
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今考えている今後の理想形態
現在の「どんどん体制」(今命名しました)は今のところ大きな問題はありませんが、構成案の調整を私ひとりで行うことの限界を感じてきました。
ひとりで捌ける量の限界が見えてきた、というのが主な理由ですが、分析や他のコンテンツの企画・編集に充てる時間ももっと確保したいなという理由もあります。
もっと・どんどん記事を作っていくために、将来的にはChatGPTとのやりとりや構成案の調整業務を他のスタッフに委ねることも考えています。
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ChatGPT(GPT-4)の価値を最大化するために重要なこと
超優秀な私の記事制作アシスタントであるGPT-4ですが、人間が考えるべきところをさぼらないようにしなければ、いい記事は作れないなと思っています。
その「さぼってはいけないポイント」を
顧客/未顧客理解
プロンプト磨き
の2つにまとめてみました。
「使い方やプロンプトの工夫でChatGPT/GPT-4のアウトプットはどう変化するか」という研究を行っているわけではないので、ひとりのコンテンツマーケターの感想としてご認識ください。
顧客/未顧客理解
読者となる人はどんな人か、自社のプロダクトを求めている人はどんな状態か…ということを理解しなければ、評価してもらえる/読んでもらえる/読者を動かせる記事にはならないと思っています。
ChatGPT/GPT-4は自社のプロダクトの最新情報・周辺領域のトレンドや、プロダクトのターゲットや顧客についてはよく知りません。
また、プロダクトのマーケティング戦略としてどのようなキーワードでコンテンツを作るかという観点も言わずもがな重要です。
構成の基礎となる部分は、指示をだす側である人間がしっかりと枠組みをつくるのがいいと思っています。
プロンプト磨き
すでにChatGPT/GPT-4を触っている方はお気づきだと思いますが、同じプロンプトでも出力内容が微妙に変わったり、うまく伝わらなかったりすることがあります。
また、ChatGPT/GPT-4が学習するのと同様、ChatGPT/GPT-4を反応をみて命令する側である人間もChatGPT/GPT-4について日々学習しています。
ちなみに、ここでいう人間がする学習とは、「こういうプロンプト出したら今はこういう内容出力するのね、なるほど、じゃあ次はこういう表現で伝えてみるか」というイメージです。
プロンプトの試行錯誤をせず常に同じものを使っていると、イケてないアウトプットをさせてしてしまうことになるかもしれません。(切れ味の悪い包丁でネギ切ったら全部つながってたわ的な)
だから、記事制作の要となるプロンプトは日々磨く必要があると私は考えています。
AIサービスに対するプロンプトは、いつか「出来栄えを左右する隠し味」になり、「秘伝のたれ」や「企業秘密」として扱われる日がくるのでしょうか。はて…。
おわりに
自身の振り返りも兼ねて、2023年8月現在のblog.troccoの「SEO記事」の制作体制をまとめてみました。
優秀なアシスタントとともに、今後も日々邁進していきたいと思います。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
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