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膝のお皿を骨折した話1 骨折の痛み編

手術、入院、骨折の経験がないことが、密かな自慢だったのに、これを一気に経験するできごとが起きた。

それは、何の前触れもなく、突然やってきた。
と言うのも、私は普段運動もしなければ、無理もしない。めったなことでは走らない生活を送っていて、常に「いのちだいじに」生活を送っていたので、小さなケガはしても大けがはしたことが無かった。

だけど、その日は
慌てて走ろうと勢いよく踏み込んだ→足元の車輪止めに気が付かない
というダサい感じでおもきし転んだ。そう、両手に重めの荷物を持ったまま。
つるつるの肌のコンクリートの駐車場で、私はつまずき、宙を舞い、なぜか荷物を守ろうと荷物をもったまま両手を上げ(たぶん)、右ひざ1点で全ての負荷を受け止めた。

まず、痛みから書く。
膝から頭のてっぺんまで、「スコーン」って感じの衝撃が思いきり骨を伝わって感じた。その時、私は歯が抜けたと思ったくらい。
一瞬自分に何が起きたか分からなくて、そのままコンクリの上でじっとしてた。

でも、近くにいた両親が「大丈夫?」って言ってる声が聞こえて、私はとっさに「大丈夫」とカッコつけて立ち上がろうとした。ら、めっちゃ痛い。マジで痛い。何この痛み。尋常じゃない。まじ、ヤバいかも。
ってなかんじで全然立ち上がれなかった。
母が、ほんと、びっくりしたー。って私の腕をつかんで起こそうとしてくれたのをとっさに「自分のペースで立つから、ちょっと大丈夫」と拒否したほど。

そこからはあんまり記憶にないけど、強がって、車に乗り込んだ。
私はその日、両親を車で1時間ほど離れた場所へ送るというミッションがあり、そのために平日昼間にその場所にいた。なので、私がコケたからといって、その大切なミッションを遅らせるわけにはいかなかった。
母は私が車に乗ってごそごそしている間、「ちょっと!大丈夫じゃないじゃない!!」と近所の薬局へ行ってくれていた。

そう確かにめっちゃ痛かった。転んだ時から、痛みは治まるどころかどんどん増してきていた。
目に見えて腫れ始めていた膝に湿布を張ってもらい、私は膝の皿を触り「割れてないから、大丈夫っしょ」って強がりを言い、そこから約1時間、両親を乗せて運転をして目的地へ向かった。

運転中もめっちゃ痛かったけど、「ブレーキ踏むと、痛い」とか運転に支障が出る感じではなかったので、とりあえず気合いで痛みに打ち勝ち運転をした。
目的地に着き、母は父と車を降りた。私もエンジンを切り、車を降りようとした。
でも、降りられなかった。足、全然上がらないんですけど。車、降りられないんですけど。その方向に動かすと、めっちゃ痛いの最上級版で痛いんですけど!!!

でも、私は左足から無理やり降りてみた。
うわー歩けない。マジ痛い。なんじゃこりゃ!!

「ごめーん。なんか足、めっちゃ痛いから車で待ってようかなー」
だいぶ先に歩いて行った両親に大声で伝えて、私は車に乗り込もうとした。
車に普通にのれない!!
私はお尻から乗り、自分の手で足を持ち上げてどうにか車に乗り込み、スマホで「膝、強打 打撲 痛み」「膝 打撲 痛み 軽減」など、打撲について調べまくっていた。

膝が腫れて圧迫されているようなギューギューな痛みと、中からの何とも言えない痛み。これ、ほんとヤバいかもって私もそろそろ認めざるを得なかった。

そして、私は母に肩を貸してもらい、人生で2度目くらいに訪れたその土地の近所の整形外科へタクシーで向かった。タクシー乗るのも降りるのもめっちゃ痛かった。
自分の家からも実家からも遠い、その整形外科の先生は、お昼時に救急で飛び込んだ私にも優しく対応してくれてとてもいい先生だった。

先生は、レントゲンを見て
「あーこれ、ヒビかなあ?位置はわるくないけどね。骨折かなあ?」
と言い、私の膝を見て
「痛いでしょ。血がすごくたまってるね。とりあえず、注射で抜いたら痛み少し楽になるから」
と言った。
ちょtt。なにいってrか、わかりたくない……と脳が拒否したけど、先生の
「痛みが楽になる」
という言葉を信じ、大嫌いな注射で膝の血を抜くということをしてもらった。待ってる間、恐怖でなんどかオエっとなった。でも、何も食べていないから、吐きはしなかった。グッジョブ私。

膝には血が80㏄くらいたまっていたらしい。確かに血を抜いたら痛みは少し楽になった。
帰りの運転もあるから、今日は近所の病院に行けないという私に、先生はガンダムっぽいギブスをしてくれて「これ、貸してあげるから。返すのいつでもいいからね。紹介状書くから、ちゃんと近所の病院行ってみてもらって」
と、すごく優しくしてくれた。
ちなみにガンダムっぽいギブスはニーブレースっていう固定具が本名らしい。私は、ずっとガンダムと呼んでいた。

その日、私は帰りの運転もして、家に帰った両親を再度運転をしてすし屋へ連れて行き、一度実家へ立ち寄り、夜、1時間かけて電車で自分の家まで帰った。
もう気が付いていた。「これ、ヤバいやつだ」と。私の膝はやばいくらい痛かったし、思うように動かなかった。

家に帰ってその日はガンダムを外して寝た。今思うと怖い。なんでそんなことをしたんだろう。

とにかく、骨折は痛い。これだけは間違いない。これが当日の話。


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