見出し画像

もう家族一緒に住むことはできない (②)

(①からの続きです)
ある日の夕方、長男は次男の糸電話の遊びに付き合っていました。
長男も笑顔で次男もとても嬉しそうで、
私は久しぶりの兄妹の関わりを見て嬉しく思い、
今日は平和でいられるかなあ、と夕食の支度をしながら考えていました。

そんな時。
夫が私にLINEを見るようにと、長男にわからないように合図してきました。
LINEを開くと「今すぐ〇〇(次男の名前)を連れて
スーパーに行って!」とありました。

え?なんで今?!
私は戸惑いました。
二人は今も仲良く遊んでいます。
もうすぐ夕食の時間です。
このタイミングで次男をどう連れ出そうかと
思いましたが、とりあえず
「ママ、うっかり材料買い忘れた!
明日のお菓子買ってあげるから付き合ってー」と言いましたが、次男は兄との糸電話が楽しい最中なので、
当然、「やだー、遊んでるのに」と。
長男も「一人で行ってくれば」...。
しかし夫は、早く早く!と、こどもたちが見えないところから、厳しい表情で手で合図をしています。

そしてなんとか、次男をその気にさせて家から連れ出しスーパーへ。
その後スーパーに着いたころ、二世帯で階下に住んでいるお姑さんから携帯にかかってきました。
「連絡するまで、ぜったいに帰ってきちゃだめ!
〇〇(長男の名前とお父さんが階段でものすごいことになってる。私も怖い、どうしよう、ここにいられない」と。
姑の声は震えていました。 
その店の電波が悪いせいか、電話は途中で切れてそのまま繋がらなくなってしまいました。

とりあえず、しばらく帰れないことはわかったので、お腹が空いている次男にすぐ食べられそうなものを購入し、落ち着くまで近くに住む母のところへ行こうと思いました。

買い物を済ませて、外に出るとすっかり外は真っ暗でおまけに雨がけっこう降り出していました。
傘もなく、走っていくしかないかなあ、と空を見上げたその時、お姑さんから電話がかかってきました。
「私も怖くて家から出てきた、けれど、暗くて雨が降ってきて動けなくなってしまった」と。
薬局の軒下にいるから迎えにきて欲しい、と言うのです。  
お姑さんは86歳で緑内障のため視力が落ちていて周りがよく見えません。

じゃ、お姑さんも連れて母のところに行こう、と
次男と手を繋いで薬局へと走りました。
薬局の軒下にいたお姑さんは暗闇ですごく小さく、なんともいえないほど弱々しく座っていました。
私はお姑さんの手をとって、支えながら一緒に歩きましたが傘がないのでびしょ濡れです。
しかも、私が姑にかかりきりになっている間、
次男は私が言ったことも聞かず、走って自宅に向かってしまっていました。

このまま姑を道に放置することもできない、
次男を追いかけていくこともできない。
けれど追いかけて捕まえなければ、
修羅場を次男に見せることになってしまう。

雨の中、姑を支えながら濡れながら、どうしてこんな...と言いようのない絶望的な思いと無力感がいっぺんに胸に込み上げてきました。

長くなってしまうので、
続きはまだ次回にお話ししますね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?