もう一人のおばちゃん
母には兄が一人、姉が二人いる。4月に兄(伯父)が突然亡くなったが、お盆直前に上の姉(伯母)も亡くなった。
夫に先立たれ一人暮らしをしていた伯母は、認知症が進んで自宅で暮らせなくなり、ここ2年ほど施設に入っていたが、コロナ禍の余波で対面が叶わないことを言い訳に、一度も見舞いに行っていなかった。
6月に施設から対面許可が降りたと聞き、これは最後になるかもしれないと、母・もう一人の伯母(下の姉)とともに施設を訪れた。
拘縮が進み、すっかり小さくなってはいたが、目はしっかり開いており、こちらの言っていることが理解できているようだった。一言だけ発した「ありがとう」の言葉と、帰り際にじっとこちらを見つめる姿が忘れられない。
8月に入って食事が摂れなくなり点滴もやめたとの連絡があり、母と妹が最後の別れをした。妹に送ってもらった写真の伯母は、枯れ木のようだったが本当にきれいな顔をしていた。きっとしんどくはなかったんだろう。
翌日の夜中に伯母は息を引き取った。金曜だったのは自分が帰省できるように気を遣ってくれたのか。
土曜の午後新幹線に乗り、駅近くの斎場へ。綺麗にお化粧してもらった伯母と対面し、先に到着していた母・妹を交えて葬儀社と事務的な話し合い。喪主を務めるつもりだった伯母(下の姉)は、自分の体調も優れないため「もう直接火葬場に送ってくれ」などと言うが、そう簡単にはいかず、翌日午後出棺することに。母と妹は一旦家に帰らせ、伯母と二人で一晩過ごす。
翌日、妹が母と伯母を連れてきて、四人でお別れ。お盆のためか、納骨する予定のお寺のお坊さんの都合がつかず、思いがけず読経なしとなったが、却って型式ばらずにゆっくりお別れできた。そもそも浄土真宗は即身成仏というし、これでいいのかも。その後火葬場に移動し、火葬・収骨して終了。何も準備していなかった割に、呆気ないほどスムーズだった。
母より一回り年上の伯母。元気な頃はちょっと怖い気がして、あまり付き合いが深かったとは言えないけど、最後の最後にきちんとお別れできてよかった。天国でおじちゃんと一緒に楽しく過ごしてくださいね。