おじちゃんとの対話

 おじちゃんの運転する車で病院を離れ、実家近くのショッピングセンターへ。早めの夕食をとった後、おばちゃんと母が買い物をしている間、おじちゃんと話をする。というか話を聞く。

 「わしゃの、もう84なんじゃけぇ、無理に手術なんかしての、何年か長生きしてもしょうがないと思うんよ」

 確かに、と思ってしまった。頑張って治療して、それで再発の恐れがなくなるのか、却ってしんどい日々を過ごすだけにならないか、と思っていたから。

 「60代での、ものすごい高血圧じゃった時期があったんよ。その頃医者に『ほっといたらあと何年か』言われたんよ。あの時にはぁ覚悟はできとったんじゃけぇ」

 そうだったのか。それでタバコをやめて毎日歩くようになったのか。知らなかった。

 おじちゃんがいなくなったら寂しい。おばちゃんも母も妹も悲しむだろう。でも、おじちゃんが思うようにしてほしいなと思っていた。

 おじちゃんの話を聞いて、おじちゃんはきっとそうするだろうと思えて、少し安心した。さすがはおじちゃん。

 買い物を済ませた母を実家で降ろし、一路おじちゃんの家へ向かう。郊外の山を削った造成地の、いわゆる「戸建て団地」のてっぺんにある、四半世紀以上ぶりに訪れたおじちゃんの家は、多少床がボコボコしたりしていたけど、子供の頃の記憶のまま立派に建っていた。ものすごく懐かしかった。

 お風呂を借り、ビールをいただき、二階のおじちゃんの部屋でおじちゃんの隣に寝かせてもらう。これも子供の頃と一緒。テレビで一緒に野球を見ていたら、おじちゃんはいつのまにか寝てしまっていた。

 おじちゃん、おつかれさま。

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