ロンドンで突発的に半額でレミゼラブルを観劇した日のこと
2024年8月22日の午後、旅先のロンドンで列車に揺られながらTKTSのサイトを覗いてみると、レミゼラブルの当日券が数枚出ていた。正規料金の半額である。後方席や見切れ席かと思いきや そうでもない。
衝動的に ポチった。開演まで あと5時間を切っていた。
Sondheim Theatre にて、19:30開演。
今からレミゼを観るという実感が湧かない。不思議な感覚である。ほんの数時間前まで 自分がこの劇場にいるとは思ってもいなかったので、無理もない。
このように2階席の出っ張りがあるため、1階席後方だと舞台上部が見切れてしまう。その点、私の席では全く支障なかったので良かった。
ジャンバルジャンとジャベールが肩を組んで 笑顔で手を振るなど、本編の設定的には本来あり得ない。でも 幻に過ぎないその光景を見せてもらえるからこそ、私はカーテンコールが好きだ。
感想を端的に言うと、度肝を抜かれる素晴らしさだった。これが本場のレミゼ・・・!(ここで フランス人に怒られる。そりゃ原作はフランスだけど)
終演後 しばらく心臓がバクバクして中々おさまらず、この動悸は何事だろうと思っていたのだが、上演中に興奮のあまり無意識に呼吸が浅くなっていた可能性が高い。文字通り、息もつかせぬ 3時間だった。
私は これほどの感動的な観劇体験を、自分が死ぬまでに あと何度味わうことができるのだろうか、とも思った。
〜今回のキャスト〜
ジャンバルジャン:MILAN VAN WAARDENBURG
ジャベール:STEWART CLARKE
ファンテーヌ:KATIE HALL
エポニーヌ:AMENA EL-KINDY
マリウス:WILL CALLAN
コゼット:PHOEBE WILLIAMS
テナルディエ:LUKE KEMPNER
マダム テナルディエ:CLAIRE MACHIN
アンジョルラス:DJAVAN VAN DE FLIERT
観客が帰って行った後、ティッシュや飲食物の容器などのゴミが客席に散乱している光景を目の当たりにして クラクラした。カルチャーショックだ。劇場のスタッフ達は、さも当然という様子でゴミ袋片手に回収している。
上演中の観劇態度も よろしくない。 日本と同じ感覚で行くと観劇マナーの悪さにびっくりする、というのは知識としては知っていたが、やはり知っているだけなのと実際に体験するのとでは大違いだ。
観劇中、私の後ろの席の人が私語をしたり、右隣の人がスマホやスマートウォッチの画面をピカピカ光らせたり、左隣の人がカップアイスを音を立てて食べたりする度に、淡い殺意が芽生えた。
観劇態度といえば、「これって そういうテンションの歌では無いよね?」という場面であっても 口笛は鳴るわ歓声は上がるわで、舞台と客席との空気に大きなギャップがあって新鮮だった。大人しくて行儀良くて空気を読む日本の観劇スタイルに慣れているので。
ただ、役者さんが歌い終わるのを待ってほしいと切実に思った。歌声がスッと消えていくところまで聴いていたいのに、
♫ Bring Him Home… Bring Him Home… Bring Him Hoooooフォウフォーーウ!ヒューヒュー!パチパチパチパチパチ
みたいなことが何度もある。あの、今 めっちゃ良いところなんだけど、あと数秒 待てない? 無理か。
なお、今回のチケット代は£58で、クレカの請求額は約11,000円だった。対価として、良い意味で釣り合っていない。しかも、絶賛ドドド円安の このご時世で。
この日のおかげで、今後 東宝のレミゼのチケ取りをするモチベが綺麗サッパリ無くなり、精神的にも金銭的にも助かっている。ありがたい。
掲載写真は全て 私が撮影。