オスマン帝国外伝が止まらない
今年の2月頃だったかな、友人からオスマン帝国外伝という海外ドラマが面白いという話を聞いた。
いわゆる大奥のような話で、トルコの俳優さん達は顔が濃くて、胸毛もぼーぼーで最初はびっくりするけど、見てるとだんだんカッコよく思えてくる、かなりオススメだと猛プッシュしてくるから試しに視聴してみることにした。
奴隷として連れてこられた女性達は、身体を洗い、身体検査を受けた上で宮殿にある後宮という場所に住まう。楽器や踊りの練習、読み書きもするのかな? 仕事もしているのかな? よくわからないけど、それなりの教育を受け、皇帝の夜伽のお役目が来るのを待つ。
ただ待っているだけではだめで、関係者の弱みを握り、それを盾にしたり賄賂を渡したりして、夜伽の段取りをつけてゆく。運良く夜伽を務め、皇帝の寵愛を受け、皇子を産めばそれで一生安泰かというとそんなことは全くなくて、嫌味、妬み、嫉みは日常茶飯事。食事に毒が盛られたり、衣服に劇薬が塗ってあったり、全く生きた心地がしないみたい。
そんな後宮では、主人公と思しきヒュッレムという女性が、第一婦人のマヒデブランと、皇帝スレイマンの寵愛をめぐって既にバチバチの火花を散らしていた。ちなみにお二人とも本当に美しい。マヒデブランは、デルジベットのISSAYさんにちょっと似てる(笑)
そして単なる女の闘いでは終わらない。自分の皇子を玉座に就かせるために、政治的な面でも様々な人物を巻き込んでドラマが展開してゆく。
シーズン2の32話から視聴したのだけど、なるほど、トルコ版大奥、面白い!
もし私が後宮に連れてこられたらどのように振舞おうかなとついつい考えてしまう時がある。
下手に皇帝に気に入られてしまったら大変!周りの側女に嫉妬され、お妃様から命を狙われる。自分で麻の袋に入って海に沈むよう仕向けられたり、毒入りのお菓子を泣きながら食べるとか、そんな死に方なんてまっぴらごめんだ。
お前は器量も良くないし仕事ものろいからもう用は無いと追放され、異国の路頭にに迷うのも辛いなあ。真面目に仕事をして、気の合う側女と「ムスタファ皇子ってステキね~」などど、おしゃべりしながら、できるだけ平和に暮らすのが一番賢いかなぁと思う。
楽器が上手とか、縫物が上手とか、そういう少しだけ得意というものがあれば、それなりに後宮も楽しいんじゃないのかな。
でもヒュッレム妃みたいな人に目を付けられ、任務を命じられたら大変。断ることは死を意味する。「仰せのままに」と、どんな汚い仕事もやりきらなければならない。平気で嘯かねばならないし、同僚を殺めなければならないこともある。(結果、良心の呵責に悩み、自分で命を絶つこともあったりする)
だから白羽の矢がたつほど、仕事ができすぎてはいけないのである。追放されない程度に手を抜き、厄介な任務を受けないように、絶妙な塩梅で成果を上げなくてはならない。これは難しいぞ。それに美しすぎると夜伽メンバーに選抜されてしまう。それでは他の側女からやっかみを受けることになり、後々の苦労が透けて見える。側女として後宮を追い出されないレベルの風貌を保ち続け、他の側女とももめることなく日々を過ごす。これも相当に難しい。
社会での立ち振る舞いもこれに似たところがあるように思う。会社だって出る杭は打たれるし、手柄を取れば賞賛も嫉妬も受ける。仕事が出来なければお払い箱、出来過ぎればもっともっとと期待され仕事が増える。だからおのずといい塩梅の着地点を目指してしまう。
結局、後宮であれ、現代のいち企業であれ、やってることは何ら変わらない。
環境や立場が変わってもわたしはわたしなのだろう。本当は100%以上の力を出すべきなんだろうけど、私はひたすら"いい塩梅"を目指して、今日も軽快にキーボードを叩いてきた。
さぁ、これからオスマン帝国外伝、見よ~っと。