感想:ラブ&デストロイ
MI8kさんといえば「不完全な処遇」「もぬけのからだ」という印象が強いと思うが、私がこの方を明確に意識するようになったのは「嗤うマネキン」からで、そこからこの曲にハマった。
(ヘッダー画像はこの動画からお借りしました)
氏の曲からは非常に独特なメロディセンスが感じられ、その妙にクセのある歌わせ方に惹きつけられる。それなのにメロディと歌詞の親和性が驚くほど高いのだから不思議だ。この曲では特に『僕らは選んだんだ 進めない方を』の部分はシンクロ率120%。とにかく歌と詞の相性があまりに良いため、歌詞がスッと入ってくるし、語りを聞いているかのような気持ちにさえなる。
リズムはいたってシンプル。16分で小気味良く刻まれるハイハットに、前ノリなバスドラ。そこへBメロでさりげなく4つ打ちを織り交ぜることで、曲全体に良い効果がもたらされている。Bメロが始まる前にリズムを一旦切り、把握しやすいバスドラ4つのリズムで展開を盛り上げ、サビで落とす。この箸休めのようなパートを挟むことで、サビでまた戻ってくるリズムへの期待感を膨らませるという仕組みになっているのだ。
リズムパターンこそ乏しいが、それを効果的に活かした構成となっている。いや、むしろ少ないパターンだからこそできる演出といえる。必要以上にリズムに色を乗せないことで変幻自在な歌を邪魔することなく支え、また最小限の変化をアクセントとして取り入れることで曲としての魅力をさらに引き立てる。素晴らしくよく練られたドラムだ。
すでに頭角を現し始めているMI8kさんだが、その強烈な個性からこの先の活躍への期待が高まっている。(新曲待ってます)
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