【こんな曲が好き!】曲後半の展開について ~後編~
お久しぶりです!前編からずいぶん時間がたってしまいました!待ちぼうけを食らっていた方がいたかどうかはわかりませんが、とりあえず続き。やっていきたいと思います!
ンな前の話なんて忘れたわって方のためにここにリンク置いておきますね!
まずは前回の復習から。
『後半で変化をつけてくる曲』が好きだという話の説明でしたね。
ざっくり要約すると、「前半で構築されたメロディやフレーズを根底に持ちつつも、そこから少しずつ変化・発展させていく」といった感じですかね!わからなかった人は前編へGO!
そして、前編の最後で謎が残りました。ざっくり言うと『あぁーー』とか『いぇーーー』とか『うぉーー』とかそういうところを歌う部分です。わからなかった人は前編へ(以下略
今回はその部分についての説明になります。まず最初に断っておきますが、以下の文の中では専門というか、それっぽい用語が出てくることも何度かあります。それらについては解釈が分かれるものもあるようで、私の使い方が必ずしも正確だとは限りません!
便宜上使っているようなところもあるので、こういう風に解釈したんだなという風に受け取ってもらえれば。それではいってみましょう!
・・・いってみましょうとは言ったものの、このままでは読んでる方にとってはこれから何について説明されるのかもイマイチわかりませんね?
ここではっきり言いましょう。私がこれから説明するのはいわゆる「フェイク」というものです。
ここからは「フェイク」というものの当記事での定義について話していくので、そんなめんどくさい説明はいいからさっさと具体例を挙げてくれ!という方は飛ばして見てください。説明部分はわかりやすいように括っておきますね!
————ここから定義の話————
フェイク。もしくはスキャット、ヴォカリーズとも呼ばれたりします。
いきなり3つも難しい言葉出しやがってなんだこいつって感じですが、順を追って説明していきますね。
まず、なぜ3つも呼び方があるのか。これはもともとの意味を辿るとこの3つは異なる言葉となるのですが、今では意味が拡張されたのかどれで呼んでも間違いではないような認識となっているようです。
じゃあもとの意味はどんな感じなのか。
フェイク:『歌のなかで「フェイク」する、とは、本来のメロディーの一部をリズムや音程を変えて自由に唄う事を言います。唄っていくなかで、感情のたかまりを自由に表現しようと思った時、メロディーの制約から離れて、心のままを優先して唄う事です。』(こちらのURLの文章からそのまま引用させていただきました http://www.inner-v.com/fake.html )
今の使われ方はもとの意味からは少しずれているようです。
これをわかりやすく説明するなら、歌い手による「歌ってみた」などでしょうか。原曲のメロディをアレンジして少し違った歌い方をしている歌ってみた動画を見たことはありませんか?たとえばこのような。
シャルル 歌ってみたのはメガテラ・ゼロ
http://www.nicovideo.jp/watch/sm29885262
ところどころで音程やコーラスなどが原曲と違うことがわかるでしょうか。このようなアレンジへの賛否はともかく、こういった表現方法があることは確かです。他に例を挙げるなら、ライブで演奏する曲は原曲と違った歌い方や演奏が入る、といったものもありますね。
スキャット:『ジャズ-ボーカルで、「ルルル…」「ダバダバ…」など、意味のない音でメロディーを即興的に歌うこと。』(大辞林 第三版より)
この具体例としてはこの曲などでしょうか。
【初音ミク】ミラクルペイント【オリジナル曲】
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1588476
冒頭の「しゃーばーだば、ぱっぱっぱらっぱー・・・」の部分、これがスキャットと呼べるのではないでしょうか。こちらはジャズ曲ですし上述の説明でもジャズと入っておりましたが、この手法は他ジャンルの曲でも使われていそうです。
ヴォカリーズ:『ヴォカリーズ(フランス語: vocalise、ドイツ語: Vokalise)は、歌詞を伴わずに(しばしば1種類以上の)母音のみによって歌う歌唱法を指す。名称はフランス語の動詞 vocaliser(声にする、声だけで歌う)の命令形 vocalise に由来する。母音唱法とも呼ばれる。主に発声練習の際に用いられるが、ヴォカリーズによって歌うことを指定した声楽作品も存在する。』(Wikipediaより)
よくわかりませんが、違うサイトを参照してみると、
『簡単に言えば、ヴォカリーズとは、「歌詞を伴わずに、母音によって、アー、ハーなどと歌う歌唱法のこと」です。』(こちらのURLからの引用です http://www.maikohorisawa.com/vocalise/ )
だそうです。こうやって聞くと感覚的にわかりやすいですね。
では、ここで振り返ってみましょう。なんでこんな難解な言葉の意味を知ろうとしてたんだっけ・・・。
そうです。私の好きな曲要素の話でしたね。「『あぁーー』とか『いぇーーー』とか『うぉーー』とかそういうところを歌う部分」が、私は好きということでした。
あれ?このヴォカリーズってやつの意味に近くね?
その通りです。原義をたどっていくと最も近い意味になるのはこのヴォカリーズなのです。
し・か・し!しかしですよ。今ではこの3つとも同じような意味として使われているのが現状です。むしろ一般的な認知度としては「スキャット≧フェイク>ヴォカリーズ」と、一番意味が近いはずのヴォカリーズが一番知られていないのです。
そういう背景もあって、親しみやすさと個人的な納得度から、私は「フェイク」を採用しています。フェイクって言うとなんかカッコイイしね。
というわけで、この「『あぁーー』とか『いぇーーー』とか『うぉーー』とかそういうところを歌う部分」、これをフェイクだという前提のもとでここからは語っていこうと思います!
————定義の話ここまで————
前置きだけで凄まじく長くなってしまった・・・でもまだ続きます・・・ていうかこっからが本番!ここからは前編と同様に、曲を例示して具体的に見ていきますね!
(ヘッダー画像はこちらのスクリーンショットになります)
「paranoia」や「うそつき」で知られる、めざめPの曲です。この曲でフェイクが使われているのは、最後の部分になります。
ラスサビの『溶けた流星がキラキラした』の直後、『らららら~~』の部分。後ろの音は進行に連れて変化しているものの、歌に関しては前編で語ったような変化などは見当たらず、オケの変化がなければともすると単調な印象を抱いてしまう可能性すらあります。
そこにこのフェイクなんです!フェイク部分をメロディと捉えると、ラスサビの最後で新しい歌メロが挿入されていると考えることができますね?つまり前編で話した「後半にきて新しいメロディを追加する」と同じものだとわかるわけです!
これがフェイクの魅力なんですよ。歌というのは基本歌詞が挿入されるものなので、旋律それ自体だけでなくその歌詞の乗り方もメロディへの良し悪しの印象に影響します。それは先に述べたスキャットでも、「ぱっぱっぱら」など語感が引っ張られることになるので同様です。
その点フェイクには歌詞がなく、一つの声を続けたり伸ばすだけなのでメロディ以外の要素による影響は限りなく小さい。また歌詞や語感といったものに縛られないためとても伸びやかに歌っているように思えるし、より感情が乗っているようにすら感じられます。
フェイクのすごさが感覚的にわかってきましたか?それでは、それを踏まえて次いってみよう!
前の曲でフェイクがどんなものなのかというのは体感でわかったきたのではないでしょうか?ではちょっと応用いってみましょう!前編と後編の組み合わせです!コンボです!
こちらは言わずと知れた電ポルPの名曲ですね!電ポルPの楽曲はその歌メロ、いわゆる「歌いたくなるメロディ」が大きな魅力で、これはそのわかりやすい例の一つです。
果たして、1番Aメロで早速フェイクが使われています。『憂う目に』、『嫌いなんだけど』の前の「あぁ」です。2番でも同じところでフェイクが使われていますが、2つ目の『曖昧な言葉で』の前は「ねぇ」と変化しています。
また、そのまた前の部分『あんたの言葉で』の「ん」と「た」。ここの音程が1番とは違っていることがわかりますか(1番の対応する部分は『嫌いなんだけど』の「ら」と「い」です)?少し早くピッチが上がっています。
Bメロは飛ばしてサビ!1番も2番も音程の変化はありませんが、2番はサビの最後が急に途切れていますね。直後に入ってくるギターソロを邪魔しないためです。声を伸ばしたままギターソロに入る曲もあると思いますが、この曲のギターソロは印象的な高音から入るため、そっちを尊重した結果なのでしょう。とてもいい効果を生んでいると思います。
落ちサビからラスサビに繋がるところまでは他のサビと同じ進行ですが、『やっかいでっかい病は続く』の『続く』から畳みかけるようにメロディがアレンジされていきます。そしてその後の「あぁ~」というフェイク!まさに私の好み!って感じです、理想の展開です。
【初音ミク】 [It's not] World's end 【オリジナル】
ちょっとややこしいやつもいってみましょうか!まずはメロディの変化から。
最初は2番Aメロ。1番の「私は今」に対応する部分の「一度も出なかったけど」、文量もメロディも変わっていますね。そしてその後の「嬉しかった」の部分も、1番では下から上がってくるメロディなのに対して、上に上がってから下がるメロディになっています。
そして落ちサビ、「あぁ そうだよ」のところ。ここも他と比べると「よ」の部分を少し変化させていますね。
え、他のサビでも「見上げれば」とか「馬鹿だな」の部分は同じメロディになっている?
いい指摘ですね!これはどういうことかというと、ご指摘の部分はサビ後半になるのですが私が言ってるのはサビ前半の部分で、同じメロディでも性質が異なるんですね。本旨からはずれてしまうので簡単に説明しましたが、何言ってるかわかんない方はコメントなどしてくれればできるだけ説明します!
では続きいきますね!最後は歌のラスト部分。少しメロディの変わった「私の右手には」から、「君の左手」と新しいメロディを添えて歌が締めくくられます。最後に新しく挿入されるメロディはサビからさらに盛り上がりを畳みかけるようなメロディが多く、こういった落ち着いたメロディになるのは珍しいですね。とても好きです。
まあその点は置いておいて!ここまでは前編の復習です。ここからは後編で触れた、フェイクの部分を意識してこの曲を見ていきましょう。
冒頭の歌詞部分が終わった後にイントロに入ってから、早くも「あぁーーーいえぇー」というフェイクを歌っているのがわかります。
ちなみに、その後の「あーーあーーあーー」と後ろで歌われているのは、フェイクではなくコーラスですね!
フェイクとコーラスの違いはなんだよという質問が飛んできそうですが、メインとなるボーカルが歌っているのがフェイクでそうでないのがコーラスだと私は解釈しています。この部分で言うと、「あーーあーーあーー」のところはメインボーカルが歌っているという感じではなさそうですね。
というわけでここは、少なくともこの記事ではコーラスとして扱っていきます!とりあえずここはフェイクじゃない!と認識していただければオッケーです。
次のフェイクはサビと同時に入ってきますね!サビ前で演奏を止めて”タメ”の部分を作ってから「あぁー」と入っているのが印象的です。
そして最後に、ラスサビとアウトロです。ラスサビでは「私の右手には」の後で「あーあー」と差し込むことで盛り上げつつもラスト部分への期待を膨らませます。
そして「君の左手」と落ち着いたメロディで歌詞は終わりますが、その後「うああーーーらららーららーらー、ららーらーらーららーらーあー」とフェイクが追いかけてきます。
これがいい!!この一連の流れが最高なんですよわかりますか!?いやわかってください!!
最後の歌詞でそのまま終わると落ち着いた印象のラストになると思うのですが、このフェイクを入れることでもう一度盛り上がりどころを作ってくれるんですよ。これが良いんです、伝わってくれ(伝わってくれ)。
説明はこれにて以上になります!
なんだか説明にかこつけた曲語りみたいになってしまいました!いやー私の長ったらしい文にここまでお付き合いいただきありがとうございます!前編から後編まで長い期間空いてしまい、それでも読んでくれる方がいるというのは嬉しいです!いる、よね・・・?いてくれ!
ほかの記事で言ってるかもしれませんが、私は曲を聴くうえで歌を一番重視して聴いているつもりです。その情熱の一端がここで見せられていれば幸いです。
今回のこの前後編の記事で紹介した曲のいくつかは、私が先日公開させていただいた『「個人的に」好きなボカロ曲ランキング TOP100』というマイリストに入っているものです。
これだヨ!
当然こちらにあるのは私の好きの結晶なので、ぜひ見ていってください!まだ見てない方も既に見た方も、この記事を読んだ後でここの曲を聴けば、私が好きになる理由がわかるのでは!?そういった思いでこのくっそ長い文を書かせてもらいました!おひまな時にぜひ!
繰り返しになりますが、私の自己満足にここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございます!それでは!
※余談
フェイクを優先する都合のためにあえて省略しましたが、実は後編で紹介したGerberaにも前編で述べられた、メロディが展開されている部分があります。ここまで読んでくれたみなさんならもうおわかりですよね?ぜひ探してみてください!
※余談その2
今回紹介した[It's not] World's end、こちらの記事で感想を述べてます。
これだヨ!
・・・見てね!(小声
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