感想:少年少女家出綺譚
『死にたい僕らは』
しじまさんの曲はこれが初めてというわけではないが、全曲を聴いていないというのとアデライド、または花言葉やドライフラワーのイメージがあまりに強すぎたために、この曲を初めて聴いた時はまず普通の曲であることに驚いた。
この方はいわゆる感性の反乱βの人なのだと勝手なイメージを押し付けていたが、私個人としては感性の反乱βタグのついた曲は苦手であることが多いのでむしろありがたい。
開始早々にあの一度聴けば瞬時に脳に焼き付く独特な声が聴こえてくる。どうしたって無機質さが付きまとうVOCALOIDの声だが、そんなボカロの”熱唱”を上手に表現した素晴らしい調声だと思う。これほどまでに切迫した歌声を響かせるボカロ曲はそうそう見当たらないだろう。
何かを始めるということはたいへんな度胸とエネルギーが必要だ。「まだ時期がきてない」と自分に適当に言い訳をして無難な選択をする、いや、その勇気すらも出なくてただ俯いて唇を噛みしめることしかできない。そんな自分が嫌で嫌で死にたくなることもある。
この曲はそれを残酷に提示しながら、それでも逃げるなと、困難だらけの外の世界へ踏み出せと、荒々しくも力強く激励する。他でもない自分のために、「生き急げ」と急き立ててくるのだ。
これらのメッセージがこれ以上なくストレートに伝わってくるのは、慌ただしいとすら受け取れるPVや曲全体から溢れ出る疾走感があればこそだろう。
形から入るタイプで悩んだら行動しない派の自分としては、3分ちょうどという時間を全力で駆け抜けるような勢いにぐさっと刺さるものがあった。
最後は、作者が最も伝えたかったという一節を抜粋して締めくくりたいと思う。
『生きることから、逃げてしまったら、 もう二度と、君に会えない!』
・・・肩肘張らない文を書くとか言いながら、結局またカッコつけてしまった。次こそは・・・
※画像:http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=61488779
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