2019年VOCALOID10選
あけましておめでとうございます!
年も明けて2020年になりましたので、そろそろ2019年VOCALOID10選の感想をまとめて述べていこうと思います!
この年末年始引っ越しをしていまして、ネット回線も開通してようやくそろそろ落ち着くかな・・・という状態になりましたので、満を持して!
#2019年ボカロ10選 の感想を書いていきたいと思います!
※現在2020年3月19日(なんだ?文句あんのかオラァ・・・)
↑これが私の挙げる10曲ですが、こちらの順番に沿って、投稿日古い順で。
また2019年の1選はすべての感想を終えた後、最後に紹介したいと思います。
私の1選が気になるという方がもしいましたら、ぜひドキドキしながら読み進めてください!
逆に「1選しか見たくねえんだよこっちは」って人はあとがきまで飛ばしてください。笑
ではいきます!
ヤーウェ / 初音ミク
去年書きました「2019年上半期ボカロ1選」で挙げた曲になります。
1月4日投稿の曲ですが、年を越えてもその威光は衰えず。堂々の選出となります。
上の記事にて好きな部分はほとんど語り尽くしてしまったんですよねw
ですので、その感想でおそらく意味がわからなかったであろう部分のドラムを抽出してみました。
・シンバルとバスドラ3発の疾走感がやばすぎる。 (冒頭~0:05)
・2番1つ目の最小限なフィルも、 (0:05~0:07)
・クラッシュシンバルからハイハットに切り替わるのも、後半でバスドラが3発から2発になるのも、 (0:07~最後まで)
・後半のスネア2連打×2も、(0:03~0:05)
・キメのチーチータカチーチータカチーも、(0:05~0:08)
・その後のフィルとしてくるタードコタータードコタータードコタカドコタカドコデン!!も、(0:08~最後)
こうして秒数指定してドラムだけ流せば伝わりますかね・・・?
ていうか後半の私の説明がIQ5。
『いつの間にか君を傷つけて失ったんだね』『必ずまた何処かで』という歌詞からも、この曲ってすごく悲しいし、今はもう会えない相手を想う歌なんですけど、聴いている程度ではそこまで深刻ではなさそうに聞こえるんですよね。
それはポップな曲調だからというのもあると思いますが、『僕を見つけ出して』『君を救い出して』というような強い願いが随所に込められているところだったり、『進むんだ 夢待つ地へ』『必ずまた何処かで』等の、なんていうんでしょう、前を向いているような歌詞が見られるのが大きな原因なんじゃないかと私は思います。
たとえば「君がいないこんな世界なんかもう全部おしまいだ」みたいな歌詞が聴こえたら、わかりやすく悲しい歌だと直感できると思うんです。
この曲も1番Aメロから『子供の頃夢見た ヒーローなんていやしないんだ』『迫りくる恐怖は残酷だ』とかなりマイナス方向に振った歌詞なので、聴いたのがここまでなら悲しい印象が強いかもしれません(私は初見時は聴き流しちゃいましたけど・・・)。
ただその後のサビや後半の歌詞からは強い決意が込められていて、「悲しみを完全に乗り越えた後のお話なのでは?」と思わせられます。
そんなことないんですけどね。『夢ぐらい見させて』なんて絶望を覗かせていて、今でも乗り越えられてないんですけどね。ここの歌詞だけ飛び抜けて情けない本音が漏れてるのが好きです。
なんの話してたんだっけ・・・。自分が何を言いたいのかよくわからなくなってきました。普段歌詞の話をしないからこうなってしまうんですね。
せっかくなのでこの機に乗じて一番好きな歌詞についても話させてください。
上に述べたとおり冒頭、つまり1番Aメロから悲しい歌詞で始まるこの曲ですが、Bメロに入ると『僕が君を守る』というめちゃ強ワードが聞こえてきます。おお、なんて頼もしい!
ところが、Bメロを聴き通して判明する歌詞の全貌はこちら。
「僕が君を守る」なんて言葉
生まれ変わったら素直に言えるかな
守れなかったんだ!!!!!!!!(号泣
途中まで聴くのと最後まで聴いたのとで、歌詞から受ける印象が反対になっています。
このあたり、kqckさんの記事でも大きく取り上げられているので、こういうのが好きな方はぜひご一読を。
いや・・・「生まれ変わったら素直に言えるかな」って、あまりにも切なくない?
素直に言えなかったどころか、もうやり直しがきかないんですよ・・・!!しかも「生まれ変わったら必ず言うよ」とかじゃないんですよ。言えないかもしれないの!?
なんていうんでしょう・・・「君の名は」ラストのあのやきもきするシーンみたいな、そんなもどかしさがあると思いませんか?えっここまで来てやめちゃうの!?みたいな(急なネタバレすみません・・・これしか思いつかなくて)。
言いたいことを言わなかった悔恨、守りたい相手を守れなかった自己嫌悪、取り戻しようのない過去への絶望、不確かな願望に縋るしかない自分のみじめさ、そういった感情のすべてがこの一文に込められていると私は思います。
あともうひとついいですか?
この作者の他の曲に『アスガルド』というのがあるんですが、アスガルド→ヤーウェ、もしくはヤーウェ→アスガルドと聴いてみるとまた新たな良さが発見できるので、ぜひ試してみてください。
君の大切な笑顔
守るために僕は今
何度も立ち向かうよ
君とならどんな場所も飛べるよ
さぁ、手を繋ぎ行こう
ヤーウェを聴いた後にアスガルドのこのような歌詞を見ると、2曲の関係を想像せずにはいられません。
【鏡音リン】2018【オリジナル曲】
これ編曲含め全部自分でやったとかウソだろオイ・・・え、ほんとに?
コンパスとのタイアップ曲としてミクソロの曲を初めて書いたり、ラップ主体の曲を投稿したりと、近年作風やスタンスに変化が見られるnikiさんですが、2019年最初の投稿曲がこちら。2019年投稿(こちらアルバムへの書き下ろしが初出ですが、そちらも2019年発売です)にもかかわらずこのタイトルなのがまず目を引きました。ちなみにタイトルの意味はわかってません。『もう二度と「今」は戻らないから』って歌詞でいいのかな・・・
Lilyマスターとして不動の地位を築いてきたnikiさん。他ボカロ(UTAU)の曲が増えてきたこともあり、「今回はLilyじゃないのか・・・」というような声をよく聞くようになった気がします。気持ちはわかります。でもこの曲は聴かないと絶対に損!!!!曲調もEDM(ってタグに書いてあった)でLilyのロックが聴きたい方からしたら求めているものとは違うかもしれませんが、でもこの曲は聴かないと絶対に損!!!!
ブリッジミュート好きとしては冒頭のギターでもう最高に高まってしまうのですが、やはり際立った特徴といえば歌メロ。歌い始めから上質なバラードを予感させる立ち上がりです。
そしてその期待通り、サビはずっと「さあ崩れ落ちろ!」と言わんばかりの泣きメロ。湿度の高い音使いやリンの調声もあって、歌っているリンちゃんの方が泣いているように感じられます。こっちも泣いちゃう。。。
また、後ろのリズム隊もサビの盛り上げに大きく貢献しています。1サビに入るまでバスドラの入った明確なリズムを封印することで、サビで一気に音が集中するよう仕向けているんです。2番でもバスドラは最小限にして、上モノとなる音をパートごとに差し替えることで控えめながら音の差別化を図っています。
この控えめにというのが重要で、リズムの色を乗せる大きな決めどころをサビと2サビ後の間奏に絞っているんですね。他の部分に無駄に意識を散らさせないように。そしてただ1番と同じ展開をループさせるだけでは単調になってしまうため、曲調を決定づける音ではなく、雰囲気を表すための音を変えてそれを回避します。それによって、決して目立ちはしないものの変化を主張する展開ができあがります。もはや職人技。これ編曲含め全部自分でやったとかウソだろオイ・・・(2回目
ロゼの痕跡/初音ミク
昔と比べて音作りのレベルが尋常でなく上がっている昨今のボカロシーン。いまやYouTubeに投稿されるような邦楽(ここでは"人間の"という注釈を加えたほうが適切でしょうか)と同様に、「いかに冒頭で視聴者の耳を惹きつけるか」「どうやってブラウザバックさせることなく最後まで聴かせるか」が楽曲において非常に重要な要素となっています。
この曲の冒頭には強く惹きつけられました。まずスネアとフロアタムの2連打をバックギターとベースもリズムを合わせることで絶大なインパクトを与えられました。
ですが初見で最も印象に残ったのはリードギターです。冒頭のリズムをシンクロさせた楽器陣をさしおいて、一貫してリードメロディを奏でるギターの方です。クリーントーンではなく、ディストーションとはっきりわかる歪んだ音。この音が私にはとても温かみのある音のように感じました。柔らかいというよりは、サムネイルのミクさんの瞳のようにキラキラと輝いた、力強い光のような。
そこへいくとイントロを終えて迎えに来るのは優しい旋律の歌メロ。2サビ直後には神秘的な奥行きある音が響き、その後にリズミカルで跳ねたくなるようなベースが聴こえてきます。
なんと形容したらいいかわからないのですが・・・この一曲の中にさまざまな光を、いろんな方向から見たような感覚を覚えました。時に明るく、時にやさしく。
この曲は、強烈に好き!!というよりは、「気がついたらいつも聴いていて、常になんとなく一緒にいた気がする」枠の曲です。
いわゆる"愛で曲"と言っていいと思います。周囲に聴いて聴いてとオススメするよりは、自分の中で大切にしていたい曲・・・。
ですのでTwitterではあまり貼ってないと思いますが、不思議といつ聴いても耳になじむ曲で、ふとした時に聴くことが非常に多かったです。いつ聴いても良い曲は名曲の証!
【初音ミク】ドリーム【Futurecore】
間奏を聴いてくれ。
いやほんとに間奏なんです。聴いてくれ。(同じことしか言ってない)
Bメロディ音の主張が強くなってからの静かなサビ入りがいい。サビの2段階構成も、先の静かな入りから想像される展開を良い意味で裏切るようで心地良い。わかります、わかりますよ。
でもこの曲の感想で一番に挙げるなら2番Bメロ後の間奏でしょう!
Mystekaさんは毎度ゴリゴリのクラブサウンド曲を出しますが、クラブミュージックの王道的な展開よりは歌メロを大事にして曲を作っているように思います。
具体的に言えば、「サビの後にはドロップ!」というクラブミュージックという理由でストレートな構成にはしない方です。
この曲も例に漏れず、サビでキャッチーな歌を聴かせてくれる歌ものポップスです。
ただ、2番Bメロを聴いて「あ、これこの後に間奏くるやつだな」と思った時、私はここでドロップがくるのかな?と考えていました。同氏のPolarisでもそのような展開だったし(あれをドロップと呼んでいいのかについてはよくわかりませんが・・・)。
ドロップは「クラブサウンドにおけるサビ」と呼ばれることもありますよね。つまり、もっとも盛り上がる音が流れる場所。
ですがここでやってくるのは、「音数」とか「音圧」という視点で見ると盛り上がりとは逆の間奏です。ドロップでもなく、どちらかというとシンセソロ?(この呼び方で正しいのかわかりませんが)といった趣き。
この盛り上がらない間奏、だからこそいいと思うのは私だけではきっとないと思います。
同じような展開をする曲として、アンノウン・マザーグースが挙げられます。ボカロリスナーのほとんどが知っていると言っていいほどの知名度を誇るこの曲の、1:11~のパート。サビ・・・と呼べばいいか、Cメロと呼ぶべきかは迷いますが、ここの部分でもドリームの間奏と同様に、「先の盛り上がりを期待させてから静かに展開させる」パートと言えるでしょう。もう流れてしまっていますが、過去に「ここであえて静かになるのが良い」という旨のコメントを見た記憶もあります。
ともあれ、同じ手法を用いたこの曲が押しも押されもしない有名曲であることを鑑みれば、ここの良さに共感してくれる人がいるはずだという考えにもそれなりの信憑性があるとご理解いただけるんじゃないかと。
・・・と、あれこれ理屈をつけて正当化してみましたが、たとえ世界で誰ひとり共感する人がいなかったとしても関係ありません。初めて聴いたときからこの間奏の虜なんですよ私は!
先ほどはアンノウン・マザーグースを例に挙げましたが、こちらは歌メロでない間奏というのがまたいい!しかも2番後の間奏という、ラストへの展開に繋げる大事な間奏で!
かわいいチルいエモいの3拍子揃った最強の間奏だと思います!
Chasing me【巡音ルカV4X English & 初音ミクV4X English】
この曲をマイリストに入れるかどうかはサビ頭にかかっていると言っても過言ではないと思います。
われわれ日本人にとって英語は日本語と比較して聴きにくいもので、一聴して何を言っているのかわからないレベルの英語力の私にとっては、ともすると右から左へと聴き流してしまいそうになる。そんな印象があるのが英語歌詞の曲です。
巡音ルカV4X English、初音ミクV4X Englishと表記されているとおり歌詞が英語で構成されており、加えて冒頭の透明感溢れる後ろの音に儚げに語りかけるような調声。先ほど言った右から左という特徴をこれでもかと強調しているかのような曲調を受けた私は、「歌メロに注視するより、歌メロも曲の構成音のひとつとして、ふわ~~~っと世界観を堪能する、ニカみたいな聴き方をする曲なのかな」と思っていました。サビがくるまでは。
サビ直前の一瞬の空白。そこに差し込まれるブレス音。序盤の4つ打ちとは一転して展開される重いリズム。この曲に対する自分の認識が間違ったものだとここで気付きます。
ここのインパクトが本当にすごいんですよね。1番サビから聴けますので、ぜひ聴いて体感していただきたい。「うわあ~~~~やられた!!」という感覚を味わってほしい!
その後も澄み切った音を響かせながらずっしりしたテンポは続き、この絶妙なバランスの世界に繋ぎ止められながらもアウトロまで導かれていきます。
個人的にはCメロ途中で鳴り出す「ンーテンテンテン,ンーテンテンテン」と鳴る、1拍目のタメが特徴的なシンセの音と、サビ終わりの変拍子が特に好きです。『Chasing me』と伸びやかな歌メロを駆使して、小節の終わりを後ろにずらしているのを違和感なく聴かせています。伸びるメロディだとこういう小技が来ることが多くて、好きです。(直球)
Q極進化論 - れるりりfeat.VOCALOID Fukase
イントロで始まる重々しいドラム、そのリズムに呼応するようなゆったりした歌。それがサビでは一転して中音域の音が増えて軽快に進むドラム、こちらでもまたリズムに対応して早口気味に畳み掛ける歌。
このギャップですよ。リズムが重いとか2曲連続して言ってるのは語彙力がないだけなので許してください。
れるりりさんの音はどれもバランスよく高水準というイメージなのですが、今回は特にドラムをメインに据えた音作りで個人的に大ヒットでした。ブヨン!という柔らかくて特徴的な音を表拍で鳴らしているのがドラムとの親和性高くてグッド。
リズムという観点で言うなら、Cメロで初めてリズムと歌メロの速度がずれるのが巧いなと思います。リズムはイントロの重さで、歌メロはサビのような軽快さで。
またその次のDメロでは速度を上げていくドラムとは裏腹にゆったりしていく歌メロと、逆転した展開に。
ラスサビに向けた畳み掛けとしてこのような今までのパターンを崩しにかかる手法は流石わかっていらっしゃるなあと。どんな曲調でも満遍なくポップにしてしまう、ベテランのれるりりさんならではの技巧だと思います。
こういうのがえっちなベースってヤツなんだなぁ~と思いながら聴いています。(余談
夜が引いていく / 初音ミク
これは"チルい"ですね!?”チルい”でいいですよね!?
音楽ジャンルに関わる言葉を使う時はどうにも不安になってしまう私です。
さて、こちらはパノプティコンでその存在を世に広く知らしめたr-906さんの新曲です。
自分の10選を公開した後で他の10選を覗いてみた時、パノプティコンとA rainy dancerが非常に多く見られ、「さすが時の人!」と思ったものですが、私の選出はそのどちらでもなくこれ!(一番投稿日時が新しいため、選出までの期間的に惜しくも選外となった可能性が高いかとは思いますが)
・・・逆張りで選んだとかではもちろんないですよ?
私はこういったどっしりしたリズムにキャッチーな歌が乗っている曲がとっっっても好きで、だからエレクトロニカやバラードなど、ゆったりしたテンポの曲を好きになりがちなところがありまして。この曲も同様の理由で好きになったのだと思います。
ほら、ボカロ曲って高速で展開が急な曲がよくあるじゃないですか?そういうのも好きなんですが(上で感想を言ったヤーウェもそのタイプですね)、自分がマイリストに入れやすい傾向を考えると、こういった曲調なのかなと思います。ミドルテンポの方が音と音の間に空白が多くて歌メロが聴きやすいからかもしれません。
あと、このあたりのBPMの曲はひとつひとつリズムを踏みしめているようなものを感じるのが好きというのがあります。リズムと曲のどっちを先に好きになったのかはちょっとわかりませんが。
そんな遅めの進行のこの曲ですが、だから退屈に流れるだけかというとそんなことはありません。サビとラスサビの直前にはブレイクが入って緊張感を演出するし、2番では1番と違う展開、こちらでも拍頭でブレイクを使うことで飽きさせないよう工夫されています。
なかでも私は1サビ後の間奏がイントロより4つ分早く終わって2番に入っているところが好きです。
このイントロのメロディは「テレッテレッテッテ↑」と上がって終わるフレーズ、「テレッテレッテッテ↓」と下がって終わるフレーズの2つを交互に繰り返しています。イントロ→1番入りでは下がって終わるフレーズから1番に入るのですが、1サビ終わり→2番入りでは1つ分省略されることで、上がって終わるフレーズから2番に入っています。ペースが早くない分そこまで印象には残らないかもしれませんが、これをもっと大げさにすると、煮ル果実さんによる「ハイネとクライネ」の唐突に2番に入る流れのようになる、と言えばこの部分の良さが伝わりやすくなるでしょうか。
些細な展開かもしれませんが、私はこういう小技めいた趣向に惹かれてしまうんですよね。
あとこれがフェードアウトで終わっていくのめちゃくちゃわかる。こういう一定のテンションで進む曲ってフェードアウトで終わってほしくなりますよね・・・。わかって・・・
土砂降りの雨に唄えば / 雨歌エル
今期最強だったストレートなバラード。
1つ前と同じように、というかさらにスローテンポな楽曲です。ピアノの入ったロックバラードといったところでしょうか。ピアノ、ギター、ベースのどれもに際立つパートがあります。ピアノは冒頭や1サビ直後、ギターはサビやギターソロ、ベースはピアノが目立つ部分での後半で。このバランスの良さとそれぞれの音の洗練さという点で、2019年に私が聴いてきたバラードの中でも頭ひとつ抜けたクオリティだったと思います。
・・・え、ドラムはどうなんだって?ドラムで一番目立ってるところと言ったらサビ前等で聴こえる連打のフィルかなと思いますが、それ以外はシンプルにまとまったドラムじゃないかと。これでいいんですよ!
「ドラムが良い」と聞くとすごい激しいドラムだったりトリッキーなリズムや目立つフレーズを叩くドラムが連想されがちですが、私としてはむしろこういった感じの、なんというんでしょう、”芯を感じるドラム”とでも言えばよいのでしょうか。こういうのが好きなんですよね2番Aメロなんかは直後のギターソロとのギャップを狙ってスネアを叩かずハイハットとバスドラのみですが、この簡素な構成にも気を遣った丁寧なフレーズ作りをしていることが一聴してわかります。
ドラムに熱を入れて話してしまいましたが、この曲で一番の熱量があるのはやはりギターソロだと思います。
ドラムの話でも言ったようにAメロで音数を少なくして緩急をつけていますが、そこからいきなり轟々と鳴るギターに圧倒されます。
1番と2番で後ろの音は変わりますが歌メロは全く変わりません。なんならBメロの最初まで歌メロが同じです。
1番では『声や』となっているのが2番では『拝啓、』と。これが本当に巧くて、ここまで歌メロのテンションが変わらないため、視聴者は当然Bメロに移行するものだと考えるんですね。このようなテクニックによってよりギターソロの入りがよりインパクトのあるものに仕上がっています。
そもそも2A→ギターソロというのがミソなんですよね。2番Aメロからギターソロに入るパターンは最近のボカロシーンではほとんど聴かない(当社比)ように思いますので、そういう意味でも意表を突いていると思います。
この部分でもう一つ言いたいのが、ギターソロの直前の『拝啓、』という歌詞です。
ヤバくないですか?「拝啓」と聞いたらこの先が続くと思うじゃないですか。次のフレーズから手紙の本文が歌詞になるのかな?と思うのが人の性ってもんでしょう。
ですがその先で続く文章はついぞ触れられません。土砂降りの雨のようなギターの音で塗りつぶされてしまうからです。
「彼がその時なんと言ったのか、なぜだか記憶にない」みたいな、語らない良さのようなものがここにはあると思うんです。
【初音ミク】TiME【オリジナル曲】
2019年の「歌が最強」枠。
いやーーーーーーもうほんと、こういう曲を見つけるためにボカロリスナーやってるみたいなもんですよね。全体的に"強い"マイナー曲を見つけると達成感よりも「なんでこの曲伸びてねえんだ!!!!いい加減にしろ!!!」という怒りの方が先行するんですが。編曲のクオリティなどで拙さは見えるものの、それを遥かに超える歌の魅力がある曲を見つけると、「あった・・・!あった!!あったよみんな!!」と砂金を見つけた子供のようになってしまいます。
最初に言ったとおりこの曲の一番の魅力は歌にあります。歌のメロディについて語るのは非常に難しいものがあるので、なんとかできるだけ言葉にしていきたいところではあるのですが!ここでは調声とコーラスにも触れながら歌メロの話をしようと思います。
この曲は後ろの音に比べて歌声がだいぶ大きめの音量となっているのですが、歌い終わりのビブラートに至るまでひとつひとつ丁寧に調整されたミクさんの声のおかげで「これは歌をちゃんと聴くべき曲だ」と即座にわかります。
そしてもうひとつ、コーラスです。ぶっちゃけ私はコーラスとかあまり聴けない民族(そんな民族はいない)なのですが、この曲は歌声が前面に出ているおかげで私のような民族(そんな民族はいない)でも聴き取りやすいです。
その上で言いますが、1番と2番でBメロのコーラスが違うのすごくないですか?1番では上にハモったり時間差で歌ったりとダイナミックに、2番では一貫して下にハモってどっしり支えるという構成です。時間差で歌っていたのがそうでなくなる『なんて』の部分がやはり一番わかりやすいですね。
また2サビでは、最初の『泣いて泣いて抱きしめられて』と『同じ過ちを繰り返して』の部分が1番と若干、じゃ〜〜〜〜っかん違います!
前者は1番では『抱きしめられて』の最後「られて→え↑〜↓」って感じに、音程を上下させているのに対して、2番では「られて→」と一定の音程です。
後者は1番では『笑っていて』の部分の最初が裏返った歌声となっていますが、2番ではそうなっていません。またその後に続く「いえ〜〜」と歌う部分もなくなっています。
この歌い方だったり、歌メロの末尾だったりといったちょっとした変化が大好きなんですよね。そうそうそれそれそういうの〜〜!!って気持ちになります。
そういった意味も込めての「歌が最強」枠です。
ちなみにラスサビでもさらに変化を見せてくれるので、ぜひラスサビまで聴きにいってどこが変わっているか楽しんでみてください。
【初音ミク】十五夜は届かぬ告白
(ヘッダー画像はこちらのスクリーンショットになります。)
も〜〜〜〜!!!この曲ですか!?!?!?
という思いでした、投稿された直後は。
いやこの曲はアルバムが出た時に聴いてからめちゃくちゃ好きなんですが、まさかこの曲が投稿されるとは!
あ、cohaさんのアルバムについて書いた感想あるのでそちらも読んでください。(真顔) この曲の感想も少し載っています。
話を戻すんですが、まさかこの曲が投稿されるとは!!(2回目)
この曲は「知っている人は知っている、アルバムのみ収録のキラーチューン」的な扱いだと勝手に思っていたので、アルバムから曲が投稿されるというツイートを見た時もこの曲だとはつゆほども考えていませんでした。そして冒頭の絶叫に戻る。
cohaさんの1stアルバム「The Orchestra of Stray Sheep」が発売されたのが2019年4月28日。私がcohaさんを知ったのはニコニコ動画に投稿されている「幼き魔法の羽のこと」からですが、cohaさんの曲の深みに一気にハマったのはこのアルバムを聴いて以降です。半年ちょっと、共に駆け抜けるような勢いで聴き続けました。 たぶん2019年で一番推したボカロPがcohaさんです。
そんな最推しcohaさんの最推し曲がこれです!なんというか、2016年の年末にピノキオPの遊星まっしらけが投稿された時と同じくらいの衝撃でした。流れもなんだか似てるな・・・
cohaさんは変拍子を多用したクセのある曲だったり、グッとくるバラードだったり、ギターを掻き鳴らした激しいロックだったりと様々な曲を公開されているのですが、この曲はその中でもど真ん中に放り込んだ王道ポップだと思います。私はこういう曲がね、だ~~~~いすきなんですよねぇ・・・(ねっとり)
上に貼ったアルバム感想noteでも言ったんですけど、この曲はサビ終わりと間奏が本当・・・・・・に良いんですよ!!!!!ほんとに!!
サビ終わりは「溢れたんだぁ~↑」と最後に音程を上げる締めですね。これが1番では、サビの転調から戻るのも相まってこう、放り投げるように終わっている感じがするんですよ。ちゃんと引き締めて終わるのではなく、ふわーっと滲ませて終わるって言えばいいんでしょうか。
続く2番ではサビ終わりからすぐに間奏へと繋がるため、転調うんぬんの機能はほとんどありません。加えて歌メロも「許せないよね↓」と落ちる終わり方になっています。これによってどちらかというと影を落とすような印象を受けませんか?私は受けます。
そして最後のラスサビです。ここは1番と同じ歌メロですが、最後の「好きでした。」という歌詞の瞬間に後ろの音がすべて止みます。歌詞の強調!!!!最高!!またアウトロで調を戻していないため(サビの調は変わっていないのでアウトロで転調しているように聴こえます。細かいながらものすごい技術。)、こちらでは放り投げた感はありません。むしろこれにて〆!!というようなものを感じます。このラストで一番言いたかったであろう一番強い歌詞を、しかも演奏を止めて聴かせるっていうのが良いですよね~~~~。もうほんとすき。
このサビ終わりの一連の流れがあまりに洗練されすぎて完成されすぎて、感想を言おうとするといつもここに収束してしまいますw
cohaさんの曲の話をする時はいつも「構成が〜」と言っていると思いますが、この曲でももちろんそういう魅力が詰まっていますよ!(というか、さっきまで話していたのも構成の話みたいなもんですね)
たとえば、Aメロ。1番ではギターのブリッジミュートが導いていってくれますが、2番ではギターの代わりにピアノとストリングスと変化をつけています。その後のドラムも半テンしていますね。
たとえば、Bメロ。1番ではここで半テンしていますが、2番ではAメロで半テンを使っていますので、代わりにスネアのロール的なフレーズを使うことで体感テンポを落としています。ちなみにこれ、cohaさんの曲でかなりの頻出フレーズです。打ち込みが難しいためボカロシーンではあまり用いられない分、より印象的です。
このように、先ほどのサビと合わせて考えると、非常に展開の多い曲であることがわかると思います。ただこれらの変化は違和感やくどさを感じさせることはなく、かといって耳を澄ませなければ聴こえてこない物足りなさもありません。キメを入れ過ぎればダサさが浮き彫りになり、逆にキメがなければつまらなく感じてしまうものですが、この天秤を見事につり合わせているのがcohaさんの曲なんです。
構成についてもう一つ言うなら、歌詞とその魅せ方にも同じことが言えます。1番では幸福を、2番では悲しみを主に綴るという対照的な構造になっていますが、それに合わせて歌メロを変えています。
1番で『繋がれた奇跡にいたんだな』と歌う部分は2番では歌のメロディに半音(ブルーノートでよいでしょうか?)を織り交ぜて不安定さ→もの悲しさを演出していますし、Bメロの『世界の全てと思えるくらいの幸せで』は、2番では『幸せで』を伸ばして歌うことなく『痛いよ』と苦々しく呟くように歌います。
個人的に歌詞ってパートの始めか終わりが一番よく聞こえると思うのですが、まさにその部分でメロディにアレンジを加え、幸せな/辛い 歌詞を際立たせて曲のニュアンスを提示しているのです。素晴らしいと思いませんか?
何度も言っているかと思いますが、私は構成を意識して曲を聴くことが多いため、これほどまでに構成に気を配った作曲にはただただ感動というか、ありがとうって言いたいですね・・・。
cohaさんは新しい曲が出るたびに「次はどんなことをしてくれるんだろう」とわくわくしながら再生する方です。2020年もcohaさんの動向から目が離せない!
まぁ、もう2020年だしcohaさんもう2曲も投稿されてますけどね・・・ハハハ・・・
この曲だけでなく、アルバム「The Orchestra of Stray Sheep」の曲全てについて、なんと作者であるcohaさんご本人から思いの丈を綴られたnoteがありますので、少しでも興味のある方はぜひ読んでみて!
最後に言いたいんですが、この右端で見切れてるの絶対ミクだよね????
以上で10曲!おつかれさまでした。ここまで読んでいただけた方、ありがとうございます!
ではせっかくですので、最後にこの最強の10曲のなかでもいっとう好きな作品、ベスト・オブ・優勝!2019年VOCALOID1選を言わせていただきますね!
私が2019年の曲でいちばん好きなのは・・・・・・
じゃーん!!この曲です!
ありがとう君に逢えた事・・・。
正直な話、1選を決めるならヤーウェと十五夜は届かぬ告白でめちゃめちゃ迷ってました。
そんな中ひとつの決め手になったのは、ボカロ中心のクラブイベント、通称ボカクラでした。
私も有識者ではないので「ボカクラってなに???」と聞かれたら「クラブサウンドな曲も多いけどロックもたくさんかかる・・・まぁなんかめっちゃボカロ聴けるイベント」と答えるしかないのですが、とにかくそういったイベントによく遊びに行ってまして。
そこでヤーウェがかかることが多くて、毎回とても嬉しかったことを覚えています。
こういったイベントだったり雪ミクやマジカルミライに行ったことのある人は共感していただけるかもしれないんですが、家で流した時とライブやイベントで流れた時って、聴こえ方がかなり違うんですよね。
それは技術的に言えばスピーカーの性質や音圧が違うとか空間の違いとかそういうことだと思いますが、大好きな曲のいろんな表情が楽しめるような気がして、何より他にもいろんな人がいる場で自分の大好きな曲が流れる喜び!そういった感動があったのが大きいと思います。
あとささやかな言い訳をさせてもらうと、私の中の2019年はヤーウェが最高の曲で、cohaさんが最高のボカロPということになっていますので!
はい、ではこれで本当に以上になります。10選公開からnote投稿まであまりに長すぎた・・・!
次はもっと早く書けるようにがんばりますので・・・
2020年はもーーっとボカロ聴くぞーーーーーーーーーーーー!!
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